パイロットテスト

パイロットテスト(pilot test)とは、新しい取り組みを進める際に、全体的な実行においても想定通りに有効かどうかを事前に評価するために一部を対象に実施する小規模なテストのこと。事前の調査であり、その評価をもって全体に展開するかを検討する。テストを通じて、全体的な展開の際に問題はないか採算性は適正かなどを評価するデータを得ることができる。

リサーチの領域においては、調査票の試案の完成後、本調査の前に調査対象に類似したグループを対象に行われる試験的な調査のことを指す。質問の意図は伝わるか、質問構成やその量や選択肢は適切かなどを踏まえ、調査票を最終版に仕上げる。

ノイジーマイノリティ

ノイジーマイノリティ(noisy minority)とは意見や主張を声高に掲げる少数派集団のこと。非常に積極的に意見を表明するために多数派やその他の少数派の意見が遮られてしまい、実際よりも強い影響力を持っているような錯覚を与える。攻撃的な態度であることが多いため批判的な文脈で用いられ、実質的にクレーマーと近いニュアンスを持つ。「声高な少数派」「口うるさい少数派」などとも呼ばれる。

対義語は「サイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)」である。1969年に当時のアメリカのニクソン大統領が、政治的意見を声高に表明する者は少数派であると批判して「ボーカルマイノリティー (vocal minority)」と呼んだのがきっかけである。

マーケティングの領域においても、多くの人は何も言わずに満足しているが一部の人のみの批判的なレビューや口コミが目立ってしまったり、特定の一部の人の意見が重視されてしまったりというケースが起こりやすい。

ミクロ環境

ミクロ環境とは、組織や事業の外部環境のうちある程度制御可能なものを指す。組織や事業に直接影響を与えるものであり、市場の規模やその成長、顧客動向、競合、サプライヤーや流通構造などが挙げられる。

ミクロ環境の分析には、外部環境と内部環境の総合的な分析としての「SWOT分析」、市場環境の分析としての「3C分析」、競合分析としての「ファイブフォース分析(5F分析)」などがある。

ミクロ環境に対して、組織に対して間接的に影響のある外部環境のことを「マクロ環境」という。組織に機会創出や脅威を与えるなど大きな力を持つが制御できないものであり、政治、経済、社会、技術、法律などが挙げられる。マクロ環境はミクロ環境の外側の環境と言える。

オーバーツーリズム(観光公害)

オーバーツーリズム(over tourism)とは、観光地において、キャパシティ以上の観光客の著しい増加がその地域住民の生活や自然環境などに対して悪影響を及ぼしたり、かえって観光客の満足度を低下させるような状況のこと。交通渋滞をはじめとした混雑、ゴミや騒音などの迷惑行為、自然破壊や文化財の損傷などが具体的な問題や影響として取り上げられる。世界各国で問題となっている。日本語では「観光公害」と訳される。

観光客の急激な増加に対してインフラ強化などの対応が間に合わず、地域住民の生活に影響が出て大きな負担となるだけでなく、観光の質の低下など経済的損失の影響にもつながる。対応策として観光客の制限、観光客への課税を財源とした環境整備、近隣の観光地への積極的な誘導などがあるが、具体的な解決には時間を要することが多い。

マインドワンダリング

マインドワンダリング(mind-wandering)とは、一般的には集中して課題や作業に取り組んでいるときに、それとは無関係なテーマに思考や注意が移っていく心理的状態や現象のことを指すことが多い。「心ここにあらず」の状態である。学術的にもさまざまな見解があり、普遍的な定義としてはまだない。「mind (心、精神)」と「wander (歩き回る、さまよう、徘徊する)」を組み合わせた英語である。

集中力や記憶力の低下、作業効率や感情の悪化といったネガティブな影響が指摘されやすい。一方で一般的に人は生活時間の一定の割合をマインドワンダリングに費やしており、日常的な現象とも言える。創造的な思考の促進や問題解決の側面、リラックス効果などポジティブな効果もあるとされる。発生する頻度や内容は人によって異なる。

今後はマインドワンダリングの制御メカニズムの解明と、より効果的な制御方法の開発が期待されている。

決め打ち

決め打ちとは、ビジネス領域においては物事の展開や予定、結論を事前に決めておき、それに基づいて実行すること。もしくはピンポイントで指定や決定すること。ビジネス用語として「決め打ちで行動する」などのように用いる。決め打ちによって効率的に目標を達成することができる。

もともとは囲碁や麻雀、ゲームなどにおいて、あらかじめ打ち手や最終形を決めておいてそのとおりになるように狙って展開を進めることを指す。より効率的に有利な状態に近づくことができる一方で、失敗した場合の回避策を準備していく必要がある。

マクロ環境

マクロ環境(macroeconomic environment)とは、組織や事業の外部環境のうち間接的に影響のあるものを指す。組織に機会創出や脅威を与えるなど大きな力を持つが制御できないものであり、政治、経済、社会、技術、法律などが挙げられる。

そのうち、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの外部環境に対して将来的にどのような影響を与えるかを予測することを「PEST分析」と呼ぶ。

マクロ環境に対して、組織によってある程度制御可能な外部環境を「ミクロ環境」という。ミクロ環境は直接的に影響を与えるものであり、市場や競合、顧客動向などが挙げられる。

T2D3

T2D3とは、スタートアップ企業、特にSaaSビジネスを展開する企業がPMF(プロダクトマーケットフィット)の後にARRを「3倍、3倍、2倍、2倍、2倍 (Triple, Triple, Double, Double, Double)」のペースで毎年成長させることを指す。5年後にARRは72倍になり、SaaSビジネスとしてユニコーン企業に指摘するほど企業価値は非常に高いレベルにあるとされる。「Triple, Triple, Double, Double, Double」の頭文字から「T2D3」と呼ばれる。

SaaS領域で著名なVCであるBattery Ventures社のNeeraj Agrawalが提唱した。有名なSaaS企業がT2D3に沿った成長曲線を実現しており、SaaS企業にとっては事業計画の作成の際にこの成長曲線を目標とすることがある。

フィールドマーケティング

フィールドマーケティング(field marketing)とは、小売店をはじめ顧客との接点である売り場を中心としたマーケティング活動のこと。売り場でどのようにメッセージを発し、来店客の購買意欲を高めて売上につなげる一連の活動やその戦略のことである。

商品の陳列方法、POPや販促物の活用、デモやサンプリング、来店客の動線設計や店員のアプローチ方法などが含まれる。販売に直結する売り場作りである。

メーカーの営業担当者や専門業者などが中心となって担当することがあり、その役割の職種を「フィールドスタッフ」「ラウンダー」と呼ぶ。

RTD(レディ・トゥ・ドリンク)

RTDとは、「ready to drink (レディ・トゥ・ドリンク)」の略で、もともとはふたを開けてすぐにそのまま飲める缶入りや瓶入り、ペットボトル入り飲料のこと。狭義では、そのうち市販の低アルコール飲料、例えば缶酎ハイや缶入りカクテル、缶入りハイボールなどを指す。

購入後にすぐに飲めること、特にアルコール飲料であれば既に水や炭酸水で割ってあるため手間がかからないことが特徴である。比較的低価格で販売されていることもあり、需要は高くなっている。

RTDに対して、水や炭酸水、ジュースなどで割って飲む前提のものや、グラスに注いで飲む前提の缶入りや瓶入りの飲料のことを「RTS (ready to serve, レディ・トゥ・サーブ)」という。