そば屋の出前

「そば屋の出前」とは、行うべき業務やプロジェクトの進捗が遅延していることに対して状況確認や苦情を受けた際に、まだ未着手の状態でありながら「いまやっています」などと虚偽の返答をしてその場を取り繕うことを表す慣用句である。

そば屋に出前を注文したがなかなか届かずに催促の電話を掛けると、まだ調理すらしていないと思われるにも関わらず「いま出たところです」と信用できない適当な返事が返ってくることに例えた表現である。昭和的慣用句、言い回しの一つ。

「そば屋」は比喩である。昭和時代の出前の食事としてそば屋は一般的で、お店の混雑具合や道路の渋滞状況によって注文した料理がいつ届くかはわからないことが多かった。宅配バイクや厨房機器を整備してお届け時間のコントロールを容易にした出前が日本で普及し始めたのは、日本で最初のデリバリーピザチェーンであるドミノピザの日本第1号店がオープンした昭和末期の1985年(昭和60年)以降である。