アーンドメディア

アーンドメディア(Earned Media)とは、PRや広報、パブリシティ活動、メディア・リレーション、インフルエンサー・リレーションフォロワー・リレーションなどによって、企業や消費者からの信頼や相互理解の獲得が必要なメディアのこと。広告によってではなく、信頼や評判を獲得して掲載されるメディアのこと。

アーンドメディアに加えて、ペイドメディアオウンドメディアの3つのメディア分類を、海外では「POEM」、日本では「トリプルメディア」と呼び、かつては消費者によるSNS(ソーシャルメディア)での投稿や拡散、オフラインでの口コミなども「アーンドメディア」の領域に分類されていた。

しかし2012年頃より、消費者によるSNSでの投稿拡散を含む口コミを「シェアードメディア(Shared Media)」としてアーンドメディアから切り離して分類する考え方が広まり、アーンドメディアはPRや広報、パブリシティ活動、各リレーションシップによるものが中心とされている。

ペイドメディア、アーンドメディア、シェアードメディア、オウンドメディアの4つのメディア分類を、PESO(PESOモデル)という。

PESOモデル

PESO、あるいはPESOモデルとは、消費者が接触するメディアを4つに分類したもので、「ペイドメディア(Paid Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」「シェアードメディア(Shared Media)」「オウンドメディア(Owned Media)」で構成される。それぞれの頭文字から「PESO」と呼ばれる。読みは「ペソ」。

もともとペイドメディア、アーンドメディア、オウンドメディアの3つのメディア分類を、海外では「POEM」、日本では「トリプルメディア」と呼んでいた。その中の「アーンドメディア」を、消費者による口コミである「シェアードメディア(Shared Media)」と、PRやパブリシティ活動の「アーンドメディア」に分割し、4つのメディア分類にしたものがPESOモデルである。

ペイドメディア(Paid Media)
広告、有料で掲載されるメディア
アーンドメディア(Earned Media)
PRや広報、パブリシティ活動、メディア・リレーション、インフルエンサー・リレーションなど、相互理解の獲得が必要なメディア
シェアードメディア(Shared Media)
消費者によるオフラインやSNS(Twitter、Facebook、Instagram等)での口コミ投稿や拡散。消費者がコントロールするメディア
オウンドメディア(Owned Media)
自社が所有しコントロールするメディア(Webサイト、ニュースレター、ソーシャルメディアの自社アカウントなど)

それぞれのメディアで連携したコミュニケーション戦略が必要である。

Ketchum社の役員Don Bartholomewによる2010年発表の記事が、この4分類の由来の一つとされる。


▲PESOモデルのマトリックス

The Digitization of Research And Measurement In Public Relations

ブランド・アンバサダー(ブランド大使)

ブランド・アンバサダー(brand ambassador)とは、企業からの依頼で企業やブランドに対して好意的な発信や宣伝を行う人のこと。「ブランド大使」。報酬をもらって活動することがある。単に「アンバサダー」と呼ぶこともある。「スポークスパーソン」の一種。

その企業やブランドの魅力を伝え広めることで、より多くの新たなファンを獲得する役目を持つ。著名人だけでなく、近年ではソーシャルメディアでの発信を軸にした一般人やインフルエンサーも多く参加している。

それに対して、ブランド・アドボケーツは、自発的に企業やブランドに対して好意的な発信や推奨をしてくれるファンのこと。ブランド・アドボケーツは、一方的に好意や愛着を持つ企業やブランドに対して、無報酬で自らの意志で広告塔になる。

自発的に無報酬で広告塔になるのが「ブランド・アドボケーツ」であり、企業からの依頼でPR活動や広告塔になるのは「ブランド・アンバサダー」である。

プロダクト・プレイスメント

プロダクト・プレイスメント(product placement)とは、映画やテレビドラマといったコンテンツの中で背景や小道具として商品を取り込み、商品名やブランド名を表示して訴求する広告手法のこと。コンテンツになじむことで、自然な形で消費者に商品やブランドを印象づけられる。ネイティブアドの一種と言える。

人気のコンテンツは強い影響力を持つため、登場人物が実在する商品を使用したり台詞でブランド名を発することで、消費者は広告を見たと思わないまま、好印象を持ったり認知に至ったりする。

一方で、広告であることを示す明確なルールが定まっていないため、ステルスマーケティングに該当する可能性があり、表現によっては消費者にネガティブな印象を与える場合がある。

シャルパンティエ効果(大きさ重さの錯覚)

シャルパンティエ効果(Charpentier effect)とは、同じ重量の物体を比較した際に、視覚的に大きく見える物の方をより軽く、視覚的に小さく見える物の方をより重いと錯覚してしまう現象のこと。「大きさ、重さの錯覚(size-weight illusion)」ともいう。

例えば、同じ重さの「綿」と「鉄」があった場合、大きく見える綿よりも、重いイメージでかつ小さく見える鉄の方を「重い」と錯覚してしまう現象が挙げられる。

マーケティングの領域にて、商品の効能や効果を伝える際に、お客様がよりイメージしやすい量やサイズで表現するといった手法で活用されている。

  • 「これ1個にレモン10個分のビタミンCを配合」
  • 「広さは東京ドーム3個分」

フランス人医師のAugustin Charpentier(オーグスチン・シャルパンティエ)が、1891年に大きさと重さの錯覚についての実験を行ったことに由来する。

OTS (Opportunity to See)

OTSとは、Opportunity to Seeの略で、主に広告の「見られる機会」「接触される機会」を表す概念のこと。広告が実際にターゲット層にリーチしているかどうかというもの。もしくは、ターゲット層が広告にどの程度接触したかを測定する手法のこと。

ターゲット層やユーザーが実際には閲覧していなくても表示されている状態が良いのではなく、実際に見られている状態であるか、接触されている状態であるかが重要である、という概念。

インターネット領域の広告が発達するにつれ、新しい技術で広告が視界に入ったのどうかをユーザーにより近いところで計測できるようになり、「ビューアビリティ」の概念につながっていった。

セパレートURL

セパレートURL(separate urls)とは、Webサイトをデスクトップ端末(パソコン)とモバイル端末(スマートフォン)の両方に適切に対応する際、それぞれに異なるURLでコンテンツを配信すること。

例えば、デスクトップ端末向けには「www.example.com」のURLでコンテンツを配信し、そのページに対応するモバイル端末向けURLは「m.example.com」や「www.example.com/sp/」で配信する、といった状態が挙げられる。

Webサイトのモバイル端末向け対応は、「レスポンシブウェブデザイン」「動的な配信(ダイナミックサービング)」「セパレートURL」の3種類ある。検索エンジンのGoogleは「すべてのGooglebotユーザーエージェントがすべてのページにアクセス可能である限り、特定のURL形式が優先されることはない」としており、Webサイトにふさわしい方法を採用して良い。この3種類の形式の混在も許容されている。

別々の URL | 検索 | Google Developers

GAFA

GAFAとは、Google、Apple、Facebook、Amazonの4企業をまとめた呼称のこと。それぞれの頭文字を取って「GAFA」と呼ばれる。読みは「ガーファ」。

この有名で巨大なアメリカ企業4社は、インターネット分野の各市場を席巻して生活に欠かせないプラットフォームとなり、動向を見逃せない企業となっている。その一方で、一部の企業による市場の独占は他社の市場参入を阻み、またデータ活用の側面でも占有しているため、自由競争を阻害していると指摘されている。

類似の表現として、Microsoftを加えた「GAFAM(ガーファム)」が用いられることもある。あるいは、それら4社(5社)を「Big Tech(ビッグテック)」「Tech Giants(テックジャイアンツ)」などと呼ぶこともある。

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ブロックバスター戦略

ブロックバスター戦略とは、スポーツや音楽、映画などのエンターテイメント業界において、ヒットが見込まれる作品に対して予算を集中的に投下し、製作とマーケティングを行う競争戦略のこと。

特定のコンテンツに集中投資してリターンを最大化させるこの戦略は、ロングテールとは対極の理論と言える。

ハーバード・ビジネススクール教授のアニータ・エルバースが、2008年にハーバードビジネスレビュー誌で提唱した。

1999年にワーナー映画のCEOアラン・ホーンが、25本の年間制作映画のうち4~5本に経営資源を投入したところ、上位2割のタイトルが全体の8割以上の利益をもたらすメガヒットとなり、会社の利益を大幅に伸ばした。

「ブロックバスター」は元々は街の区画を破壊する威力を持った爆弾を意味し、転じて映画のメガヒット作品を表す俗語として使用されるようになった。

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CSV (Creating Shared Value, 共通価値の創造)

CSVとは、Creating Shared Valueの略で、企業が社会的な課題に取り組むことで、企業の生産性や経済的価値が高まるという概念のこと。社会的価値の創出と企業の経済利益活動を同時に実現すること。「共通価値の創造」。

善行的な社会貢献としてのCSR(Corporate Social Responsibility, 企業の社会的責任)に完全に置き換わるものではなく、本業によって利益を追い経済的価値の創造をしながら、同時に社会的な責任を果たし、相乗効果をもたらさなければならない。

アメリカの経済学者マイケル・E・ポーター(Michael Eugene Porter)らが、従来までの受動的CSRから戦略的CSRへの転換となる概念として2006年の論文「Strategy and Society」で提唱し、それを2011年の論文「Creating Shared Value」で発展させた。

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