トリクルダウン理論(trickle-down effect)とは、富裕層がさらに富めば、投資や消費などの経済活動が活性化して、したたり落ちるように低所得層を含む広い層にもその恩恵が及ぶと主張する経済理論のこと。大企業や高所得者向けの減税や規制緩和といった経済政策を実施すれば結果として経済全体が良くなる、とする考え方である。水が水道の蛇口から滴り落ちる(trickle down)様子に由来する。
トリクルダウン理論は「富が上層から下層に自然に移行する」メカニズムを前提としている。これは、富裕層が資本をより多く持つことで投資や消費を行い、結果的に経済全体を成長させ、その恩恵が社会の他の層にも伝わるという連鎖的な影響である。例えば大企業の成長が雇用を生み出し、消費者の購買力を増加させ、さらに経済活動が活発になるという流れを想定している。
しかしこの理論は、成長途上の経済では効果があったとしても、ある程度成長した経済社会においては有効な所得再配分政策を講じなければ経済全体は大きく成長しない。そのため、富裕層や中間層の経済規模は拡大しても貧富の格差が拡大しやすく、その有効性は疑問視されている。
この情報は役に立ちましたか?