Appからのトラッキング要求を許可

「Appからのトラッキング要求を許可」とは、iPhoneをはじめとしたApple社製端末のiOS 14など以降から搭載されたセキュリティ機能の一つ。アプリがApple社の端末識別技術「IDFA」を用いてユーザー行動をトラッキング(追跡計測)したり広告を表示したりするのを、ユーザーがコントロールできる機能である。設定画面「トラッキング」に設けられている([設定>プライバシー>トラッキング])。

Apple社がプライバシー保護強化を目的として設けた機能で、後にiOS 14.5より設けたフレームワーク App Tracking Transparency (ATT) も組み込まれている。

それまでこのようなiOSによる制御機能は、ブラウザーSafariの「ITP」「サイト越えトラッキングを防ぐ」の機能のみだった。「Appからのトラッキング要求を許可」により、他のアプリでもクロスサイトトラッキングデバイスフィンガープリンティングなどの技術を用いた、複数サイトやアプリ間でのユーザー行動追跡計測やターゲティング広告表示がコントロールされるようになった。

「他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」の通知

通知「(アプリ)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」
▲追跡許可の通知例。詳細メッセージはアプリによって異なる

iOS 14.5以降、アプリによっては端末でアプリを起動すると「(アプリ)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」という通知が表示され、アプリによるトラッキング要求を許可するかどうかを求められる。

選択肢は「Appにトラッキングしないように要求」「許可」のいずれかで、通知画面で「許可」を選択すると、設定画面「トラッキング」の該当アプリはオンとなる。

設定画面「トラッキング」
▲通知の選択肢「許可」を選択すると、設定画面「トラッキング」の該当アプリはオンになる([設定>プライバシー>トラッキング])

ユーザーは、後から設定画面「トラッキング」で各アプリのオン・オフ設定を変更でき、「Appからのトラッキング要求を許可」の項目で一括設定もできる。


オン(許可)とオフによるユーザーへの影響

トラッキングをオン、もしくは通知「(アプリ)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」を許可すると、広告が表示されるアプリではユーザーの趣味嗜好に沿った広告内容になりやすい。また、アプリ側で包括的な分析が可能になり、長期的な視点ではアプリへの貢献が期待できる。

トラッキングをオフ、もしくは通知で「Appにトラッキングしないように要求」を選択すると、アプリの基本機能は従来通り利用できるが、広告が表示されるアプリではユーザーの利用状況や趣味嗜好を考慮しない広告内容になりやすい(まったく興味のない広告が表示されやすい)。また、アプリ側で包括的な分析が行えない場合があり、長期的な視点ではアプリへの貢献は小さくなる。

App がアクティビティを追跡してもよいか確認してくる場合 – Apple サポート