アンドン

アンドン(andon)とは、主に製造業の工場における工程の運転状況や異常を関係者に知らせるための表示やその仕組みのこと。工場内に設置され、生産ラインや設備の異常が発生すると赤色のランプが点灯し、平常運転であれば緑色が点灯するというような「目で見て管理する」仕組みや装置である。トヨタ自動車による工場の生産管理「トヨタ生産方式」の要素の一つ。照明器具の「行灯(あんどん)」に由来する。海外でも「andon」として普及している。

流れ作業などの生産ラインでは異常を他者に知らせにくいため、改善の必要な箇所の可視化の一環として取り入れられた。ランプの色は企業によって異なるが、赤色、黄色、白色、緑色が多く用いられる。赤色は停止を必要とする異常の発生、黄色は何らかの小さな異常の発生、緑色は平常運転といった使い分けがされる。

コールドコール

コールドコール(cold call)とは、見知らぬ相手からの電話のこと、もしくはこれまで接点のなかった相手に対して電話で接点を持とうとすることである。特にBtoBビジネスなどの領域においては、面識も接点もない相手に対して電話をかけ、商品やサービスの営業提案を行うことを指す。営業電話の一種。既に営業プロセスに乗っている「温まった営業リスト」ではなく、「冷たいリスト」に対する電話に由来する。

低コストで始められ、訪問するよりも広範囲で数多くの営業数をこなせるといったメリットがある。一方で、時間や労力がかかるものの成約率は低く、担当者につながりにくいため具体的な需要やニーズも把握しにくい。近年では迷惑電話の一種として認識されることもある。効果的なコールドコールのためには、適切なリストをはじめとした事前の準備とスタッフの管理などが重要となる。

ユニファイドコマース

ユニファイドコマース(unified commerce)とは、eコマースや実店舗などさまざまなチャネルの顧客体験やデータ活用が統合された状態のコマース(商取引ビジネス)の取り組み、概念のこと。オンラインやオフライン、商品在庫管理、購買履歴をはじめとした顧客管理、行動データ管理など、さまざまなものが統合された(unified)状態にある。企業側の管理の側面だけでなく、消費者側の一連の購入体験もオンラインやオフライン、チャネルなどを意識することなくシームレスになっている状態である。

チャネルやタッチポイントが何であれ、消費者は一貫したサービスや接客を受けることができる。企業も、消費者がどこで行動しようとも一人ひとりに最適なマーケティング活動を行えるようになる。そのための前提となる仕組みや構造がユニファイドコマースである。

オムニチャネルやO2Oと類似するが、「チャネルの統合(オムニチャネル)」や「オンラインからオフラインへの連携強化(O2O)」にとどまらない次元での統合がユニファイドコマースである。オンラインとオフラインの統合を指す「OMO (Online Merges with Offline)」と考え方としては近い。

モーダルウィンドウ(ポップアップ表示)

モーダルウィンドウ(modal window)とは、アプリケーションやソフトウェアのユーザーインターフェイス(UI)において、ユーザーが適切に応答しない限り元の親ウィンドウや他の画面を操作できない子ウィンドウのことである。ユーザーに対して承諾やキャンセル、項目の選択や注意事項の確認を求める目的で用いられる。「モーダルダイアログ」「ポップアップ表示(ポップアップ表示)」とも呼ばれる。

通常使用するウィンドウの前面に表示されることが多い。

以下のような用途での利用が多い。

  • 告知、アラートや注意喚起、エラーメッセージ
  • 選択肢の提示
  • 必要事項の記入
  • 読み込み中の案内(親ウィンドウ操作不可のため)

リセマラ(リセットマラソン)

リセマラとは、リセットマラソンの略で、スマートフォンのゲームアプリのインストールとアンインストールを繰り返す行為のこと。アプリのインストールとアンインストールを繰り返して、初回のガチャで目当てのキャラクターやアイテムを入手することを目的としている。

「リセットマラソン」は、ゲームを初期状態に戻す「リセット」と「マラソン」を掛け合わせた日本固有の造語である。2012年頃に2ちゃんねるで略語として「リセマラ」が使用され、その後スマホゲームに限らず序盤の優位を獲得する行為として一般に広まった。

そこから転じて、ゲームの領域だけでなく、目的のために瞬間的な労力や金額を動員して期待に至らなければすぐに撤退、その後に領域を少しずらして同様の行為を繰り返すことを「リセマラ」と呼ぶこともある。

フェルミ推定(オーダーエスティメーション)

フェルミ推定(Fermi estimate)とは、正確な数値がわからないものや実態の調査計測が困難な数量を、既にある情報を頼りに論理的に推測して短時間で見積もること。概算の見積もり。「オーダーエスティメーション (order estimation)」ともいう。

このような概算を得意としていたイタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi)に由来する。フェルミがシカゴ大学の学生に対して出題したとされる問題「シカゴには何人のピアノ調律師がいるか?」はよく知られている。

正確な数値である必要はないが、学術的には有効数字1~2桁程度の概算であることが望ましい。限られた情報と時間の中でどれだけ論理的な思考とプレゼンテーションを行えるかや「地頭の良さ」を見る目的で、企業の採用試験や面接で使われるケースがある。

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引き上げ率

引き上げ率には複数の意味がある。

通販やeコマースの領域における引き上げ率とは、1回目の購入をした顧客のうち2回目の購入に至った顧客の割合を表す指標である。特に初回でトライアル商品やお試し商品を購入(もしくは利用)し、その後に本商品購入や定期購入、サブスクリプションに至った顧客に対してその割合を指すことが多い。「F2転換率」と同意。

通販やeコマースではどれだけ新規顧客がリピート購入してくれるかが収益を左右し、特にリピート通販やトライアル商品を扱うショップでは引き上げ率が経営の大きな鍵を握る。

雇用経済の領域における引き上げ率とは、地域の最低賃金や企業の基本給などがどれだけ上昇、賃上げしたかを表す指標である。

支払いサイト

支払いサイト(payment term, usance)とは、取引期間の締め日から支払期日までの期間のこと。締め日に決定した金額をどれくらい後に支払うかを意味し、「日数」もしくは「月末締め翌月末払い」のような表現で表すことが多い。期間内に取引した金額を後からまとめて支払う「掛取引」や、期日までに指定金額の支払いを約束する有価証券「約束手形」において用いられる。

買い手(支払い側)としては支払期日までの猶予期間が一定期間あり、その間に資金を調達することができる。売り手としては取引ごとに支払い時期をある程度統一かつ明確にできる一方で、利益の確定のために売掛金を早く回収する必要がある。ビジネスにおいては30日~45日程度が一般的である。

「支払いサイト」は日本固有の表現である。「サイト」は英語で「視界、見える範囲」などを意味する「sight」に由来する。「Webサイト」とは無関係。

シャドーIT

シャドーIT(shadow IT)とは、業務で使用されるIT端末やソフトウェア、サービスのうち、企業が把握していないものを指す。従業員や部門の独自の判断にてデバイスやソフトウェアが導入、利用されているが、情報システム部門など企業の管理側が承認していない、あるいは把握していない状態である。企業が管理できていないため、企業全体のセキュリティに影響を及ぼす可能性がある。

従業員による独自判断で利用されるデバイスやソフトウェアは適切な管理下にないことが多く、脆弱性への対策がおろそかになりやすい。そのため情報漏洩や端末の紛失、マルウェア感染などさまざまなリスクが増大する。

シャドーITに対して、従業員の個人所有のIT端末を業務で使用することを許可する状況を「BYOD (Bring Your Own Device)」と呼ぶ。企業による承認を受けて管理下にあるため、一定のセキュリティ対策を取りやすくなる。

パイロットテスト

パイロットテスト(pilot test)とは、新しい取り組みを進める際に、全体的な実行においても想定通りに有効かどうかを事前に評価するために一部を対象に実施する小規模なテストのこと。事前の調査であり、その評価をもって全体に展開するかを検討する。テストを通じて、全体的な展開の際に問題はないか採算性は適正かなどを評価するデータを得ることができる。

リサーチの領域においては、調査票の試案の完成後、本調査の前に調査対象に類似したグループを対象に行われる試験的な調査のことを指す。質問の意図は伝わるか、質問構成やその量や選択肢は適切かなどを踏まえ、調査票を最終版に仕上げる。