マルチポスト(多重投稿)

マルチポスト(multi-post, multipost, multiposting)とは、同じ内容の文章や画像を複数のWebサービス(電子掲示板、メーリングリスト、質問サービス、ソーシャルメディアなど)に同時に投稿すること。多重投稿ともいう。

1990年代後半から2000年代にかけては電子掲示板やメーリングリスト、質問サービスでの多重投稿のことを主に指していた。同じ内容の記事や質問を複数の異なる場所に投稿すると、より多くのユーザーの目に触れる機会を得るが、一方でマナーに反するともされる。複数の電子掲示板や質問サービス(Yahoo!知恵袋や教えて!gooなど)に同じ内容を投稿すると、既に他の場所で最適な回答を得たにもかかわらず別の場所で善意ある新たな回答者の労力を無駄に使用することになる、といった例が挙げられる。

2010年頃からはソーシャルメディア(SNS)でも複数のチャネルに同一内容で投稿することをマルチポストと呼ぶようになった。ソーシャルメディアにおいては電子掲示板や質問サービスほどではないが、他のチャネルで見た内容と同じものを再び見ることになり、稀に反感を買うことがある。

RFV分析

RFV分析とは、Recency(リーセンシー、最新の利用日)、Frequency(フリークエンシー、利用頻度・利用回数)、Volume(ボリューム、利用量)の3つの指標軸を用いて顧客を分類する顧客分析の手法のこと。顧客のサービス利用状況や満足度、ユーザーエンゲージメントの分析手法である。RFM分析と視点は類似する。

単一の指標で分析するのではなく、複数の指標を組み合わせて分析することでより実態を把握できるようになる。サービスによってRecency、Frequency、Volumeの重み付けは異なる。それぞれの指標を用いてスコアリングし、ユーザー層ごとにセグメントに分けることで、それぞれに適した施策を検討できるようになる。

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ピア効果

ピア効果(peer effect)とは、組織や集団に身を置くことでその同僚や仲間などの関係性の近い人から影響を受けること。所属するメンバーに触発されて、お互いの意識や行動に影響を与えるというものである。経済学や教育学において用いられることが多い。「peer」は「同僚」「同等の人」を意味する英語である。

能力や意識の高い集団に属すれば、お互いに競争し合い切磋琢磨することで組織全体のレベルの向上につながる。これを「正のピア効果」という。

一方で、必ずしもポジティブな効果だけではない。他のメンバーとの能力の差が大きい場合に、かえって自身の能力が低下することがあり、これを「負のピア効果」という。集団の中にネガティブな態度や能力の低いメンバーが一定数いる場合も、悪影響を受けて自身や組織全体のモチベーションの低下、レベルの低下につながる。

accum. (accumulative, 累計の)

「accum.」とは、「収集された」積み重ねた」「累積の」を意味する英語の「accumulative」の略である。

データや統計、指標などで使用される場合は「累計の」の意味であることが多い。「accum. views」であれば「累積視聴」となる。単に累計であれば「accumulated total」と表現する。

バリキャリ

バリキャリとは、働く女性のうち仕事やキャリアアップへの意識が高く、それを実践している人のこと。「バリバリ働くキャリアウーマン」などの略とされる。

一定水準の役職や社会的地位、高収入、人気の職種、起業といった環境下にあることが多い。活発で向上心が強く、プライベートの充実を差し置いてでもさらなるキャリアアップを目指して労働や自己投資、資格取得などに励むような人である。男性に対しては基本的には用いない。

バリキャリに対して、仕事はほどほどにして趣味や恋愛、家庭などのプライベートをより充実させたい意識の強い女性を「ゆるキャリ」と称したりする。

アンドン

アンドン(andon)とは、主に製造業の工場における工程の運転状況や異常を関係者に知らせるための表示やその仕組みのこと。工場内に設置され、生産ラインや設備の異常が発生すると赤色のランプが点灯し、平常運転であれば緑色が点灯するというような「目で見て管理する」仕組みや装置である。トヨタ自動車による工場の生産管理「トヨタ生産方式」の要素の一つ。照明器具の「行灯(あんどん)」に由来する。海外でも「andon」として普及している。

流れ作業などの生産ラインでは異常を他者に知らせにくいため、改善の必要な箇所の可視化の一環として取り入れられた。ランプの色は企業によって異なるが、赤色、黄色、白色、緑色が多く用いられる。赤色は停止を必要とする異常の発生、黄色は何らかの小さな異常の発生、緑色は平常運転といった使い分けがされる。

コールドコール

コールドコール(cold call)とは、見知らぬ相手からの電話のこと、もしくはこれまで接点のなかった相手に対して電話で接点を持とうとすることである。特にBtoBビジネスなどの領域においては、面識も接点もない相手に対して電話をかけ、商品やサービスの営業提案を行うことを指す。営業電話の一種。既に営業プロセスに乗っている「温まった営業リスト」ではなく、「冷たいリスト」に対する電話に由来する。

低コストで始められ、訪問するよりも広範囲で数多くの営業数をこなせるといったメリットがある。一方で、時間や労力がかかるものの成約率は低く、担当者につながりにくいため具体的な需要やニーズも把握しにくい。近年では迷惑電話の一種として認識されることもある。効果的なコールドコールのためには、適切なリストをはじめとした事前の準備とスタッフの管理などが重要となる。

ユニファイドコマース

ユニファイドコマース(unified commerce)とは、eコマースや実店舗などさまざまなチャネルの顧客体験やデータ活用が統合された状態のコマース(商取引ビジネス)の取り組み、概念のこと。オンラインやオフライン、商品在庫管理、購買履歴をはじめとした顧客管理、行動データ管理など、さまざまなものが統合された(unified)状態にある。企業側の管理の側面だけでなく、消費者側の一連の購入体験もオンラインやオフライン、チャネルなどを意識することなくシームレスになっている状態である。

チャネルやタッチポイントが何であれ、消費者は一貫したサービスや接客を受けることができる。企業も、消費者がどこで行動しようとも一人ひとりに最適なマーケティング活動を行えるようになる。そのための前提となる仕組みや構造がユニファイドコマースである。

オムニチャネルやO2Oと類似するが、「チャネルの統合(オムニチャネル)」や「オンラインからオフラインへの連携強化(O2O)」にとどまらない次元での統合がユニファイドコマースである。オンラインとオフラインの統合を指す「OMO (Online Merges with Offline)」と考え方としては近い。

モーダルウィンドウ(ポップアップ表示)

モーダルウィンドウ(modal window)とは、アプリケーションやソフトウェアのユーザーインターフェイス(UI)において、ユーザーが適切に応答しない限り元の親ウィンドウや他の画面を操作できない子ウィンドウのことである。ユーザーに対して承諾やキャンセル、項目の選択や注意事項の確認を求める目的で用いられる。「モーダルダイアログ」「ポップアップ表示(ポップアップ表示)」とも呼ばれる。

通常使用するウィンドウの前面に表示されることが多い。

以下のような用途での利用が多い。

  • 告知、アラートや注意喚起、エラーメッセージ
  • 選択肢の提示
  • 必要事項の記入
  • 読み込み中の案内(親ウィンドウ操作不可のため)

リセマラ(リセットマラソン)

リセマラとは、リセットマラソンの略で、スマートフォンのゲームアプリのインストールとアンインストールを繰り返す行為のこと。アプリのインストールとアンインストールを繰り返して、初回のガチャで目当てのキャラクターやアイテムを入手することを目的としている。

「リセットマラソン」は、ゲームを初期状態に戻す「リセット」と「マラソン」を掛け合わせた日本固有の造語である。2012年頃に2ちゃんねるで略語として「リセマラ」が使用され、その後スマホゲームに限らず序盤の優位を獲得する行為として一般に広まった。

そこから転じて、ゲームの領域だけでなく、目的のために瞬間的な労力や金額を動員して期待に至らなければすぐに撤退、その後に領域を少しずらして同様の行為を繰り返すことを「リセマラ」と呼ぶこともある。

フェルミ推定(オーダーエスティメーション)

フェルミ推定(Fermi estimate)とは、正確な数値がわからないものや実態の調査計測が困難な数量を、既にある情報を頼りに論理的に推測して短時間で見積もること。概算の見積もり。「オーダーエスティメーション (order estimation)」ともいう。

このような概算を得意としていたイタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi)に由来する。フェルミがシカゴ大学の学生に対して出題したとされる問題「シカゴには何人のピアノ調律師がいるか?」はよく知られている。

正確な数値である必要はないが、学術的には有効数字1~2桁程度の概算であることが望ましい。限られた情報と時間の中でどれだけ論理的な思考とプレゼンテーションを行えるかや「地頭の良さ」を見る目的で、企業の採用試験や面接で使われるケースがある。

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引き上げ率

引き上げ率には複数の意味がある。

通販やeコマースの領域における引き上げ率とは、1回目の購入をした顧客のうち2回目の購入に至った顧客の割合を表す指標である。特に初回でトライアル商品やお試し商品を購入(もしくは利用)し、その後に本商品購入や定期購入、サブスクリプションに至った顧客に対してその割合を指すことが多い。「F2転換率」と同意。

通販やeコマースではどれだけ新規顧客がリピート購入してくれるかが収益を左右し、特にリピート通販やトライアル商品を扱うショップでは引き上げ率が経営の大きな鍵を握る。

雇用経済の領域における引き上げ率とは、地域の最低賃金や企業の基本給などがどれだけ上昇、賃上げしたかを表す指標である。

支払いサイト

支払いサイト(payment term, usance)とは、取引期間の締め日から支払期日までの期間のこと。締め日に決定した金額をどれくらい後に支払うかを意味し、「日数」もしくは「月末締め翌月末払い」のような表現で表すことが多い。期間内に取引した金額を後からまとめて支払う「掛取引」や、期日までに指定金額の支払いを約束する有価証券「約束手形」において用いられる。

買い手(支払い側)としては支払期日までの猶予期間が一定期間あり、その間に資金を調達することができる。売り手としては取引ごとに支払い時期をある程度統一かつ明確にできる一方で、利益の確定のために売掛金を早く回収する必要がある。ビジネスにおいては30日~45日程度が一般的である。

「支払いサイト」は日本固有の表現である。「サイト」は英語で「視界、見える範囲」などを意味する「sight」に由来する。「Webサイト」とは無関係。

シャドーIT

シャドーIT(shadow IT)とは、業務で使用されるIT端末やソフトウェア、サービスのうち、企業が把握していないものを指す。従業員や部門の独自の判断にてデバイスやソフトウェアが導入、利用されているが、情報システム部門など企業の管理側が承認していない、あるいは把握していない状態である。企業が管理できていないため、企業全体のセキュリティに影響を及ぼす可能性がある。

従業員による独自判断で利用されるデバイスやソフトウェアは適切な管理下にないことが多く、脆弱性への対策がおろそかになりやすい。そのため情報漏洩や端末の紛失、マルウェア感染などさまざまなリスクが増大する。

シャドーITに対して、従業員の個人所有のIT端末を業務で使用することを許可する状況を「BYOD (Bring Your Own Device)」と呼ぶ。企業による承認を受けて管理下にあるため、一定のセキュリティ対策を取りやすくなる。

パイロットテスト

パイロットテスト(pilot test)とは、新しい取り組みを進める際に、全体的な実行においても想定通りに有効かどうかを事前に評価するために一部を対象に実施する小規模なテストのこと。事前の調査であり、その評価をもって全体に展開するかを検討する。テストを通じて、全体的な展開の際に問題はないか採算性は適正かなどを評価するデータを得ることができる。

リサーチの領域においては、調査票の試案の完成後、本調査の前に調査対象に類似したグループを対象に行われる試験的な調査のことを指す。質問の意図は伝わるか、質問構成やその量や選択肢は適切かなどを踏まえ、調査票を最終版に仕上げる。

ノイジーマイノリティ

ノイジーマイノリティ(noisy minority)とは意見や主張を声高に掲げる少数派集団のこと。非常に積極的に意見を表明するために多数派やその他の少数派の意見が遮られてしまい、実際よりも強い影響力を持っているような錯覚を与える。攻撃的な態度であることが多いため批判的な文脈で用いられ、実質的にクレーマーと近いニュアンスを持つ。「声高な少数派」「口うるさい少数派」などとも呼ばれる。

対義語は「サイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)」である。1969年に当時のアメリカのニクソン大統領が、政治的意見を声高に表明する者は少数派であると批判して「ボーカルマイノリティー (vocal minority)」と呼んだのがきっかけである。

マーケティングの領域においても、多くの人は何も言わずに満足しているが一部の人のみの批判的なレビューや口コミが目立ってしまったり、特定の一部の人の意見が重視されてしまったりというケースが起こりやすい。

ミクロ環境

ミクロ環境とは、組織や事業の外部環境のうちある程度制御可能なものを指す。組織や事業に直接影響を与えるものであり、市場の規模やその成長、顧客動向、競合、サプライヤーや流通構造などが挙げられる。

ミクロ環境の分析には、外部環境と内部環境の総合的な分析としての「SWOT分析」、市場環境の分析としての「3C分析」、競合分析としての「ファイブフォース分析(5F分析)」などがある。

ミクロ環境に対して、組織に対して間接的に影響のある外部環境のことを「マクロ環境」という。組織に機会創出や脅威を与えるなど大きな力を持つが制御できないものであり、政治、経済、社会、技術、法律などが挙げられる。マクロ環境はミクロ環境の外側の環境と言える。

オーバーツーリズム(観光公害)

オーバーツーリズム(over tourism)とは、観光地において、キャパシティ以上の観光客の著しい増加がその地域住民の生活や自然環境などに対して悪影響を及ぼしたり、かえって観光客の満足度を低下させるような状況のこと。交通渋滞をはじめとした混雑、ゴミや騒音などの迷惑行為、自然破壊や文化財の損傷などが具体的な問題や影響として取り上げられる。世界各国で問題となっている。日本語では「観光公害」と訳される。

観光客の急激な増加に対してインフラ強化などの対応が間に合わず、地域住民の生活に影響が出て大きな負担となるだけでなく、観光の質の低下など経済的損失の影響にもつながる。対応策として観光客の制限、観光客への課税を財源とした環境整備、近隣の観光地への積極的な誘導などがあるが、具体的な解決には時間を要することが多い。

マインドワンダリング

マインドワンダリング(mind-wandering)とは、一般的には集中して課題や作業に取り組んでいるときに、それとは無関係なテーマに思考や注意が移っていく心理的状態や現象のことを指すことが多い。「心ここにあらず」の状態である。学術的にもさまざまな見解があり、普遍的な定義としてはまだない。「mind (心、精神)」と「wander (歩き回る、さまよう、徘徊する)」を組み合わせた英語である。

集中力や記憶力の低下、作業効率や感情の悪化といったネガティブな影響が指摘されやすい。一方で一般的に人は生活時間の一定の割合をマインドワンダリングに費やしており、日常的な現象とも言える。創造的な思考の促進や問題解決の側面、リラックス効果などポジティブな効果もあるとされる。発生する頻度や内容は人によって異なる。

今後はマインドワンダリングの制御メカニズムの解明と、より効果的な制御方法の開発が期待されている。

決め打ち

決め打ちとは、ビジネス領域においては物事の展開や予定、結論を事前に決めておき、それに基づいて実行すること。もしくはピンポイントで指定や決定すること。ビジネス用語として「決め打ちで行動する」などのように用いる。決め打ちによって効率的に目標を達成することができる。

もともとは囲碁や麻雀、ゲームなどにおいて、あらかじめ打ち手や最終形を決めておいてそのとおりになるように狙って展開を進めることを指す。より効率的に有利な状態に近づくことができる一方で、失敗した場合の回避策を準備していく必要がある。