マクロ環境

マクロ環境(macroeconomic environment)とは、組織や事業の外部環境のうち間接的に影響のあるものを指す。組織に機会創出や脅威を与えるなど大きな力を持つが制御できないものであり、政治、経済、社会、技術、法律などが挙げられる。

そのうち、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの外部環境に対して将来的にどのような影響を与えるかを予測することを「PEST分析」と呼ぶ。

マクロ環境に対して、組織によってある程度制御可能な外部環境を「ミクロ環境」という。ミクロ環境は直接的に影響を与えるものであり、市場や競合、顧客動向などが挙げられる。

T2D3

T2D3とは、スタートアップ企業、特にSaaSビジネスを展開する企業がPMF(プロダクトマーケットフィット)の後にARRを「3倍、3倍、2倍、2倍、2倍 (Triple, Triple, Double, Double, Double)」のペースで毎年成長させることを指す。5年後にARRは72倍になり、SaaSビジネスとしてユニコーン企業に指摘するほど企業価値は非常に高いレベルにあるとされる。「Triple, Triple, Double, Double, Double」の頭文字から「T2D3」と呼ばれる。

SaaS領域で著名なVCであるBattery Ventures社のNeeraj Agrawalが提唱した。有名なSaaS企業がT2D3に沿った成長曲線を実現しており、SaaS企業にとっては事業計画の作成の際にこの成長曲線を目標とすることがある。

フィールドマーケティング

フィールドマーケティング(field marketing)とは、小売店をはじめ顧客との接点である売り場を中心としたマーケティング活動のこと。売り場でどのようにメッセージを発し、来店客の購買意欲を高めて売上につなげる一連の活動やその戦略のことである。

商品の陳列方法、POPや販促物の活用、デモやサンプリング、来店客の動線設計や店員のアプローチ方法などが含まれる。販売に直結する売り場作りである。

メーカーの営業担当者や専門業者などが中心となって担当することがあり、その役割の職種を「フィールドスタッフ」「ラウンダー」と呼ぶ。

RTD(レディ・トゥ・ドリンク)

RTDとは、「ready to drink (レディ・トゥ・ドリンク)」の略で、もともとはふたを開けてすぐにそのまま飲める缶入りや瓶入り、ペットボトル入り飲料のこと。狭義では、そのうち市販の低アルコール飲料、例えば缶酎ハイや缶入りカクテル、缶入りハイボールなどを指す。

購入後にすぐに飲めること、特にアルコール飲料であれば既に水や炭酸水で割ってあるため手間がかからないことが特徴である。比較的低価格で販売されていることもあり、需要は高くなっている。

RTDに対して、水や炭酸水、ジュースなどで割って飲む前提のものや、グラスに注いで飲む前提の缶入りや瓶入りの飲料のことを「RTS (ready to serve, レディ・トゥ・サーブ)」という。

ダブルオプトイン

ダブルオプトイン(double opt-in)とは、ユーザーがメールマガジンや会員登録の申し込みの際に、入力したメールアドレス宛に届いたメールに記載のURLをクリックしてはじめて申し込みが完了する方式のこと。

2段階でユーザーの同意(オプトイン)を得る仕組みである。ユーザーによる承諾を確実に得ており、第三者による不正や誤登録を防ぐことができる。そのため個人情報保護の観点から望ましい方式とされる。

ヨーロッパのいくつかの国ではダブルオプトインが法的に義務づけられている(オーストリア、ドイツ、ギリシャ、スイス、ルクセンブルク、ノルウェーなど)。

ダブルオプトインに対し、一度のメールアドレスの入力で承諾を得る仕組みを「シングルオプトイン」と呼ぶ。

レイアウトシフト

レイアウトシフト(layout shift)とは、Webサイトのページが読み込みから表示されるまでの間にレイアウトがずれたり崩れたりする現象のこと。HTML上の要素がレンダリング処理される際にフレーム間で開始位置が異なるために、ページの表示の途中でコンテンツのズレや移動が発生するというものである。画像(img要素)や広告などの挿入の際に起こりやすく、それ以降の記述のコンテンツに影響する。

グーグルも、CLS(Cumulative Layout Shift, 累積レイアウトシフト)のスコアをページエクスペリエンス上の重要な要素の一つとして扱っている。CLSは、Google検索のランキング決定要素として導入された指標Core Web Vitalsの構成要素の一つである。

Fediverse(フェディバース)

Fediverse(フェディバース)とは、マイクロブログをはじめとした分散型ソーシャルネットワーキングサービスを提供する独立したサーバー群が、オープン標準の通信プロトコルを通して相互に接続するネットワーク世界やその概念のこと。分散型SNSの集合体である。英語の「federation (連合)」と「universe (宇宙)」を組み合わせた言葉である。

このネットワークに接続していれば、どのサービスやサーバー(インスタンス)に接続していても他のサーバーに属するユーザーとコミュニケーションを取ることができる。ユーザーはテキストや画像などを投稿したり他のユーザーの投稿を購読できる。

Fediverseの世界で運営されているサービスとして有名なものに、Mastodon、Misskey、Pleromaなどがある。これらは通信プロトコルとしてActivityPubを採用しており、Fediverseで使用される主要なプロトコルとなっている。

2023年7月にMeta社が開始したThreadsも、ActivityPubへの対応とFediverseへの参加予定を表明している。

TMK (to my knowledge, 私の知る限りでは)

TMKとは、「to my knowledge」の略で、「私の知っている限りでは」「私のこれまでの経験では」を意味する英語の略語である。インターネットスラング。確定していない情報について自身の意見を述べる際に、「私が知っている限りだと○○」のように添えて用いる。

チャットやショートメッセージといったデジタルコミュニケーションで、カジュアルな表現として用いられる。類似の表現に「AFAIK (as far as I know)」がある。

リアルタイムアタック (RTA)

リアルタイムアタック(real time attack, RTA)とは、ゲームのプレイ開始からクリアまでを、現実の所要時間としてその短さを競うプレイスタイルのこと。ゲーム内で表示されるプレイ時間のカウントの短さを競う「タイムアタック (TA)」に対して、ゲーム内でのセーブ&リセットなどの時間も含めた実際の所要時間の短さを競うものである。

そこから転じて、ゲーム内だけでなく実際の生活でも一連の所作や行動の短さを表すスラング的表現として用いられることがある。

元となる「タイムアタック」の表現は「time」「attack」を組み合わせた和製英語であり、英語では「speedrun」と呼ばれる。そのため「リアルタイムアタック」も和製英語であるが、海外でも「RTA」として名称が広まり一定の流通が見られる。

カテゴリーエントリーポイント (CEP)

カテゴリーエントリーポイント(category entry point, CEP)とは、商品やサービスの購入の際に特定のブランドを想起する接点やきっかけ、イメージのこと。「CEP」と略されることがある。

その商品やブランドが有するイメージというよりも、「○○したいとき」「○○だから」「○○といえば」でそのブランドを想起してもらうような要素のことである。

何か飲み物を購入する際、「ハンバーガーと一緒に」「喉が渇いたから」「爽快感を感じたい」などと思って想起されるブランドや商品があった場合に、それらの要素はブランドや商品にとってのカテゴリーエントリーポイントとなる。この接点が多いほどブランドは想起され、購入検討対象の想起集合である「エボークトセット」に入りやすくなる。

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プレゼンス

プレゼンス(presence)とは、「存在すること」「存在感」「出席」などを意味する英語である。ビジネス領域においては、一定の影響力を持つ存在として相手や一般に認識されている状態を表すことが多い。

ITの領域においては、人や端末などの所在やステータス情報を表すのに用いる。チャットをはじめとしたネットワーク上のリアルタイムなコミュニケーションツールにおいて、自身や相手がいま受信可能なのか離席中なのかといった在籍状況やステータス情報を「プレゼンス情報」と呼ぶ。「プレゼンス管理」などのように用いる。

Working Out Loud

Working Out Loudとは、組織のメンバーに作業内容や進捗、疑問などを常に共有しながらプロジェクトを進めるコラボレーションの手法のこと。Slackなどのチームコミュニケーションツールにて自分の作業内容や気付きをリアルタイムで共有し、作業とプロセスの可視化と共有を図るというものである。

アウトプットすることで自身の思考が整理され、例えば行き詰まった状態から自己解決につながりやすい。またメンバーが閲覧できるタイムラインで共有することで、それがアイデアとなって関連する作業やプロジェクトへ派生したり、さまざまなフィードバックの獲得、ミスや疑問の早期解決などにつながる。

エンジニアの開発プロジェクトを中心に行われている手法だが、それ以外の領域や部門でも活用できる組織コミュニケーションである。

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イエロージャーナリズム

イエロージャーナリズム(yellow journalism)とは、事実に基づく報道よりも扇情的でセンセーショナルな内容で一般の支持を得ようとするジャーナリズムのこと。理想の報道のあり方よりも発行部数や視聴者の獲得に重きを置いたジャーナリズムである。

記事内容に対して極端に大げさな見出しを付けたり、真偽不明の写真や情報の掲載、誤解を招く表現の使用など、全体的に胡散臭い構成が中心となる。

19世紀後半にニューヨークの新聞社「New York World」と「New York Journal-American」が当時大衆に人気のあった漫画『イエロー・キッド』を奪い合って掲載し、発行部数の増加を図ったことに由来する。『イエロー・キッド』はスラム街のスラングが飛び交うような、やや低俗な内容の作品だった。これらの新聞は「イエローペーパー」とも呼ばれた。

キオスク端末(情報キオスク)

キオスク端末(Kiosk端末、情報キオスク)とは、店舗や公共施設などに設置される小型の情報端末のこと。一般の人がタッチパネル操作などを通じて情報にアクセスしたり、サービス利用や支払い、各種手続きなどで用いる。利用者の利便性の向上につながるほか、店舗や施設の提供側としては有人対応の代わりを担い、人件費削減やサービス訴求などにつなげられる。

施設内の案内や受け付け、情報提供、チケットの予約や購入、各種手続きや支払い、商品の注文など、さまざまな用途で用いられる。

スマートフォンやタブレットなど、本来は一般での利用を想定して設計されているが、キオスク端末としての利用を可能にするモードや環境設定を「キオスクモード」と呼ぶことがある。

ワンソースマルチユース (OSMU)

ワンソースマルチユース(one source multi use, OSMU)とは、一つのデータを元にして複数の目的や用途で利用すること。コンテンツや情報の領域にて、管理された一つの素材を元にさまざまな媒体やフォーマットでコンテンツや情報を作成、生成することを指す。「OSMU」と略されることがある。

素材を当初の用途以外のさまざまな用途で流用したり二次利用したりというのも含まれるが、むしろ複数の用途や形式での利用を前提としてデータを一元管理し、構造化されたものとして扱うという概念で捉えたものである。

さまざまな用途への変換の過程や権利契約面が確立されていないことがあり、課題の一つとして挙げられる。

レジ流し

レジ流しとは、他の小売店の売り場スペースの一角を借りて出店するが、販売する従業員やレジによる精算も貸主の小売店に委託する営業手法のこと。出店者は商品の定期的な在庫管理と商品補充のみを行い、貸主に売上の一部を手数料として支払う。大型店の一角や催事場での営業スタイルの一つとして採用されることがある。

一方、小売店のレジカウンターにて商品のスキャンや精算などの一連のレジ業務の通称を「レジ流し」と呼ぶ場合もある。

プリンシパル

プリンシパル(principal)とは、「主要な」「第一の」「最も重要な」を意味する英語だが、ビジネスにおいては「最も重要な人」を表すことが多い。役職や立場としてその領域のトップの地位にいる人のことで、基準はその企業や組織によってさまざまである。

「プリンシパルコンサルタント」「プリンシパルエンジニア」「プリンシパルデザイナー」のように「上級の○○」としての利用も多い。経営トップとしての最高経営責任者(CEO)や学校長などを指す場合もあれば、役職と責任者の区別として用いられるケースもある。

類似の表現に同様の「上級の(役職)」を意味する「シニア (senior)」もあるが、シニアよりもプリンシパルの方がより上級であることが多い。

一般的な利用としては、バレエ団のトップの階級にいるダンサーを「プリンシパル」と呼ぶのが知られている。

リトリート

リトリート(retreat)とは、自宅などの普段の生活拠点から離れた環境に数日間身を置き、日常を忘れてリフレッシュする過ごし方のこと。宗教上のものとして心身の回復を図る内省の活動に由来するが、休暇や旅行における時間の過ごし方の一つとして一般にも取り入れられている。「避難」「引きこもり」「静養所」「瞑想期間」などを意味する英語である。

通常の旅行とは異なり観光を主な目的とはせず、自分自身と向き合い、ヨガや瞑想の軽いアクティビティや食事など、ゆったりと時間を過ごすことで心身のリフレッシュやストレス解消を図るというものである。

日常生活を離れていつもと異なる環境に身を置くことで得られるリラックス効果である「転地効果」「転地療養」や、デンマークで居心地のいい空間や時間を表す「ヒュッゲ (hygge)」と類似する。

デッドストック(流通在庫品)

デッドストック(dead stock)とは、消費者に購入されることなく長期間にわたって在庫として保管されていた商品のこと。売れ残り品の一種で「流通在庫品」とも呼ばれる。主にアパレルなど服飾品で用いられることが多い。「dead (死んでいる、廃れた)」と「stock (在庫品)」を組み合わせた言葉である。

長期間にわたって在庫として放置されているため、型遅れや型落ちになっている商品が多くを占める。店舗にとっては不良在庫であり、安価で放出されることが多い。そのため、消費者にとっては新品でありながら安く購入できたり、年代物の商品を良いコンディションで購入できたりといったメリットがある。

ゼロクリックコンテンツ

ゼロクリックコンテンツ(zero click content)とは、検索エンジンの結果ページ(SERP)やソーシャルメディアなどにおいて、クリックする必要がなくそれ単体で価値や魅力を持つコンテンツや情報のこと。該当コンテンツからリンク先に誘導するクリック要素が設けられていることがあるが、そのクリックを必要としないほどの価値あるコンテンツのことである。

2010年代後半から、ユーザーが検索エンジンで検索を行った際にSERPに表示されたコンテンツに知りたい情報を見つけるも、リンクをクリックすることなく検索行動を終える「ゼロクリック検索」が注目されるようになった。またソーシャルメディアもユーザーにプラットフォーム内での滞在を求める意向を強め始めた。InstagramやTikTokのようにそもそもコンテンツにリンクを設けにくかったり、Twitterなどでもリンクのないコンテンツの評価を優遇するアルゴリズムが設けられるようになった。

その流れの中で、Webサイトなど従来まで基盤と捉えられていた領域にリンクで誘導することなく、それ単体で価値や魅力を持たせようと作成されたコンテンツの流通が増加している。

2022年にSparkToro社のAmanda Natividadによる記事で注目を集めた。

Zero-Click Content: The Counterintuitive Way to Succeed in a Platform-Native World – SparkToro