キャンセルカルチャー

キャンセルカルチャー(cancel culture)とは、個人や組織、思想などのある一側面や一要素だけを取り上げて問題視し、その存在すべてを否定するかのように非難すること。文化的なボイコットの一つ。

ソーシャルメディアの普及に伴い、2010年代半ばから多く見られるようになった。大勢の前で相手のどんな誤りやミスも徹底的に糾弾する行為「コールアウトカルチャー(call-out culture)」のひとつ。

著名人の過去の発言や行動、SNSでの投稿を掘り出し、前後の文脈や時代背景を無視して問題視し、糾弾する現象が例として挙げられる。芸能人(セレブリティ)やインフルエンサーなどが対象になりやすい。過去の発言を元にしてその人のキャリアを否定し、「お前はもう終わりだ (You’re cancelled.)」とバッシングするというものである。

現代社会ではミスマッチとなった古くからの思想や行動が現在の価値観で非難されたり、また無知や軽率さが招いた不用意な発言や行動も晒されたり、非難されている人を擁護したりした場合でも発生することがある。過去の行動との整合性の検証は重要である一方で、一方的な正義感や価値観を振りかざしているにすぎなかったり、誰かを標的にして炎上や荒らしを面白がっているにすぎなかったりすることもある。

ソーシャルメディアの匿名性と拡散性、暴力性や攻撃性に任せて、特定の行動を取り上げて過剰な糾弾でその人のキャリアすべてを終わらせたり、不適切に貶めたりするべきではない。