カオスマップ(業界地図)

カオスマップとは、特定業界のプレイヤー(企業、プロダクト)やカテゴリー、関係性を表した業界地図のこと。デジタル広告やデジタルマーケティング系の業界で作成されることが多いが、他の業界でも見られる。

各企業と所属するカテゴリー、関係性、バリューチェーンなどが一覧性のあるマップで整理されていれば、全体像の把握に役立つ。多くの企業が入り交じった複雑な見栄えから「カオスマップ」と呼ばれるが、日本独自の呼称、和製英語である。英語では「industry landscape map」「industry cloud」などと呼ばれ、つまり「業界地図」である。

2010年にアメリカのLUMA Patners社のTerence Kawaja氏が発表した業界地図「LUMAscape」のうち、複雑なディスプレイ広告業界をまとめた「Display LUMAscape」が世界中で広くシェアされた。これを日本では「カオスマップ」と称して紹介され、日本版も作成されるなどで普及したのが起源である。


DISPLAY LUMAscape from LUMA Partners

単なる「業界地図」の一種である。情報量が多く多岐に渡るため、場合によっては一枚の図への表現が破綻しかけており、その状態を日本では「カオス」と呼んでいるにすぎない。それほど複雑でもなくバリューチェーンの視点も欠けた標準的な業界地図を「カオスマップ」と称したり、細分化すべき業界範囲を広く扱って無意味にカオスさを強調しているケースも見られる。

時流として注目を集めやすいことを利用して、客観性を欠いて特定企業を有利な表現にするなど、プロモーションの一環として恣意的に用いられるケースも散見される。