文鎮化

文鎮化とは、スマートフォンなどの電子機器が起動しなくなったり動作応答しなくなったりし、かつ修復が困難のため、どうしようもない状態になること。そのような状態になると「文鎮代わり」に使うしかない、という比喩に由来する。読みは「ぶんちんか」。

パソコンであればOSの再インストールが可能で、再生を期待できる。しかし、スマートフォンは無反応時のOSの再インストールや初期化は想定されておらず、個人による修復が不可能あるいは非常に困難となる。

「文鎮化」と呼ばれるが、文鎮化したスマートフォンを実際に文鎮の用途で利用する人は非常に少ないと想定される。

一時的に動作応答しないといったフリーズは再起動や修復が可能なことが多く、文鎮化とは異なる。

MaaS (Mobility as a Service)

MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、自動車や鉄道をはじめとしたあらゆる交通手段による「移動」を「サービス」として捉え、より利便性の高い「移動」を実現するという概念、仕組みのこと。「サービスとしての移動」。読みは「マース」。

例えば、自動車の所有から利用への転換、より制約や依存の低い乗り換え、複数の交通手段を利用した最適化されたルート提示や運賃決済などを、一つのパッケージサービスとして提供しようというもの。利用者はスマートフォンのアプリなどを用いて、移動手段の選択や予約、決済などを行えるようになる。

これにより、都市部の渋滞、地域間の移動手段の格差、高齢者の事故、温室効果ガスといった社会問題の解決や軽減が期待される。

インターネットを通してクラウドから「サービス」として提供される概念「XaaS (Everything as a Service)」の一つ。

ダブルスタンダード(二重規範, ダブスタ)

ダブルスタンダード(double standard)とは、類似した状況であるにもかかわらず対象によって適用する価値判断の基準を変えて使い分けること。矛盾の一形態である。価値判断の基準を変えることで、一方に利益あるいは不利益が生じて不公平になることがある。「二重規範」「二重基準」「二律背反」、スラングでは「ダブスタ」と略される。

一方の対象にはある基準を適用する一方で、他方の対象にはその基準を適用せずに異なる基準を適用する状況である。事実を理解していなかったり、感情や利害関係などによって生じることがある。特に、他者には厳しい基準を適用する一方で自身には異なる甘い基準を持ち出して公平性を欠く行為に対して、批判や皮肉として用いられる。

ジャイアントキリング

ジャイアントキリングとは、スポーツの試合などにおいて、格下のチームや選手が大勢の予想を覆して強い上位の相手に勝利すること。相撲を発祥とする「番狂わせ」や「大物食い」と同義。「ジャイキリ」と略されることがある。

英語では「giant-killing / giant killer」「upset」と呼ばれる。「giant-killing」は、イギリスの童話『ジャックと豆の木(Jack and the Beanstalk)』の元となったとも言われる童話『Jack the Giant Killer』を由来とする。

車輪の再発明

車輪の再発明とは、既に確立された技術や考え方、事例があるにもかかわらず、それを知らずにもしくは意図的に、一から同様のものを作るということわざ。英語では「reinventing the wheel」。

IT業界、システムエンジニアやプログラマーなどの間で否定的な文脈で用いられることが多いが、それ以外の領域でも同様の事象は発生する。

プログラミング言語には、バグも少なく処理も最適化された関数やライブラリなどが標準で準備されている中、それと同様の機能を新たに作成することは余計なコストをかけることにつながるという考えに基づく。一方で、教育面での理解促進や、より自分たちの仕組みにフィットしたシンプルな機能だけを準備できるといったメリットもある。

「車輪の再発明」をしたものが既に標準化されているものより至らないレベルの場合は、「四角い車輪の再発明(reinventing the square wheel)」と呼ばれる。

レトロニム

レトロニム(retronym)とは、後から登場した新たな物事との区別が必要になったために、従来の物事を指していた既存の言葉をその領域の再特定のために定義し直された言葉のこと。再命名。

新しいものが登場した際に、従来まで単に「〇〇」と呼んでいたものを「旧〇〇」「第一次〇〇」「初代〇〇」「クラシック〇〇」「ファースト〇〇」と呼び直したり、他にも以下のような様々な例がある。

  • 「携帯電話」に対する「固定電話」
  • 「液体石けん」に対する「固形石けん」
  • 「オンラインショップ」に対する「実店舗、リアル店舗」
  • 「オンラインミーティング」に対する「オフラインミーティング」
  • 「デジタル〇〇」に対する「アナログ〇〇、フィジカル〇〇」
  • 「衛星放送」に対する「地上波放送」
  • 「ジャイアントパンダ」に対する「レッサーパンダ」

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)

ハインリッヒの法則とは、1件の重大な事故や災害の背景には29件の軽微な事故があり、その背景には300件の軽微な危険、いわゆるヒヤリ・ハットがあるという経験則のこと。「1:29:300の法則」とも呼ばれる。

大きな事故の背景には、必ず数多くの前触れや不注意、ニアミスがあるというもの。アメリカの損害保険会社のH. W. Heinrich氏が1929年に発表した論文を由来とする。

この比率については明確な根拠が弱いとされるものの、不注意や不安全状態をなくせば事故や災害は発生しないという教訓に変わりはない。

レトリック(修辞技法)

レトリック(rhetoric)とは、言葉を効果的に用いて、美しく適切に表現する技法のこと。修辞法、修辞技法。あるいは巧みに表現された言葉や美辞麗句のこと。

学術的な領域では、古代ギリシアより西洋で継承されてきた言語技術の研究および学問的体系のことを指す。

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正規化

正規化とは、データを一定の規則に従って整形、変換、再編して、利用しやすい状態にすること。データの重複をなくして管理を容易かつ効率的にし、より多様な目的で扱いやすくするためのデータベースの構築技法の一つである。

様々な分野で用いられる概念であり、整形や変換などの処理方法は異なる。

ボトルネック

ボトルネックとは、物事のスムーズな進行の障害となる要素のこと。その特定の要素が遅延の原因となり、他所をいくら向上させても物事全体の進行の改善には至らない場合に、その特定要素はボトルネックと呼ばれる。「隘路(あいろ)」や単に「ネック」とも呼ばれる。

ボトルネックは処理能力や容量が小さく、負荷が集中してプロセスの能力や速度を規定してしまい、全体の成果に影響する。

英語で「瓶の首」を意味し、瓶の中にどれだけ水が入っていても細い瓶の首が出る水の量は限られているという例えに由来する。