SaaS Quick Ratioとは、SaaSビジネスの収益構造の健全性や成長性を測る指標の一つで、増加分のMRR(月間経常収益)を損失分のMRRで割ることで算出される。たとえチャーン(解約)が発生していても、新規顧客獲得や既存顧客へのアップグレードが良好かどうか、定期的な売上を成長させる可能性を持つかどうかを測るものである。
初期のフェーズでは意味をなさず、2年目以降など軌道に乗ったフェーズから見る指標である。
2015年にベンチャーキャピタリストのMamoon Hamid氏が提唱した。
SaaS Quick Ratioの計算式と目安
SaaS Quick Ratioは以下の計算式で算出される。増加分のMRRを損失分のMRRで割っている。
SaaS Quick Ratio = (New MRR + Expansion MRR) / (Downgrade MRR + Churn MRR)
成長しているSaaS企業のSaaS Quick Ratioは4前後とされる。SaaS Quick Ratioが0より小さい場合、ビジネスとしては衰退に向かっている。数値が0~4の場合、成長はしているが、徐々に難しくなる新規顧客獲得と契約のアップグレードを強化しなければ成長は鈍化する。数値が4を上回っていれば、ビジネスは良好で安定していると言える。
New MRRやExpansion MRR、Downgrade MRR、Churn MRRについては、「MRR(月間経常収益)」を参照のこと。
Net New MRR
Net New MRRとは、MRRのネット増加分を示す指標のこと。増加分のNew MRRとExpansion MRRから損失分のDowngrade MRRとChurn MRRを引いた差で算出する。
Net New MRR = (New MRR + Expansion MRR) – (Downgrade MRR + Churn MRR)