イタリア系アメリカ料理

イタリア系アメリカ料理(Italian–American cuisine)とは、19〜20世紀にアメリカへ移住したイタリア系コミュニティの食文化が、アメリカで手に入る食材、量、嗜好に合わせて変化し、家庭料理やレストラン料理として定着したものである。

イタリア料理とルーツを共有しつつアメリカで再編されたものが多い。全体的に共通する変化として、肉やチーズ、トマトソースの量感が増したことが挙げられる。

代表的な料理として「スパゲッティ&ミートボール」のように、イタリア本国では典型ではないがアメリカでは象徴的になった料理がある。

以下に代表的な料理を挙げる。

パスタ

Spaghetti and meatballs スパゲッティ&ミートボール

スパゲッティにトマトソースを合わせ、大きめの肉団子をのせる料理。肉団子は牛肉・豚肉のひき肉、パン粉、卵、チーズ、ハーブなどで作られることが多い。 イタリア系アメリカ料理を代表する象徴的な料理の一つ。イタリアでは肉団子(ポルペッテ)をパスタにはのせない。

Penne alla vodka ペンネ・アラ・ウォッカ

ペンネを、トマト、クリーム、ウォッカを使ったなめらかなソースで和える料理。派生形では鶏肉を加えてボリュームを出すこともある。 アメリカで人気の高いパスタ料理の一つ。

Spaghetti bolognese スパゲッティ・ボロネーゼ

ひき肉入りの濃厚なトマトソースのかかったスパゲッティ。 イタリアの肉主体の煮込みを使った「Ragù alla bolognese」とは異なる。

Fettuccine alfredo フェットチーネ・アルフレード

フェットチーネを、バターとチーズを中心にしたソースで和えるパスタ料理。アメリカ版はさらに生クリームを加えてより濃厚でなめらかなソースに仕上げることが多い。 原型は20世紀初頭のローマで知られる料理「Fettuccine al burro」で、アメリカ版の「アルフレード」はより重くクリーミーなスタイルとして定着している。

Pasta primavera パスタ・プリマヴェーラ

パスタに、アスパラガス、ブロッコリーニ、グリーンピース、そら豆などの春野菜を合わせ、軽めのクリーム系またはバター系のソースでまとめる料理。野菜をさっと加熱して、みずみずしさを残して仕上げることが多い。 名称はイタリア語風だが、一般には1970年代のニューヨークで広まった料理。本国イタリアの古典というより、アメリカで成立したイタリア風パスタの代表例。

Shrimp scampi with pasta シュリンプ・スキャンピのパスタ

エビをニンニク、バターまたはオリーブオイル、白ワイン、レモンなどで調理し、パスタと合わせた料理。 本来の「scampi」は食材名の文脈もあるが、アメリカでは「ガーリックバター系のエビ料理」として定着している。

Baked ziti ベイクド・ジティ

筒状パスタ「ziti」をトマトソースやミートソース、リコッタ、モッツァレラなどのチーズと合わせ、キャセロール状にしてオーブンで焼く料理。 家庭料理としてもパーティー料理としても定番。ラザニアに近い満足感がある。

Lasagna ラザニア

板状パスタを、ミートソースやトマトソース、リコッタチーズ、モッツァレッラ、パルメザンなどと重ねてオーブンで焼く料理。 アメリカ版ではベシャメルよりもリコッタチーズを多く使う構成がよく見られる。

American chop suey アメリカン・チャプスイ

ひき肉とタマネギをトマトソースで炒め、別茹でしたマカロニと合わせて煮込んだパスタキャセロール。アメリカ式中華料理「チャプスイ」とは別物。 ニューイングランド地方などアメリカ北東部の郷土料理である。マカロニはエルボマカロニが主に使用される。ローカルなアメリカのトマト系パスタ料理で、イタリア系アメリカ料理とは異なるとする人もいる。

Stuffed shells スタッフド・シェルズ

大きな貝殻型パスタにリコッタチーズやモッツァレッラ、ホウレンソウなどを詰め、トマトソースをかけて焼く料理。 見た目がわかりやすく華やかで、焼きパスタ料理の代表格。

Manicotti マニコッティ

筒状のパスタ、またはクレープ状の生地にリコッタチーズなどのフィリングを詰め、ソースとチーズをかけて焼く料理。 アメリカでは「チーズを詰めて焼くパスタ料理」として広く理解されている。

Chicken spaghetti pie チキン・スパゲッティ・パイ

スパゲッティに鶏肉、チーズ、卵、ソース類を合わせ、耐熱皿やパイ状にまとめて焼いた料理。 やや家庭料理・アレンジ料理寄りで、典型的な伝統料理というよりアメリカ家庭で食べられている料理。


ソース

Sunday gravy / Sunday sauce / Italian-American red sauce サンデーグレイビー / サンデーソース / イタリアン・アメリカン・レッドソース

トマトをベースにソーセージ、ミートボール、ブラチョーレなど複数の肉を一緒に長時間煮込む濃厚なソース。 日曜日の家族の食卓のごちそうと結びつけて語られることが多い。

Marinara sauce マリナーラソース

トマトとニンニク、オリーブオイル、オレガノなどハーブ類によるシンプルなトマトベースの基本のソース。 イタリアでは料理名や調理様式を指すことが多いが、アメリカではパスタやミートボール、肉料理やフライのフライのディップなどに使う日常的なトマトソースの位置づけである。

Alfredo sauce アルフレードソース

バターとパルメザンチーズによる濃厚でクリーミーな白いチーズソース。生クリームを加えることもある。 ローマの料理「Fettuccine al burro」に由来する。パスタだけでなく、白い濃厚なソースとして鶏肉やエビなどのメイン料理にも使用される。

Bolognese sauce ボロネーゼソース

ひき肉入りの濃厚なトマト系ソース。イタリアの「Ragù alla bolognese」は肉主体の煮込みであるのに対し、ボロネーゼソースはトマトが前面に出た赤いミートソースである。 「スパゲッティ・ボロネーゼ」として広く食べられている。イタリアの「Ragù alla bolognese」よりも「Ragù alla napoletana」に近い。

Fra Diavolo sauce フラ・ディアボロ・ソース

唐辛子、ニンニク、パセリやバジルなどハーブで作る辛いトマトソース。パスタや魚介料理に用いられる。 「fra diavolo」は、18世紀のゲリラ指導者の通称でイタリア語で「悪魔の兄弟」の意味。


メイン料理、肉料理

Italian-American meatballs イタリアン・アメリカン・ミートボール

牛肉・豚肉などのひき肉にパン粉、卵、チーズ、ハーブを混ぜて大きめに成形し、焼くか揚げてからトマトソースで煮る肉団子料理。 本国イタリアのポルペッテ(肉団子)より大ぶりで、単独でもパスタ添えでも食べられている。

Beef braciole ビーフ・ブラチョーレ

牛肉の薄切りにパン粉、チーズ、ハーブ、ニンニクなどをのせて巻き、焼いてからトマトソースで煮込む料理。 サンデーグレイビーに一緒に入れられることも多い。南イタリアの系譜を感じさせる料理。

Chicken Parmesan / Chicken Parmigiana チキン・パルミジャーナ

鶏肉を薄くのばして衣を付け、揚げるか焼いたあと、トマトソースとモッツァレラ、パルメザンなどのチーズをのせてオーブンで仕上げる料理。 イタリア系アメリカ料理を代表するメイン料理の一つ。パスタを添えて供されることも多い。

Veal Parmesan / Veal Parmigiana 子牛肉のパルミジャーナ

子牛肉を薄くたたいて衣を付け、揚げるか焼いたあと、トマトソースとチーズをかけて焼き上げる料理。 チキン・パルミジャーナと並ぶ「Parm」系の一種で、ややクラシックなレストラン料理の印象もある。

Eggplant Parmesan / Eggplant Parmigiana ナスのパルミジャーナ

輪切りまたは縦切りにしたナスを焼き(もしくは揚げて)、トマトソースとチーズを重ねてオーブンで焼く料理。 本国イタリアにも近い料理があるが、アメリカ版はよりボリューム感が強い。

Zucchini Parmigiana ズッキーニのパルミジャーナ

ズッキーニを薄切りにして焼くか揚げ、トマトソースとチーズを重ねて焼く料理。 ナス版に比べるとやや軽めの印象だが、調理の構成は似ている。

Eggplant rollatini ナスのロラティーニ

薄切りのナスを焼くか揚げ、リコッタなどのフィリングをのせて巻き、トマトソースとチーズをかけて焼く料理。 「ロラティーニ」は巻いた形が特徴で、パルミジャーナ系の派生料理。

Chicken cacciatore チキン・カチャトーレ

鶏肉をトマト、タマネギ、ピーマン、キノコ、ニンニク、ハーブなどと一緒に煮込む料理。 本国イタリアにもカチャトーレ系の料理はあるが、アメリカでは赤いソースの煮込み料理として親しまれている。

Chicken Savoy チキン・サヴォイ

鶏肉をニンニク、酢、ハーブ、時に白ワインなどを使ってローストまたはオーブン調理する料理。 北ニュージャージー周辺のイタリア系アメリカンレストラン文化で知られる地域色のある料理。

Chicken Francese チキン・フランチェーゼ(チキン・フランセーズ)

鶏肉に小麦粉と溶き卵をまとわせてソテーし、レモン、バター、白ワインなどを使った酸味のあるソースで仕上げる料理。 レモンバター系のソースが特徴。「フランス風」とあるがニューヨークのイタリア系移民によって発展した。イタリア系アメリカンレストランでよく見られる。

Chicken Marsala チキン・マルサラ

鶏肉を薄くのばして小麦粉をまぶしソテーしたあと、マルサラ・ワインのソースで仕上げる料理。アメリカ版では、マッシュルーム、エシャロット、ニンニク、バターなどを合わせることが多い。 イタリアの「scaloppina al marsala」の系譜を持ちながら、イタリア系アメリカンレストランの定番主菜として定着している。

Chicken Piccata チキン・ピカタ

鶏肉を薄くのばして小麦粉をまぶしソテーしたあと、レモン、バター、ケッパーを使った酸味のあるソースで仕上げる料理。 本国イタリアのフィレンツェでは仔牛や仔羊の肉を使うが、アメリカでは入手しやすい鶏肉に置き換わり、レモン・ケッパーソースが特徴となる。

Chicken Scarpariello チキン・スカルパリエッロ

鶏肉をイタリアンソーセージ、ピーマン、他にジャガイモや酢漬けの唐辛子などと一緒に煮込む、またはローストして仕上げる料理。ニンニク、ハーブ、白ワイン、酢などを使った甘酸っぱい味に寄ることが多い。 ニューヨークやニュージャージーなどアメリカ北東部のイタリア系コミュニティで食べられている。「スカルパリエッロ」は「靴職人風」の意味で、イタリアではナポリ発祥のトマトとチーズを使ったシンプルなパスタ料理。

Porchetta (porketta) ポルケッタ

ミネソタ州独自にローカル化したポルケッタ(porkettaと綴られることがある)は、通常の皮つきの豚バラ肉ではなく豚肩ロースを使用し、フェンネルとニンニクがより強調される。 ミネソタ州で独自に定着した郷土料理。皮つきではないため外側のパリパリ感はなく、ホロホロでジューシーな食感でプルドポークに近い食感。

Italian sausage イタリアン・ソーセージ

フェンネルやアニスで風味づけした豚肉ソーセージ。ホット、スイート、マイルドの種類で販売されている。 本国イタリアのソーセージ全般(もしくは単一の種類)を指すものではなく、アメリカ独自に定着したソーセージである。ソーセージ&ペッパーズとして炒めたり、サンドイッチに使用される。

Sausage and peppers ソーセージ&ペッパーズ

イタリアンソーセージとピーマン、タマネギなどを炒める、または煮込む料理。皿盛りでもパンにはさんでも食べられる。 祭礼や屋台、カジュアルな食堂などでもよく見られる、親しみやすい定番料理。

Frittata フリッタータ

卵に具材を混ぜて焼く卵料理。アメリカ版では、ソーセージやベーコンなどの肉類やより多くの野菜やチーズを盛り込み、オーブンで焼かれる。イタリアでのシンプルな前菜というよりも、「パイ生地のないキッシュ」のようなボリュームのあるブランチのメイン料理になることが多い。


魚介料理

Cioppino チョッピーノ

トマトベースのスープまたはシチューに、魚、エビ、カニ、貝類、イカなど複数の魚介を入れて煮る料理。ニンニク、タマネギ、ワイン、ハーブなどで風味を付け、パンを添えて供することが多い。 サンフランシスコを代表する魚介料理として知られ、イタリア系移民、特にジェノヴァ系移民の影響と結びつけて説明されることが多い。

Lobster fra diavolo / Shrimp fra diavolo ロブスター・フラ・ディアヴォロ / シュリンプ・フラ・ディアヴォロ

ロブスターを使った辛いトマトソースの料理。ロブスターの身や殻のうま味を生かし、ニンニク、唐辛子、オリーブオイル、トマトなどでソースを作り、パスタと合わせることが多い。イタリア系アメリカ料理の定番料理としてはロブスターがより知られている一方、家庭ではエビも使用される。

Shrimp scampi シュリンプ・スキャンピ

エビを、ニンニク、バターまたはオリーブオイル、白ワイン、レモンなどでさっと調理する料理。単独でも、パスタに和えても供される。「scampi」は本来はノルウェーロブスターを指す語だが、アメリカではその調理スタイルがエビに置き換わって定着し、シュリンプ・スキャンピとして知られるようになった。

Feast of the Seven Fishes 七種の魚の晩餐 / 七種の魚の祝宴

クリスマス・イヴに複数の魚介料理を並べて囲むイタリア系アメリカ人の祝祭的な食卓習慣。内容は家庭によって異なり、揚げ物、焼き物、パスタ、スープ、煮込みなど、魚介を使った複数の皿で構成される。単一の料理名ではなく、食事の形式・伝統行事を指す。20世紀初頭のイタリア系移民の家庭の中で現れた。厳密な固定メニューはなく、ロブスター・フラ・ディアヴォロのような料理がよく並ぶ。


ピザ

New York–style pizza ニューヨーク風ピザ

大きく薄めにのばした生地にトマトソースとチーズをのせて焼き、大きな三角形にカットして供するピザ。クラストは薄めながら適度なコシがあり、折って食べやすい。イタリア系アメリカ料理を代表するピザの一つ。街角のピッツェリア文化と強く結びついている。

Sicilian-style square pizza シチリア風四角いピザ

厚みのある生地を天板で焼き、四角く切り分けるスタイルのピザ。トマトソース、チーズ、時にタマネギやハーブなどをのせる。 本国シチリアの流れをくみつつ、アメリカではベーカリーやピザ店で親しまれる独自の四角いピザとして定着している。

Pepperoni pizza ペパロニ・ピザ

トマトソースとチーズをベースに、スパイシーなサラミ系加工肉であるペパロニをのせて焼くピザ。焼くことでペパロニの脂や香りが前面に出る。 アメリカでもっとも象徴的なピザの一つ。イタリア系アメリカ料理らしさを語るときによく挙げられる。

Vodka pizza ウォッカ・ピザ

ウォッカソース、またはトマト・クリーム・ウォッカを合わせたソースを使うピザ。モッツァレッラやパルメザンと合わせ、クリーミーでコクのある味わいに仕上げる。ペンネ・アラ・ウォッカの人気と重なる形で広がった現代的なピザの一種。比較的新しい。

Meatball pizza ミートボール・ピザ

トマトソースとチーズをベースに、カットしたミートボールをトッピングして焼くピザ。リコッタチーズやパルメザンチーズを添えることもある。 スパゲッティ&ミートボールやミートボール・サブの発想がピザに展開したような、イタリア系アメリカ料理らしい組み合わせ。

Garlic knots ガーリック・ノッツ

ピザ生地をひも状にして結び目の形にし、焼いたあとにニンニク、油脂、パセリなどをからめたパン。 ピザ店のサイドメニューとして定番。前菜や付け合わせ的な位置づけで親しまれている。

Stromboli ストロンボリ

ピザ生地やパン生地にチーズ、ハム、サラミ、ペパロニなどをのせて巻き込み、棒状または太巻き状にして焼く料理。切り分けて食べることが多い。カルツォーネに近い発想だが、一般に「巻く」形が特徴。イタリア系アメリカ料理のピザ派生料理としてよく知られる。

Calzone カルツォーネ

ピザ生地を半月形に折りたたみ、中にチーズ、ハム、サラミ、野菜などを包んで焼く料理。本国イタリアにもある料理だが、アメリカでは具だくさんで大型のスタイルが目立つことが多い。

Deep-fried pizza 揚げピザ

生地を油で揚げて仕上げるピザ、または包んだ生地を揚げるタイプの料理。具材はチーズ、トマトソース、加工肉などさまざま。店や地域によって形が異なる。ややローカル色・B級グルメ色の強い位置づけ。


サンドイッチ、パン

Submarine sandwich サブマリン・サンドイッチ

アメリカ生まれの長いロールパンのサンドイッチの総称。その中でも「Italian sub」「Hoagie」「Hero」はイタリア系アメリカ料理と結びつきが強い系統である。「Italian sub」「Hoagie」「Hero」はアメリカ北東部のイタリア系移民コミュニティから発達したサンドイッチ文化。

Meatball sub / Meatball Parmesan hero ミートボール・サブ / ミートボール・パルメザン・ヒーロー

長いパンにミートボールを入れ、トマトソースとモッツァレラやパルメザンなどのチーズを合わせた温かいサンドイッチ。仕上げに軽く焼いて、チーズを溶かして供することも多い。「Sub」や「Hero」は地域や店による呼び方の違いがある。イタリア系アメリカ料理らしいサンドイッチの代表格。

Chicken Parmesan sandwich チキン・パルミジャーナ・サンドイッチ

衣を付けて調理した鶏肉にトマトソースとチーズをのせ、それをパンにはさんだ温かいサンドイッチ。チキン・パルミジャーナをそのままサンドイッチにした料理で、デリやカジュアルな店でもよく見られる。

Muffuletta / Muffaletta ムッファレッタ

丸い大きなパンに、ハム、サラミ、モルタデッラ、チーズ、オリーブサラダなどをたっぷりはさんだ大型サンドイッチ。ニューオーリンズのイタリア系移民文化を代表する料理として知られる。オリーブサラダの風味が特徴。

Italian beef イタリアン・ビーフ

薄切りのローストビーフを肉汁で温め、長いパンにはさんだサンドイッチ。ピクルス類や唐辛子、甘いピーマンなどを添えることも多い。シカゴの代表的なイタリア系アメリカ料理。肉汁でパンごとしっとりさせる食べ方も特徴的。

Philly roast pork with broccoli rabe and provolone フィラデルフィア風ローストポークとブロッコリー・ラーベ、プロヴォローネのサンドイッチ

ローストした豚肉を薄切りにしてパンにはさみ、ほろ苦いブロッコリー・ラーベとプロヴォローネチーズを合わせた温かいサンドイッチ。フィラデルフィアの地域色が強い料理。イタリア系アメリカ料理のサンドイッチ文化の中でも、牛肉ではなく豚肉を主役にする点が特徴。

Garlic bread ガーリックブレッド

パンにバターまたはオリーブオイル、ニンニク、時にパセリやチーズをのせて焼いた料理。スライスパンやバゲット状のパンが使われることが多い。単独でも付け合わせでも食べられる。イタリア風のパン料理としてアメリカで広く普及している。

Pepperoni roll ペパロニ・ロール

パン生地の中にペパロニを巻き込んで焼いたパン。チーズを加える場合もある。ウェストバージニア州の名物として有名。持ち歩きしやすく食べやすいことから、労働者向けの実用的な食べ物として広まった。


スープ、前菜、サラダ

Italian wedding soup / Italian-American wedding soup イタリアン・ウェディング・スープ

小さなミートボールと青菜を中心に、澄んだスープで煮た料理。オルゾや小粒のパスタを加えることもある。肉団子は牛肉や豚肉のひき肉、パン粉、チーズ、ハーブなどで作られることが多い。「ウェディング」は結婚式の意味というより、肉と青菜の「相性の良い組み合わせ」を表す系譜で説明されることが多い。アメリカではミートボール入りスープとしてよく知られる。

Pasta e fagioli (Pasta fazool) パスタ・エ・ファジョーリ(パスタ・ファズール)

豆と小粒のショートパスタを煮込んだトマトベースのスープ、または煮込み料理。白いんげん豆などを使い、ニンニク、タマネギ、セロリ、トマト、ブイヨン、ハーブなどで風味を付けることが多い。「Pasta fazool」はイタリア系アメリカンな発音変化として広く知られる呼び方。店や家庭によってスープ寄りにも煮込み寄りにもなる。本国イタリアでは豆が主役でトマトを使用しないこともある。

Minestrone ミネストローネ

野菜をたっぷり使った具だくさんのスープ。豆、タマネギ、にんじん、セロリ、トマト、キャベツ、ズッキーニ、またパスタや米などが入ることもある。本国イタリアにも広くある料理だが、アメリカではトマト感が強く量感のある「食べるスープ」として出されることが多い。

Zuppa Toscana ズッパ・トスカーナ

ジャガイモ、ソーセージ、青菜、クリームなどを使った濃厚なスープ。ニンニクやタマネギを加え、クリーミーに仕上げることが多い。名称は「トスカーナ風スープ」だが、アメリカで知られる形はレストランチェーンなどを通じて広く親しまれた、かなりアメリカナイズされたスタイル。

Caesar salad シーザーサラダ

ロメインレタスを中心に、クルトン、パルメザンチーズを合わせ、ニンニク、レモン、オイル、卵、ウスターソース、アンチョビなどを使ったドレッシングで和えるサラダ。厳密にはイタリア系アメリカ料理のど真ん中ではなく周辺的な位置づけだが、イタリア系移民の文脈と北米のレストラン文化の中で有名になったサラダとして挙げられることが多い。鶏肉をのせた派生形も一般的。

Peas and Eggs (Piselli cacio e uova) ピーズ・アンド・エッグズ(ピゼッリ・カチョ・エ・オーヴァ)

グリーンピースをタマネギとオリーブオイルで軽く煮るもしくは炒めたあと、溶き卵を加えて半熟状にまとめて仕上げにチーズを加えた料理。シンプルな家庭料理として食べられる。


菓子、デザート

Italian rainbow cookies イタリアン・レインボー・クッキー

アーモンド風味のしっとりした生地を赤・白・緑の三層に重ね、間にジャムをはさみ、外側をチョコレートで覆って小さく切り分けた菓子。名前に「クッキー」と付くものの食感や構成は小型の層状ケーキに近い。イタリア系アメリカ菓子として非常に象徴的で、本国イタリアに直接対応する定番菓子はない。

Italian butter cookies イタリアン・バタークッキー

バターを使ったやわらかめの絞り出し生地を焼いたクッキー。チョコレートがけ、ジャムのせ、スプリンクル付きなど、見た目や形にバリエーションが多い。特にアメリカ東海岸のイタリア系ベーカリーで定番化した焼き菓子。ショーケース文化を代表する存在の一つ。

American cassata cake アメリカ版カッサータケーキ

スポンジケーキに甘いリコッタチーズのフィリングを重ね、苺やホイップクリームなどで仕上げるケーキ。地域によって構成は異なる。シチリアの「cassata」を名乗りつつ、アメリカでは別のケーキとして発達した例。とくにオハイオ周辺のイタリア系アメリカンの文脈で知られる。

Lobster tail pastry ロブスターテール・ペストリー

貝殻状・尾のような形に焼いた大ぶりのパイ/折り込み菓子で、中にクリームを詰めることが多い。外側は層が多く、パリッとした食感になる。イタリア系ベーカリーの定番菓子として紹介されることが多く、「Sfogliatella」のアメリカ的発展形として語られやすい。

Zeppole / St. Joseph pastries ゼッポレ / 聖ヨセフの日の祝祭菓子

3月19日の聖ヨセフの日(St. Joseph’s Day)前後に作られる祝祭菓子群。代表的な「Zeppole di San Giuseppe」はシュー生地または揚げ生地にカスタードを詰めチェリーを飾ることが多い。地域や店によっては「Sfingi / Sfinci」など別系統の菓子も含まれる。聖ヨセフの日の前後に、ナポリ系の「Zeppole di San Giuseppe」やシチリア系の「Sfingi / Sfinci di San Giuseppe」などの祝祭菓子が並ぶ。これらを広く「St. Joseph pastries」と呼ぶが、「St. Joseph’s zeppole」とまとめられることもある。

Spumoni スプモーニ

複数のフレーバーのアイスクリームやセミフレッドを層にした冷たいデザート。チョコレート、ピスタチオ、チェリーのイタリア国旗色の3層の組み合わせが定番。 イタリアではジェラートに加えてホイップクリームやセミフレッドを多用するなど地域差の大きい冷菓で、必ずしも3色のアイスクリームではない。アメリカではイタリア系レストランの定番デザートの一つ。

Biscotti ビスコッティ

イタリア本国のトスカーナの「カントゥッチ (Cantucci)」のことで、生地を一度棒状に焼いてから薄く切り分け、さらにもう一度焼いて乾かした硬めの焼き菓子。チョコチップ、クランベリー、ピスタチオを加えることもある。 イタリアでは「ビスコッティ (biscotti)」はクッキー類全般を指す。デザートワイン「ヴィン・サント」に浸す本国の食べ方よりも、コーヒーやエスプレッソに合わせる菓子として広く普及している。

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