バックキャスティング

バックキャスティング(backcasting)とは、理想的な未来を定義し、そこを起点にしていま取り組むべき施策や行動を考える課題解決の手法のこと。あるべき姿や目標となる未来を規定し、そこに到達するにはどのような行動を取らなければならないかを考えるという思考法である。

現在の状態や課題を起点とし、過去データの分析や経験などから未来を予測する「フォーキャスティング (forecasting)」と対になる思考法である。フォーキャスティングは改善のアプローチであり、実現の可能性は比較的高い。一方でバックキャスティングは、従来の行動では到底到達できない目標に対して、既存の仕組みにとらわれないイノベーションによって到達を目指す創造的アプローチであるといえる。

環境問題をはじめとしたSDGs、国家レベルの長期ビジョン策定やVUCA時代における経営ビジョン作成などで用いられる。「ムーンショット」もバックキャスティングのアプローチの一つ。

1990年にカナダのウォータールー大学の環境資源の研究者だったジョン・B・ロビンソン(John B. Robinson)がこの手法の基礎を取りまとめ、環境問題の解決アプローチの一つとして広まった。