エコーチェンバー現象

エコーチェンバー現象(echo chamber effect)とは、意見や思想や情報などが、価値観の近い者同士のコミュニティでやりとりされることでより増幅、強化される現象のこと。特定の情報や意見、信念だけが正しいかのように増幅され、他の情報や意見がかき消されてしまう状態である。

情報環境の同質化とコミュニティの分断を招きやすい。特にソーシャルメディアの普及で顕著になり、「事実であるか」よりも「共感できるかどうか」が重視され、偏った考えの普及を助長する危険性を持っている。

エコーチェンバー現象は、閉じられた空間で音が残響を生じるように設計、装備された「残響室(echo chamber, 反響室)」を由来とする。

トランプ氏が選出された2016年のアメリカ大統領選挙を契機に、この表現の普及が進んだ。

コンコルド効果(コンコルド錯誤)

コンコルド効果(Concorde effect, Concorde fallacy)とは、ある対象へのサンクコスト(埋没費用)がその後の意志決定に影響を与えて、損失し続けるとわかっていながら無駄な投資がやめられない状態のこと。サンクコストが大きいほど元をとろうとする心理が働き、合理的な判断ができない傾向がある。「コンコルド錯誤」「サンクコスト効果」「埋没費用効果」とも言う。

製造が採算ラインを大幅に下回りながら開発や就航を続行した、超音速旅客機コンコルドの商業的な失敗を由来とする。

ROAS(広告費用回収率)

ROASとは、Return On Advertising Spendの略で、投資した広告コストの回収率を表す指標のこと。広告費に対して得た広告経由の売上の割合を表したもの。広告費用回収率。読みは「ロアス」。

ROAS (%) = 広告経由の売上 ÷ 広告費

一方、広告費を含む投資に対して得た利益の割合を表した指標がROI(投資対効果)である。

ROI (%) = 広告経由の利益 ÷ 広告費

トップライン

トップラインとは、ビジネスにおいては企業や事業の売上高、営業収益のことを指す。企業活動の経済的側面での業績規模を表す。損益計算書の最も上の項目に売上高が記されていることから、トップラインと呼ばれる。

一方、損益計算書の最も下の項目である最終損益、当期純利益のことを「ボトムライン」という。

RPM(インプレッション収益)

RPMとは、Revenue Per Milleの略で、表示回数もしくはページビュー数が1,000回あたりの収益額を表す指標のこと。Webメディアやインターネット広告枠の収益性を評価する指標の一つ。インプレッション収益。読みは「エールピーエム」。

一般的には、メディアの広告枠を評価をする際、広告のクリック率(CTR)やクリック単価といった指標よりも「ページ1,000回表示あたりの広告収益性」であるRPMを用いるのが適切とされ、重要な指標である。RPMが高いほど、収益性が高い広告(ページ、Webサイト)と言える。

「Revenue Per Mille」の「Mille」は、ラテン語で「1,000」を表す。

EC化率

EC化率とは、経済産業省の定義によれば、すべての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合のこと。店頭(オフライン)やオンライン、電話やFAX、対面販売等も含めたすべての商取引金額のうち、電子商取引が占める割合である。その産業でどれだけEC(インターネット通販)が利用されているかを表す指標となる。

経済産業省の2022年の発表によれば、2021年における日本のBtoBのEC化率は35.6%、BtoC(物販系分野)のEC化率は8.78%である。

BtoCのEC化率の推移
▲BtoCのEC化率の推移

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

ラストワンマイル

ラストワンマイル(last one mile)とは、通信業界においては通信事業者と利用者を結ぶ最後の区間のことで、最寄りの基地局から利用者の建物までを結ぶ区間を指す。直訳すると「最後の1マイル」を意味する英語である。

一方、物流業界におけるラストワンマイルは、小売店側と消費者を結ぶ最後の区間のことで、最寄りの配送センターから消費者の配達地点まで商品が移動する区間を指す。EC(インターネット通販)の市場の成長や流通のO2Oへのシフトが進む中、フルフィルメント業務の配送や送料などのサービスを充実させる動きが活発になっている。

リープフロッグ現象

リープフロッグ現象(leapfrog)とは、ビジネス領域においては、新興国が先進国から遅れて新しい技術に追いつく際に、通常の段階的な進化を踏むことなく途中の段階をすべて飛び越して一気に最先端の技術に到達してしまうこと。既存の技術を導入する前にさらに新しい技術を導入すること。

例えば中国や東南アジア、アフリカなどでは、電話回線や光ファイバーといった従来のインフラが整う前に小型衛星によるインターネットやスマートフォンが普及したため、モバイル向けサービスが急速に展開した。

このような現象は新興国だけでなく、中小企業やシニア世代といった企業や消費者でも見られる。

「leapfrog」は「蛙跳び」と訳されることもあるが、もともとは遊びの「馬跳び」の意味の英語である。

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ポリティカル・コンシューマー

ポリティカル・コンシューマー(political consumer)とは、政治的な問題や社会的な課題に対して態度を表明する消費者のこと。人種差別、性的マイノリティや性差別、人種差別や移民問題、貧困、持続可能性といった社会経済問題に対して明確な思想や態度を表明し、同じスタンスの企業やブランドを支持する。

このような思想や消費者運動をポリティカル・コンシューマリズム(political consumerism)と呼ぶ。

ミレニアル世代Z世代が中心となってソーシャルメディアで思想表明をし、またコミュニケーションを行い、消費行動に影響を与えていると言われる。

マイクロインフルエンサー

マイクロインフルエンサーとは、消費者の購買意志決定に影響を与えるインフルエンサーのうち、ある特定のコミュニティやジャンルで強い影響力を持つインフルエンサーのこと。ジャンル特化型のインフルエンサー。

標準的な定義や基準ではないが、アメリカではSNSアカウントのフォロワー数が中小規模の1万人前後までのインフルエンサーを指してマイクロインフルエンサーと呼ぶことが多い。

芸能人や著名人といった広範囲のユーザーにフォローされるインフルエンサーは、拡散力が大きい一方で、「いいね」やシェア、コメントやRTといったアクションのエンゲージメント率は高くなりにくい。それに比べてマイクロインフルエンサーは、拡散力はそこまで大きくなくとも特定コミュニティへのリーチがより確実で、エンゲージメント率も高い傾向があるとされる。