Rabbit Hole Effects (ウサギの穴効果)

Rabbit Hole Effectsとは、人はソーシャルメディアやインターネット上で類似したコンテンツを連続して消費すると、さらに追加で類似するコンテンツを選択してやめられなくなる傾向や効果のこと。「ウサギの穴効果」などと訳されることがある。

ソーシャルメディアで似たテーマのコンテンツを見ていると途中でやめられなくなる様子を、ルイス・キャロル作の小説『不思議の国のアリス』で主人公アリスがウサギの穴に落ちてワンダーランドへと迷い込んだことに例えて「ウサギの穴にはまって抜け出せない状態」と表したことに由来する。

ソーシャルメディアでは、ユーザーの行動履歴などから関連性の高いコンテンツを優先的に表示したり、無限スクロールによってタイムラインに次々とコンテンツ表示したりなど、ユーザーの興味関心を引き続けて離脱を防ぐ仕組みが取られていることが多い。

2021年にアメリカのケイトリン・ウーリー(Kaitlin Woolley)とマリッサ A. シャリフ(Marissa A. Sharif)が論文「Down a Rabbit Hole: How Prior Media Consumption Shapes Subsequent Media Consumption」にて発表した。

ネイキッドドメイン

ネイキッドドメイン(naked domain)とは、インターネット上のIPアドレスを識別しやすくするために付けられた識別名「ドメイン」のうち、「www」などのホスト名を含まないもののこと。URLが「https://www.example.com/」であればネイキッドドメインは「example.com」に該当する。

そもそも正確には「ネイキッドドメイン」は「ドメイン名」そのものである。しかし、一般的な認知として「www.example.com」のようにホスト名とドメイン名をつなげたFQDN(完全修飾ドメイン名)はドメイン名と誤解されやすく、また文脈によってはそれをドメインと呼ぶこともある。それと明確に区別するためにあえて「ネイキッドドメイン」として示したレトロニムの一種ともいえる。

パブサ(パブリックサーチ)

「パブサ」とは、自分以外の人(有名人、知人)や店舗、会社、作品などの名前をインターネットで検索すること。その人やお店、作品などの評判や口コミを調べるために検索することである。「パブリックサーチ」の略で、スラング的表現である。検索エンジンによるインターネット検索だけでなく、X(Twitter)やInstagramなどのソーシャルメディア(SNS)の検索も多用される。

「エゴサ」との対比で登場した言葉と考えられる。「エゴサ」は自分自身のことを検索する自己検索「エゴサーチ (egosearching)」に由来するが、検索対象を自己ではなく「他者」にしたものが「パブサ」である。英語ではその意味では「public search」という表現はおそらく用いず、「パブサ」の元となる「パブリックサーチ」もおそらく日本固有の表現である。

実績解除

実績解除とは、多くの人が経験するような物事や自身による物事のリストを「実績」と見立て、それを初めて経験したり達成することを指す。スラング的表現である。

もともとはゲーム領域で用いられていた用語に由来する。ゲーム提供側があらかじめ準備した条件や目標、例えば「アイテムを○○個集める」「相手を○○人倒す」といったものが「実績」に該当する。これをクリアすることで「実績(のロック)が解除されました」というメッセージが表示され、ユーザーは条件やミッションの達成度を知ることができる。

ここから派生し、多くの一般人が経験するような物事や、自身による「やりたいことリスト」などをあらかじめ設定された「実績」と見立て、それを経験することを「実績解除」と呼ぶようになった。ゲームの主人公のように、楽しみながら自身の経験値を積み重ねている様子を表していると言える。

NGL (not gonna lie, ぶっちゃけ、正直言って)

NGLとは、「not gonna lie」の略で、「正直言って」「ぶっちゃけ」「マジな話、嘘じゃなく」を意味する英語の略語、インターネットスラングである。「gonna」は「going to」の省略の表現で、「not gonna lie」の表現も同様の意味で用いられる。自分の正直な感想を言うときに用いたり、また文脈によっては誰かをからかったりして冗談を言う際などにも用いる。

チャットやソーシャルメディア、ショートメッセージといったデジタルコミュニケーションで、カジュアルな表現として用いられる。類似の表現に「TBH (to be honest, 正直に言うと)」や「IMAO (in my arrogant opinion, ぶっちゃけ)」などがある。

WBS (work breakdown structure, 作業分解構造)

WBS(work breakdown structure)とは、プロジェクトを管理する際に各工程をタスクに細分化して階層構造として一覧にしたものである。プロジェクトマネジメント手法の一つ。「作業分解構造(図)」とも呼ばれる。

各工程を細かなタスクのレベルに分解することでプロジェクト全体を把握しやすくなるだけでなく、担当者が行うべき作業の洗い出しや進捗管理、成果物の評価も行いやすくなる。細分化した要素に対して、開始日や期限、担当者などの情報を加える場合もある。

プロジェクトを階層構造のタスクに分解したものであり、時間軸に沿った表現である必要はない。分解したタスクを進捗管理する際に用いられるのが、時間軸を伴った表現のガントチャートや、ステータス別に管理する「かんばん方式」である。

ATH (all-time high, 過去最高)

ATHとは、「all-time high」の略で、「過去最高値」「史上最高」「最高記録」を意味する英語の略語である。数値や記録が過去にわたって一番高い数値を出した際に用いる。経済市場や気象、近年では仮想通貨市場などさまざまな領域で用いられる。

ATHに対して、「過去最低値」を意味する表現は「ATL (all-time low)」である。

地政学的リスク

地政学的リスク(geopolitical risk)とは、地理的な位置関係によって特定の地域における政治的、社会的、軍事的な緊張が高まるリスクのこと。特に経済や投資の側面における不透明さや不確実性を挙げる際に用いられる。地政学は、地理的な条件を軸に国際関係や国家戦略を分析考察する学問である。

特定地域にて地政学的な課題がある場合、その周辺の地域や世界全体の消費および投資にネガティブな影響を与える。例えば戦争やテロの勃発により資源や商品の調達が困難になったり価格上昇を招いたりし、企業の業績悪化や経済の停滞を招くことになる。

MFAサイト (made for advertising)

MFA(made for advertising)もしくは「MFAサイト」とは、広告収益を得ることのみを目的としたWebサイトのこと。ページの多くの領域が広告掲載で占められ、トラフィックを集めやすいコンテンツやセンセーショナルな見出しによる低品質なWebサイトであることが多い。生成AIによる自動作成コンテンツを含むことがある。

MFAは「made for advertising」の略。運用型広告の詐欺であるアドフラウドの一種とも言えるが、巧妙に作成運用されたMFAサイトは表面的にはそれとはわからない場合もある。

一般的にWebサイトに掲載される広告の一定量は運用型広告であり、広告枠の入札は自動で行われる。その仕組みにより企業が出稿した広告はさまざまなWebサイトの広告枠に掲載されるが、広告収益の最大化のみを意図した低品質なMFAサイトにも掲載されることになる。広告が広告主のイメージ低下を招くようなWebサイトに掲載されていないかなどを仕組み化したアドベリフィケーションも行われているが、根本的な解決には至っていない。

スラッジ

スラッジ(sludge)とは、人々の行動をより良いものへと誘導する手法や仕掛けである「ナッジ」を悪用して、それを阻んだり不利な方へ誘導したりする手法や仕掛けのこと。「負のナッジ」と言える。もともとは英語で「泥」「ぬかるみ」を意味する単語である。

行動経済学の知見に基づく「ナッジ」は、人々がより良い行動を自発的に選択するよう促すものであり、本来は合理的で正しい行動を取れずに困っている人を助けるために用いるべきものである。それに反して「スラッジ」はナッジを悪用して使用者の私欲のために利用されることが多い。

スラッジは、「その人にとって望ましくない選択に誘導する」ものと「その人にとって望ましい選択を妨害する」ものに大きく分けられる。前者には「不当に高額なプランを契約させる」、後者には「キャンセルや退会を不当に難しくする」といった例が挙げられる。いずれにせよユーザーにとっては不利益となる仕掛けであり、望ましくない手法である。

「ナッジ」を提唱したアメリカの行動経済学者リチャード・セイラー(Richard H. Thaler)と行動経済学者で法学者でもあるキャス・サンスティーン(Cass R. Sunstein)が、それと対立する概念として命名した。

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