カンプ(デザインカンプ)

カンプとは、デザインの印刷物や制作物の完成見本のこと。広告やカタログなど商業印刷の領域にて、発注通りのレイアウトやデザインであるかを制作過程の終盤の確認の際に準備される。Webデザインの領域でも用いられ、その場合は紙での出力ではなくデジタルデータで準備されることが多い。英語の「comprehensive layout(コンプリヘンシブ・レイアウト)」に由来する。「カラーカンプ」「デザインカンプ」などとも呼ぶ。

カンプを準備し共有することで、依頼主と制作側の認識の違いが発生していないか、依頼内容の意図が反映されているかなどを確認できる。

二次交通

二次交通とは、目的地まで複数の交通機関を使用する場合の2つ目の交通機関のこと。特に観光や旅行の領域においては、交通拠点(ハブ)となる空港や駅から観光地までの移動手段のことを指す。地元の鉄道や路線バス、タクシーやレンタカーなどが該当する。

観光の領域における二次交通は、地域住民の生活に密着した公共交通機関であることが多い。しかし、過疎化の進んだ地方では地域住民の減少に伴って公共交通機関の種類や運行本数が減少し、旅行者にとっても観光地までの移動が不便になりがちである。地域観光の振興のために、二次交通の確保や整備による利便性の向上が求められている。従来の公共交通機関の拡充だけでなく、シャトルバスや乗り合いタクシーの運行、レンタル自転車の整備、より広域での対応などが取り組まれている。

個人視聴率

個人視聴率とは、世帯の中で誰が何人でテレビ番組を視聴しているかを示す推定値のこと。2020年からの新視聴率調査によって個人視聴率の取得が本格化し、それまで利用されていた世帯視聴率に替わる指標として扱われている。

世帯視聴率と異なり、個人視聴率は視聴者の年齢や性別、職業などを判別できる。そのため、全体の個人視聴率だけでなく特定の年齢性別区分別に見ることもでき、より精度の高い視聴状況を把握できる。

マーケティングにおいて商品購買意欲が高いとされる「T層 (Teenage):男女13歳~19歳」「F1層:女性20歳~34歳」「F2層:女性35歳~49歳」「M1層:男性20歳~34歳」「M2層:男性35歳~49歳」が重要なターゲットとして扱われる中、それらを「コア層」としてくくりその視聴率を「コア視聴率」と呼ぶ。

ゼロリスク・バイアス

ゼロリスク・バイアス(zero-risk bias)とは、特定の小さなリスクを完全に無くすことに対して高い意識を持っているが、それよりも重要な全体のリスクには注意を払わない傾向のこと。部分的なリスクを過度に評価して完全な排除を望み、それを全体のリスク低減よりも優先させようとする心理的作用である。健康や環境などの安全に関する事象で起こりやすい。

特定の小さなリスクを排除することで心理的安全性を得てしまい、それ以外のリスクへの意識が弱まって結果としてより大きなリスクを負うことにつながる。「もし何かあったらどうするのか?」をはじめとした「ゼロリスク志向(思考)」はこのバイアスによるものとも言える。

あらゆる事象において、基本的にはリスクをゼロにすることはできない。一方で、大きな事象のリスクの低減よりも特定の小さなリスクの排除の方が容易であることもある。また人は確率などの仮説に対して感覚的な判断を下しやすい。

そのような中で、自身に直接関係するようなリスクを完全にゼロにすることの方が、一見自分には縁遠いと感じる大きな危険性を低減することよりも安全であると誤認してしまう。また身近なリスクをゼロにすることで犠牲になる他の事象にも無関心になりやすい。その結果、大きなリスクは低減せず依然として残ってしまう。

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レスバ(レスバトル, リプバ)

レスバとは、「レスバトル」「レスポンスバトル」の略で、ソーシャルメディア(SNS)やメッセージのやりとりで相手と口論することを意味するインターネットスラング。反応や返答を表す英語「レスポンス (response)」と戦いや論争を表す英語「バトル (battle)」を組み合わせた表現である。

もともとは電子掲示板(BBS)で登場した言葉だが、Twitterなどのソーシャルメディアでも用いられる。「レスバになっている」「レスバするつもりはない」などのように用いる。

返信の「リプライ (reply)」と組み合わせて「リプバ(リプバトル)」と呼ぶこともある。

ブレミッシュ効果

ブレミッシュ効果(blemishing effect, blemish effect, ブレミッシング効果)とは、製品やサービスに少しネガティブな要素があった方が、すべてポジティブで完璧な状態よりも支持を得る効果があるという心理的作用のこと。

製品に少しの欠点や弱みがありそれを提供者自身が認めている場合、人はその率直さや正直さにかえって信頼感を感じるというものである。また利用者はその欠点を嘆きつつも、長所の素晴らしさをより好んだり成長の余地を楽しんだりという個性への魅力や愛着心を感じる。一方で、製品の完璧さや長所だけをアピールされるとかえって懐疑心を感じたり、欠点や不満のないことで逆に面白味のないものとして受け止められてしまう。

ネガティブな要素は、製品の本質的な領域ではなく補助的な領域にある必要がある。

完璧な状態ではなく少量の欠点を有することでかえって好感度や魅力が高まる例といえる。

ダニット・アイン・ガー(Danit Ein-Gar)、ババ・シヴ(Baba Shiv)、ザカリー・トルマラ(Zakary Tormala)らが2011年の調査を経て名付けた。

ジョブ型雇用システム

「ジョブ型雇用」もしくは「ジョブ型雇用システム」とは、企業が人材を採用する際に事前に定義した職務内容に基づいて雇用契約を結ぶ雇用方法のこと。従業員はその契約に基づいた職務にて働き、評価される。他部署への異動転勤やジョブローテーションによる職種変更などもない。欧米では一般的な雇用システムとされる。

従来の日本に多く見られる「職種を特定せずに採用し、入社後に適性などを判断して職務を決定する」雇用システムを「メンバーシップ型雇用システム」と呼び、その対比として取り上げられることが多い。「ジョブ型雇用」「メンバーシップ型雇用」のどちらも、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏が名付けた雇用システムである。

メンバーシップ型雇用では人を基準にして評価されやすいが、ジョブ型雇用では従業員のスキルや能力ではなく業務成果で評価される。また専門性を有し、転職と共にキャリアを形成することが多い。

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1%の法則 (90:9:1の法則)

1%の法則(the 1% rule)もしくは90:9:1の法則(90–9–1 rule)とは、インターネットコミュニティのユーザー行動を分類した法則で、ほとんどのコンテンツは1%のユーザーによって生成され大半のユーザーは閲覧するだけのROMユーザーであるとするものである。

「1%の法則」は2006年にBen McConnell氏とJackie Huba氏がWikipediaなどの行動データから提唱したものだが、類似する提唱や調査は過去にも見られる。「90:9:1の法則」は、インターネットコミュニティのユーザーの1%がコンテンツを作成し(クリエイター)、9%がその情報を元にコミュニケーションを取り(エディター、コミュニケーター)、残り90%は閲覧するだけ(オーディエンス、ROMユーザー)というものである。

他のテーマに転移されるケースも見られるが、あくまでインターネットコミュニティにおける法則である。一方で、調査によっては異なるデータのケースもある。インターネットとコミュニティの発展やソーシャルメディアの台頭もあり、ユーザーの利用シーンも大きく変化した。そのため、実態としては経験則や一般論、または通説として扱うべき内容とも言える。

オフグリッド

オフグリッド(off-grid, off the grid, OTG)とは、電気やガス、水道といった公共のインフラ(ライフライン)に依存せず、それらを自給自足で確保している状態のこと。「オフグリッド生活」「オフグリッド住宅」などのように用いる。

電力供給のための電力網に接続されていない状態に由来する。電力会社の提供する電力に頼らずに、太陽光をはじめとした自然エネルギーから自家発電して電力を確保、蓄電する状態や生活様式を指すことが多い。

21世紀後半に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすること(脱炭素化)を目標とする「2050年カーボンニュートラル」が120国以上に採用されるなど、世界的な脱炭素社会実現への流れもあり、注目を集めている。

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COPQ (cost of poor quality)

COPQとは、「cost of poor quality」の略で、低品質や欠陥が原因で発生するコストのことである。経営改革手法「シックスシグマ」で用いられる指標の一つ。「PQC (poor quality costs」と呼ぶこともある。

COPQは、再検査ややり直しに伴う人件費や廃棄といった「目に見えるコスト」と、設計変更に伴う工数ロスや顧客満足の低下といった「目に見えないコスト」に分けられ、特に目に見えないコストの影響が大きいとされる。シックスシグマではCOPQの改善が経営にインパクトを与えるとしている。