フュージョン料理(多国籍料理)

フュージョン料理(fusion cuisine)とは、さまざまな国や地域に由来する食文化を組み合わせた料理の総称のこと。「多国籍料理」「無国籍料理」とも呼ばれる。

私たちが特定の国や地域の食文化として認識しているものの中には、まったく別の食文化からもたらされたり影響を受けたりしているものも多い。

フュージョン料理には複数の形態がある。例えばフュージョン料理としての「アジア料理 (Asian fusion)」は、地域的に隣接する国や地域の食文化にある共通点や類似性を元に構成され、欧米などで人気を得ている。またフィリピン料理は、植民地時代をはじめ過去の歴史的経緯からスペインや中国、アメリカの食文化の影響を大きく受けており、フュージョン料理の特徴を備えている。マレーシア料理も、マレー料理、ジャワ料理、中華料理、インド料理など、マレーシアの各民族と他民族の食文化の影響を受けて融合した料理が多い。

本来の伝統的な料理に対して、非伝統的な食材を取り入れたものもフュージョン料理と言える。アメリカで独自にアレンジされた中華料理「アメリカンチャイニーズ(アメリカ風中華料理)」は19世紀後半にサンフランシスコで生まれ、アメリカ人の舌にあった味へと変更を加えることで「クラブラングーン」や「オレンジチキン」といった独自の中華料理が登場した。また寿司の「カリフォルニアロール」は、カニかまやアボカドといった日本の伝統的な寿司では用いない食材を使い、海苔を酢飯の内側に裏巻きにするなど、寿司のフォーマットを利用したフュージョン料理の一種である。

食材は本来の伝統的なものを使用するが、調理法はまた別の伝統的なものであるというケースもある。「タコスピザ」は、チェダーチーズやサルサ、豆といったメキシコ料理のタコスの食材を使い、ピザとして調理される。

日本にも他の食文化を取り入れた料理は多い。独自に発展したラーメン文化、カレーうどんやタラコスパゲッティ、冷やし中華などは、本来は他国の食文化をベースにしたものだが日本独自のアレンジで普及した料理である。

イノベーティブフュージョン

さまざまな国や地域に由来する食文化を組み合わせたものに対して、国や地域の食文化にとらわれずにまったく自由なアプローチで作られた独創的な料理を「イノベーティブフュージョン」と呼ぶことがある。食材の組み合わせや調理法はどの食文化やジャンルにも属さず、食材のユニークな扱い方や新しい調理技術の導入など革新的な発想で作られた料理である。

2013年度のミシュランガイドにてカテゴリー名として使用され、用語として広まった。