OODAループ

OODAループとは、状況に応じた意思決定のためのビジネスメソッドの一つで、観察(Observe)、状況判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)の頭文字からとったもの。状況を観察して理解し、それに基づいて行動を決定、実行するという一連のプロセスで意志決定や改善を進めるものである。読みは「ウーダ・ループ」。

  • Observe(観察):自分以外の外部状況に関する「ローデータ」の収集
  • Orient(状況判断、方向づけ):ローデータを「価値判断に使える情報」に変換
  • Decide(意思決定):価値判断に使える情報に基づき、計画を決定
  • Act(行動):計画を実行、再び「Observe(観察)」のフェーズに戻る

アメリカ空軍パイロットの意思決定のために考えられた理論だが、ビジネスをはじめ、あらゆる分野に適用できる一般理論とされる。

ダニング=クルーガー効果

ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)とは、能力や成績が低い人ほど自らのそれに対して過大評価を行い、自信にあふれるという認知バイアスのこと。自身の能力の客観的な認識(メタ認知)ができないことによって生じる。一方、能力や成績が高い人ほど自らのレベルを低く評価するようになる。

能力や成績が低い人は自身の能力の客観的な認識ができず、また他人の能力も正しく測ることができない。ただし、自分の能力を自覚し、短所を改め長所を伸ばすといった取り組みを重ねることで、その認知バイアスから逃れることができるとされる。

コーネル大学のデイヴィッド・ダニング(David Dunning)とジャスティン・クルーガー(Justin Kruger)が1999年に論文で発表し、後にイグノーベル賞心理学賞を受賞した。

カニバる(カニバリゼーション, 自社競合)

「カニバる」とは、複数の自社製品(サービス、ブランド)同士が同じカテゴリーで競合関係になり、市場シェアを奪い合うこと。社内で競合関係になること。「自社競合」。

新しい製品を投入した際に、同じカテゴリーの既存製品や類似カテゴリーの製品の需要を奪ってしまい、意図しない全体売上の停滞や損失、製品としてのシェア拡大の失敗などが発生する。

「共食い」を表す「カニバリゼーション (cannibalization)」から派生して日本語化した表現である。ビジネス領域で用いられることが多いビジネススラング。名詞は「カニバリ」。やや品位に欠ける表現のため、文書や公的な場での発言では「自社競合」など他の表現を用いた方が良い。

製品に対する顧客層の認知や理解が似ているほど、カニバリゼーションは起こりやすい。

ティッピングポイント

ティッピングポイント(tipping point)とは、物事がある一定の閾値を超えると一気に全体に広まっていく際の閾値やその時期、時点のこと。

なかなか売れなかったものがある時点から急に売れ出すというように、それまで小さく変化していた物事が急に爆発的に流行、普及して社会に広まる際の「きっかけ、時点」を指すことが多い。

2000年にMalcolm Gladwell(マルコム・グラッドウェル)が書籍『ティッピング・ポイント』で提唱した。Malcolm Gladwellは書籍の中で、ティッピングポイントを「あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間」としている。

ティッピングポイントには、以下の3つの力が影響を及ぼすとしている。

  • 情報伝達能力に長けた少数者
  • 情報を記憶に残すための粘りの要素
  • 割れ窓理論など行動を誘発する背景

SLA (Service Level Agreement)

SLAとは、Service Level Agreementの略で、サービス提供者が契約者(利用者)に対して、サービスをどの程度の品質で提供するのかを定めた契約のこと。「サービスレベル合意」「サービス品質保証」。

SLAは、提供サービスの定義、内容、範囲、達成目標、稼働率などを、数値をはじめとした客観的な表現で記述する。また、SLAが満たされなかった場合、サービス品質が合意を下回った場合の対応や補償を定めることが多い。

クラウドサービスやレンタルサーバーなどのITサービスでよく用いられるが、運用や保守のサービスなど広い分野でも規定される。

サービス利用者にとっては、サービスの安定性やアベイラビリティを計る基準の一つとなる。

RFP (Request for Proposal)

RFPとは、Request for Proposalの略で、提案依頼書のこと。情報システムやツールの導入、Webサイト制作の依頼、業務委託などで企業を選定する際、発注先候補の企業に具体的な提案を依頼するドキュメントのこと。その構築や導入の目的、概要、要件、制約事項、スケジュールなどを記述する。

RFPに基づいて提出された提案を評価し、発注先企業を選定、契約の締結につなげる。

RFPは、単に提案を評価する基準となる以前に、自社が求める要件を適切に伝える重要な手段であることに留意すべきである。適切なRFPが準備できなければ、それにふさわしい良い提案を受けることはできない。

RFPには決まった形式はないが、以下のような項目を盛り込むことが多い。

  • 背景と目的
  • 目標、成果
  • ターゲット
  • 概算予算
  • スケジュール
  • プロジェクト範囲
  • 納品成果物
  • 機能要件
  • 運用保守
  • 教育
  • 開発手法
  • 体制
  • 制約事項

ジェネレーションα(アルファ世代)

ジェネレーションα(アルファ世代:Generation Alpha)とは、2010年以降に生まれた世代のこと。ミレニアル世代の子供にあたる。アメリカの世代分類における、2000年(あるいは1990年代後半)から2010年の間に生まれた世代「ジェネレーションZ(Z世代)」の次の世代である。

2008年にオーストラリアの人口統計学者マーク・マクリンドル(Mark McCrindle)が定義した。

続きを見る »

プラシーボ

プラシーボ(placebo)とは、形や色、味、香り、硬度などは本物の薬とほぼ同一ながら、薬としての成分を含まない「偽薬」のこと。薬理学的な効果はない。プラセボ。

プラシーボは、本物の薬の治療効果を明らかにするための比較対照薬として利用されることが多い。

また、プラシーボ(偽薬)を処方した患者がそれを薬と信じることで見られる治癒効果や症状改善のことを、「プラシーボ効果」という。投薬による精神的な安心感や医師への信頼感などから、効果が生じるとされている。そこから転じて、「信じることや思い込みが身体に良い影響を及ぼすこと」も「プラシーボ効果」と呼ぶことがある。

UGC (User Generated Content, ユーザー生成コンテンツ)

UGCとは、User Generated Contentの略で、主にインターネット上にてユーザー(消費者)が生成し投稿したコンテンツのこと。「ユーザー生成コンテンツ」。「企業やプロが作成し発表したコンテンツや広告ではない、一般の消費者によるコンテンツ」という意識的な区別をしたものとして、用いられることが多い。

UGCには、ECサイトへのレビューや口コミ、電子掲示板への投稿、ブログ記事、TwitterやFacebook、Instagram、TikTok、YouTubeといったソーシャルメディア(SNS)に投稿されたコンテンツなどがある。

2005年以降に流行した「Web 2.0」ブームでは、消費者が発信する情報の中心的な役割として扱われた。当時は類似の概念である「CGM (Consumer Generated Media)」として使用されることが多かった。

2010年前後よりソーシャルメディア(SNS)およびモバイル端末が広く普及し、テキスト情報だけでなく写真や動画を用いたビジュアル中心の表現が多用され、UGCの増加を加速させている。

一般の消費者によるコンテンツの方が「親近感」「自分ゴト」「広告っぽくない」といった印象をより抱きやすい。企業による広告のクリエイティブにもUGC的な表現が用いられたり、UGCそのものを広告として活用したりする動きが生まれた。その流れがインフルエンサー・マーケティングにもつながる。

また、「Wikipedia」に代表されるような多くの人の知識を蓄積して体系化する「集合知」への活用にも寄与している。

セカンドスクリーン

セカンドスクリーン(second screen)とは、テレビやゲームなどを楽しむ際に、メインの画面に連携させて補完的に利用する2番目の端末の画面(スクリーン)のこと。メインの画面の関連情報を表示したり、機能の追加を担ったりする。スマートフォンやタブレットなど、持ち運び可能なモバイル端末であることが多い。

また、機能としてメインの画面と連携していないが、テレビの「ながら視聴」のように、メインのコンテンツを楽しみながら別の端末画面でTwitterなどのソーシャルメディアを利用するといった利用シーンでの2番目の端末の画面も、セカンドスクリーンと呼ばれる。

セカンドスクリーンでメインのコンテンツに関連した情報を検索させたり、ソーシャルメディアへの投稿を誘発したりすることで、メインのコンテンツの多面的な楽しみ方を提供することができる。テレビであれば「テレビ離れ」の抑止につながる施策として活用できる。