シミュラークル(simulacre)は、もともとは現実を何かに置き換えた「模擬、模造品、虚像」を意味するフランス語だが、哲学者のジャン・ボードリヤール(Jean Baudrillard)らが「本質を記号化したコピー」と独特の定義をし、その意味で用いられることが多い。
ジャン・ボードリヤールは、「シミュラークル」を本質に対する「仮象」として捉えた。ルネサンスから産業革命の時代は特定階級に限定されたものに対する「模造」、産業革命から近代の時代は複製技術による「生産」、現代の消費社会では「シミュレーション」として、シミュラークルは変遷したとしている。
つまり現代では、シミュラークルは記号化されたコピーとして現実のものから解き放たれ、現実と記号が逆転した状態、オリジナルなき記号化されたコピー概念として存在する。