アドベリフィケーション

アドベリフィケーション(ad verification)とは、インターネット広告が広告主のイメージ低下を招くようなサイトやページに掲載されていないかを確認したり、ユーザーのブラウザ画面内に実際に表示されているかを確認したりして、広告の配信をコントロールするツールや仕組みのこと。2011年ごろからプログラマティック広告(運用型広告)の領域において利用されるようになった。

DSPなどを使った広告配信は、リーチの拡大などのメリットがある一方で、掲載される媒体情報が広告主に開示されない場合があり、意図しないサイトやページに配信される可能性がある。アドベリフィケーションのサービスを利用することで、例えば公序良俗に反するサイトへの広告表示を防げる。

アドベリフィケーションには、一般的には以下の3つの要素を含む。

アドフラウド

アドフラウド(ad fraud, アドフロード)とは、オンライン広告において意図的に無効なインプレッションやクリックを計上する広告詐欺の仕組み、あるいはその問題のこと。インターネット広告を検証する仕組み「アドベリフィケーション」の検証要素の一つ。

アドフラウドは特にプログラマティック広告(運用型広告)の領域において顕著で、自動プログラム「ボット」による不正クリックや広告表示といった手法だけでなく、金銭的な報酬を受け取ったユーザーによる意図的な広告表示やクリックも該当する。

価値あるコンテンツを持たない事業者が、広告主から広告予算を正当なメディアから不当に乗っ取ることを目的としている。

北米では、オンライン広告における全インプレッションの10~20%以上がクリック詐欺を含むアドフラウドによるもの、という調査結果もある。

バンパー広告

バンパー広告とは、YouTubeの動画再生時の前に表示される6秒間のスキップできない動画広告(CM)のこと。2016年5月に提供開始された。

モバイル端末での動画視聴が増えたため、モバイル視聴における数十秒の動画広告は良い印象を与えにくく、また視点が画面右下のスキップボタンに向いてしまい、広告内容が記憶に残りにくいという課題があった。その改善のため、数秒間のスキップできない動画広告の導入に至ったとされる。

バンパーとは、もともとはテレビのCM入りやCM明けの短い時間、あるいは画質や音声モードの切り替え時に生じる短い時間のことで、その時間の調整のために本番組の開始の前に短いビデオクリップなどが用意されることがある。バンパー広告はそれに由来する。

MFI(モバイルファーストインデックス)

MFI(モバイルファーストインデックス)とは、グーグルの検索エンジンが従来のPC向けコンテンツではなくモバイル向けコンテンツの評価を主に使用して、ランキングを決定する仕様のこと。2016年11月にグーグルが計画を発表した。

近年、全世界でモバイル検索数がデスクトップ検索数を超え、多くのユーザーがモバイル向けコンテンツを利用しているにも関わらず、Google検索のランキングはPC向けコンテンツを軸に評価し続けているという問題があった。それを解決するために、モバイル端末が多く利用されているという実態に合わせて、Google検索もモバイルファーストなインデックスに仕様を変更することとなった。

日本時間の2018年3月27日に、グーグルはMFI(モバイルファーストインデックス)への切り替えを幅広い範囲で開始したと発表した。MFIへの切り替えは、準備が整っているサイトから順次行われる。

なお、MFIはGoogle検索のランキングに直接は関係ない。

Google ウェブマスター向け公式ブログ: モバイル ファースト インデックスに向けて(2016年11月5日)
Google ウェブマスター向け公式ブログ: モバイル ファースト インデックスを開始します(2018年3月27日)

PWA (Progressive Web Apps)

PWA(Progressive Web Apps, プログレッシブ ウェブ アプリ)とは、アプリのような体験ができるウェブブラウジング技術のこと。2015年にグーグルが、モバイルユーザーの体験向上やストレス軽減を目的としてリリースした。

アプリでは当然のように備わっている機能や技術、例えばブラウザーを開かない状態でのプッシュ通知や、コンテンツの事前読み込み、オフライン表示、GPSの利用といった機能が、Webサイトでも実現できる。

ブラウザー上でアプリと同等のサービスを展開でき、ユーザーメリットが大きいとされる。アップルも2018年3月30日にiOS 11.3からSafariでPWAに対応した。

Progressive Web Apps | Google Developers

post-truth(ポスト真実)

post-truthとは、オックスフォード英語辞典によれば、「世論を形成する際に、客観的な事実よりも個人の感情や信条へのアピールの方がより影響力がある状況」のこと。日本語では「ポスト真実」と訳される。

2010年代以降のソーシャルメディアの普及に伴い、事実か否かよりも感情的に納得できる価値観の方が支持されるようになり、それが世論を形成し始めている状況を指して「post-truth(ポスト真実)」と呼ばれる。事実は個人の意見よりも重要ではなくなってきたという論調において用いられる。

2016年、アメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプ氏が選ばれ、イギリスでは国民投票によって欧州連合(EU)からの離脱が決まるなど、「感情的な訴えが政治に強い影響を与える」状況が多く見られ、「post-truthの時代」のようにこの言葉が多く使用された。

モンスターヘッド

モンスターヘッドとは、ニッチで多種多様な「ロングテール」な商品が生まれる市場において、口コミなど相互作用が増した状態ではロングテールの対極にある「強いヒット商品、メガヒット(=ヘッド)」がさらに巨大化する現象のこと。

インターネットによってロングテールは非常に長くなった一方で、ソーシャルメディア、SNSが普及し、「みんなが話題にしている」ことの波及力が増大化した。それにより「みんなが話題にする同じ商品」は群がるように消費され大ヒットとなり、従来の「ヘッド」はさらに大きくなる傾向にある。特にスポーツや音楽、映画などのエンターテイメント産業において顕著である。

柴那典氏が2016年の書籍『ヒットの崩壊』で紹介した。

created by Rinker
講談社
¥880 (2024/04/25 21:07:19時点 Amazon調べ-詳細)

平均への回帰

平均への回帰とは、最初の試験結果が全体の平均値よりも大きく悪い結果だった対象について、同じ内容での2回目の試験を実施するとその結果は全体の平均値に近づく良い結果になるという、統計学的な現象のこと。平均回帰、回帰効果。

A/Bテストでも発生し、まったく同じテストを2度繰り返すと1度目は差が生じても2度目は差が生じなかったり、テスト開始の初期は有意差があったものが時間の経過とともに差がなくなったりすることがある。

インタースティシャル広告

インタースティシャル広告とは、Webサイトやスマートフォンアプリなどにおいて、画面やページの切り替え時や遷移時に、全画面もしくは画面を覆うように表示される広告のこと。モーダルウインドウやポップアップでの表示、もしくは独立したスプラッシュページとして挿入される。

プレスティシャル広告(Prestitial Ads)ポスティシャル広告(Postitial Ads)などの種類がある。

「この広告(ページ)をスキップする」「コンテンツを読む」といったリンクをクリックすることで、インタースティシャル広告は閉じる(あるいは本来のページに遷移する)。

インタースティシャル広告に対しては、本来の利用を妨げるというUX面での課題が指摘されており、グーグルもネガティブな評価をする方向であるとされる。

ブランド・アフィニティ

ブランド・アフィニティ(brand affinity)とは、特定のブランドに対して消費者が強い親近感を感じている状態のこと、あるいは消費者によるブランドへの親近感のこと。そのブランドに対して、友人や親戚などのように「精神的なつながり」「親しみ」を持っている状態のことである。

「親近感」のブランド・アフィニティに対し、習慣や惰性のリピートを含んだブランドへの「忠誠心」を持つ状態を「ブランド・ロイヤルティ (brand loyalty)」という。ブランド・エクイティを構成する一要素であるブランド・ロイヤルティの向上の手法の一つとして、ブランド・アフィニティの構築が挙げられる。