チャーンレート(解約率)

チャーンレート(Churn Rate)とは、顧客に対する解約で算出される解約率のこと。顧客離反率。

携帯電話やSaaSサービスといった継続利用を前提としたサブスクリプションのビジネスにおいて、より良い条件を求めて解約し他社に乗り換えるユーザー顧客「チャーン」の割合を示す指標である。「顧客維持率 (CRR)」とともに、どれだけ顧客を維持できているかの把握に用いられる。

チャーンレートの種類

チャーンレートは、顧客数ベースと収益ベースの2種類に大きく分かれる。

  • カスタマーチャーンレート (Customer Churn Rate):顧客数ベースのチャーンレート
  • レベニューチャーンレート (Revenue Churn Rate):収益ベースのチャーンレート

カスタマーチャーンレートが高くても、MRRの低い顧客のチャーンが多ければレベニューチャーンレートは低いといったことがある。

単にチャーンレートと呼ぶ場合は、顧客数ベースの「カスタマーチャーンレート」のことを指していることが多い。

カスタマーチャーンレート (Customer Churn Rate)

解約した顧客数で算出するチャーンレートを「カスタマーチャーンレート (Customer Churn Rate)」という。カスタマーチャーンレートは以下の計算式で算出する。当月に獲得した新規顧客数は分母に含まない。

カスタマーチャーンレート (%) = 当月の解約数 / 先月末時点での顧客数

顧客数ではなくアカウント数で算出する場合は、カスタマーチャーンレートと区別して「アカウントチャーンレート (Account Churn Rate)」と呼ぶことがある。


レベニューチャーンレート (Revenue Churn Rate)

解約やダウングレードによって生じた損失金額で算出するチャーンレートを「レベニューチャーンレート (Revenue Churn Rate)」という。「MRRチャーンレート (MRR Churn Rate)」と呼ぶこともある。

顧客数ベースではなく、本来得られた収益をどれぐらい損失したのかを把握するために用いられる。

グロスレベニューチャーンレート (Gross Revenue Churn Rate)

解約やダウングレードによる損失金額で算出するものを「グロスレベニューチャーンレート (Gross Revenue Churn Rate)」、あるいは「グロスMRRチャーンレート (Gross MRR Churn Rate)」という。

以下の計算式で算出する。当月に獲得した新規顧客の収益は分母に含まない。

グロスレベニューチャーンレート (%) = (当月のChurn MRR + 当月のDowngrade MRR) / 先月末時点でのMRR

ネットレベニューチャーンレート (Net Revenue Churn Rate)

プランのアップグレードによるExpansion MRRを考慮したチャーンレートを「ネットレベニューチャーンレート (Net Revenue Churn Rate)」、あるいは「ネットMRRチャーンレート (Net MRR Churn Rate)」という。売上の全体把握や予測の場合はこちらを用いる。

以下の計算式で算出する。当月に獲得した新規顧客の収益は分母に含まない。

ネットレベニューチャーンレート (%) = (当月のChurn MRR + 当月のDowngrade MRR – 当月のExpansion MRR) / 先月末時点でのMRR

ネガティブチャーン (Negative Churn)

ネットレベニューチャーンレートがマイナスの状態を「ネガティブチャーン (Negative Churn)」という。ネガティブチャーンは、既存顧客のアップグレードが解約やダウングレードを上回り成長していることを表し、良好な状態と言える。

MRRについては「MRR(月間経常収益)」を参照。