POV視点(一人称視点)

POVとは、「point of view(ポイント・オブ・ビュー)」の略で、視点や観点、見方といった意味の英語だが、映像や撮影の領域では「一人称視点」で撮影する「主観ショット」「視点撮影」のことを指すことが多い。カメラの視線と登場人物の視線が一致した撮影手法のこと。「POV視点」「POV撮影」「POVショット(point-of-view shot)」ともいう。読みは「ピーオーブイ」。

第三者視点ではなく、登場人物が見る世界を視聴者が疑似体験でき、まるで現場にいるような臨場感あふれる演出効果を持つ。映画やドキュメンタリーなどで用いられるほか、小型のアクションカメラの普及でYouTuberによる動画やVlog(ブイログ)などでも用いられる。

類似の表現として、ゲームの領域では、プレイヤーが主人公の視点でゲーム内の世界を自由に移動できるアクションシューティングゲームのことを「ファーストパーソン・シューティングゲーム(first-person shooter, FPS)」と呼ぶ。

巣ごもり消費(家ナカ消費)

巣ごもり消費とは、外出を控えて家の中で生活を完結しようとしたり趣味を楽しんだりしようとする消費傾向のこと。在宅型消費の一つ。インターネット通販(EC)、ケータリングやデリバリー、宅配購入などを積極的に利用したり、スーパーマーケットで大量の商品を買い込んだりする傾向がある。「家ナカ消費(イエナカ消費)」ともいう。またこのような消費の需要を「巣ごもり需要」という。

インスタント食品やレトルト食品、冷凍食品、缶詰やパスタや酒類といった日持ちのする食料、トイレットペーパーをはじめとした日用消費財、ゲームやマンガ、音楽や動画の配信サービスといった家で楽しむエンターテイメントのカテゴリーが多く消費される。外食や旅行、屋外で楽しむレジャーなど、多くの産業がマイナスの影響を受ける。

2008年のリーマンショック以降の不景気の際に用いられるようになり、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大時など、災害時や病気感染が広まった際に注目を集める。節約志向や病気の感染予防の意識が、巣ごもり消費につながりやすい。

アフォーダンス

デザイン領域におけるアフォーダンス(affordance)とは、物や環境の物理的特徴がその機能に影響を与えるという属性、概念のこと。説明なしであっても、その物をどのように扱えばよいのかのヒントや手掛かりを与えてくれる要素になる。実態のある物や環境に対して用いられる。

デザインに内包され、アフォーダンスとその意図された機能が一致するとき、そのデザインは優れている状態になり、使いやすくなる。

例えば、ドアに何もノブや取っ手がない場合、そのドアを横にスライドさせて開けるのか、押せばよいのか引けばよいのかがわからない。ノブが付いていればそれを回し、平らな板が張ってあればそれを押し、取っ手が付いていればそれを引くか押すかをして、ドアを開ける判断ができるようになる。それらのノブや平らな板、取っ手が、ドアを開けるためのアフォーダンスを持つ。

バナー・ブラインドネス

バナー・ブラインドネス(banner blindness)とは、ユーザーがWebサイトに掲示されている「バナー広告」もしくは「バナー広告に類似した画像情報」を無意識のうちに無視する現象のこと。広告であることを理由に無視しているのではなく、画像に広告的なデザイン要素が含まれるとその傾向が現れる。

本来、テキスト情報よりも画像情報の方が、またよりカラフルで動きのあるものの方がユーザーの視点を集めやすいとされる。インターネットが普及し始めた頃、インターネット広告やWebサイトでもカラフルで動きのあるバナー画像がリンク要素として多用されるようになった。しかし、ユーザーがそれによってネガティブな経験を重ねた結果、「この表現は自分の求める情報にはたどり着かない」と無意識に判断し、この現象が起きるようになった。

コア&モア戦略

コア&モア(Core & More)あるいはコア&モア戦略とは、企業やブランドの核となる「コア」を定めてそれを強化しつつ、コアを逸脱しない範囲の「モア」で汎用性を広げるというコンセプトにてビジネスを展開すること。企業やブランドの軸をぶらさずに成長を進められる。

コアコンピタンスあるいはそのターゲット層の顧客を定義し、まずはその領域を安定させ、定番を作りかつ追求し、支持を確立させる。その一方でその確立したコアを生かして、隣接する領域や顧客層に向けてカジュアルな接点を設けたり別の視点でアプローチを行い、ビジネスを拡大していくというものである。

ピークアウト

ピークアウト(peak out)とは、頂点に達してこれ以上は上昇や成長をしないこと、あるいはそのような状況や段階のこと。最高地点に達していて、そこから減少に転じ下り坂になる状況のことである。

経済の側面で用いられることが多く、景気の拡大が頂点に達してそこから景気後退が始まるとみられる局面を指す。経済の領域以外では、流行や病気などの波及状況で用いられる。

プリセールス

プリセールス、あるいはプリセールスエンジニアとは、システム構築やソフトウェアといったIT製品を販売する際に、営業担当者に同行して提案や導入時の支援を行う職業のこと。主に契約に至るまでの業務を担当し、開発や構築の段階には参加しないことが多い。

営業担当者は、技術側面の詳細な知識を持ち合わせていないことが多い。そのため、プリセールスがクライアントに対して技術説明や細かなニーズの吸い上げ、カスタマイズ提案などを担当する。技術知識だけでなく、競合他社や市場の把握、課題のヒアリング能力などが求められる。

オルタナファクト

オルタナファクト(alternative facts, オルタナティブ・ファクト)とは、「広く知られた真実に対する別の異なる真実」という意味で用いられる用語。事実ではない嘘の事象を事実のように故意に語り、自説を虚偽ではないと主張する際などに用いられる。「代替的事実」「もう一つの真実」と訳されることもある。

2017年のアメリカのトランプ大統領就任式に集まった群衆が、オバマ大統領就任式の際よりも明らかに少ないにもかかわらず「群衆は過去最大だった」とスパイサー大統領報道官が発言し、それをコンウェイ大統領顧問が擁護した際に用いた言葉である。客観的には嘘と捉えられる事象を「オルタナファクト(alternative facts)」と呼んだことに対し、メディアやソーシャルメディアが大きく批判し、広まった。

Vlogger(ブイロガー)

Vloggerとは、映像や動画を用いた動画版ブログ「Vlog(ブイログ)」を更新する人のこと。読みは「ブイロガー」。小文字表記の「vlogger」も一般的である。ビデオブロガー。

2010年代半ば頃から、YouTubeやInstagramなどでvlogを発信する人が増加し、YouTuberの流行もあって「Vlogger」と称されるようになった。

詳しくは「Vlog」を参照のこと。

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多元的無知

多元的無知(pluralistic ignorance)とは、多くの人がある特定の価値観や意見を受け入れていないにもかかわらず、「自分以外の人たちはそれを受け入れている」と誤って思ってしまう状況のこと。「自分はそう思っていないが、様々な考えがある中で多くの人がそう思っているのならばそうなのだろう」と受け入れ、それに従ってしまう状況のこと。

「空気を読まず」に異論を述べて自分が不利になるのであれば「空気を読んで」他の意見に同調した方が得策である、と考えて多数の意見に従い、その結果多くの人が受け入れていなかったはずの意見が多数派となってしまうことも、多元的無知の一つとして捉えられる。

アンデルセンの童話「裸の王様」における、「王様の新しい衣装は自分には見えないが、皆は素晴らしいと言っているので自分も同じように言っておこう」という心理と共通するものがあり、例として挙げられることがある。