ナッジ

ナッジ(nudge)とは、選択肢を制限したり強制や金銭的インセンティブを与えたりすることなく、自発的な動機によって特定の行動を促す手法や仕掛けのこと、あるいはその理論のこと。

行動科学の知見に基づき、人々が社会的に、環境的に、あるいは自身の健康や人生にとってより良い行動を自発的に選択するよう促すことができる。合理的で正しい行動を取れずに困っている人を助けるために用いるべきものである。

ナッジ(nudge)は、もともとは「軽くつつく、背中を押す」といった意味の英語である。

ナッジにはさまざまなものがあるが、以下のような例が挙げられる。

  • 男性小便器にハエの絵を描くことで床の汚れが減り、清掃費用を削減できる
  • 臓器移植への同意について選択肢を標準で「同意する」とすることで、同意を得やすい
  • 整列してもらうために、床に線や足跡があれば人は立ち止まりやすい
  • 複数の選択肢から選んでもらうのではなく、あらかじめ標準で一つ選択しておくことで、行動しやすい

アメリカの行動経済学者リチャード・セイラー(Richard H. Thaler)と行動経済学者で法学者でもあるキャス・サンスティーン(Cass R. Sunstein)が2003年に論文で提唱し、行動経済学の領域で注目を集めた。後にリチャード・セイラーはナッジの活用に関する業績で2017年にノーベル経済学賞を受賞している。

国の公共政策やNPOの取り組みをはじめ、幅広い分野での社会課題への解決策として応用が進められている。

ナッジに対して、ナッジを悪用して選択を妨害したり望ましくない選択に誘導したりすることを「スラッジ」という。

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