ハイタッチ

ハイタッチ(high touch)とは、人間による丁寧で人間らしい関与や対応のこと。コンピューターや最新技術による自動化された対応との対比、異なるものとして用いられる。マーケティングやカスタマーサクセス、営業の領域では、人手を掛けた柔軟な個別対応のことを指す。

アメリカの未来学者ジョン・ネイスビッツ氏(John Naisbitt)が1982年の著書『Megatrends(メガトレンド)』にて、画一的に自動化された「ハイテク(high tech)」の対義語として用いたのが起源とされる。ハイテクによりかえって質の悪化が発生することがあり、人間的要素は求められるだろうというものである。

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テックタッチ

テックタッチ(tech touch)とは、カスタマーサクセスを実施する際に、大口顧客ではない多数の顧客に対してテクノロジーを活用して行う一律化した対応のこと。人の手の介入を最小限に抑えて、広範囲にかつ同時に対応することを目指したもの。「ノータッチ (no-touch)」と同一の意味で用いられることもあるが、異なるという指摘もある。

SaaSなどのビジネスで行われることが多い。メールや電話での対応、チャットボット、自動化したメール、動画やヘルプやFAQなどのオンラインコンテンツ、オンラインコミュニティなどが該当する。

顧客に対する過剰もしくは過小な対応を防ぎ、顧客のLTV(顧客生涯価値)の最大化のために自社のリソースを適切に割り当てる取り組みの一つである。

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シズル(シズル感)

シズル(sizzle)とは、もともとは料理の際に食材を熱々の油で焼いたり揚げたり、また熱した鉄板に水を落としたりしたときの、ジュージューと音を立てる様子を表す英語である。そこから転じて、マーケティング領域では消費者の五感を刺激して食欲や購買意欲や喚起する広告表現や手法のことを表す。後者の「食欲や購買意欲を喚起するような表現や臨場感」を日本では「シズル感」と呼ぶ。

シズルが広告表現やマーケティングにおいて有効な手段であることを最初に指摘したのが、アメリカのコンサルタントElmer Wheeler(エルマー・ホイラー)氏である。彼は1937年の書籍『ステーキを売るなシズルを売れ(Tested Sentences That Sell)』で、販売やマーケティングのノウハウを5つの「ホイラーの5つの公式」にまとめた。その一つがシズル感である。顧客は商品のスペックや値段よりも感覚的な「買いたくなる理由」の方により魅力を感じるというものである。

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ランド・アンド・エクスパンド戦略

ランド・アンド・エクスパンド戦略(Land and Expand Strategy)とは、企業にサービス導入を販売する際に、無料や小規模の導入から始めて顧客と関係性を作ってから、徐々にアップセルやクロスセルの機会を作って売上を拡大していく戦略のこと。

最初から大規模な導入を提案すると導入障壁を上げてしまい、未契約のリスクが高くなる。そのため、無料プランや小規模な導入、少額のサブスクリプション契約からスタートし、適切な機会を窺ってその拡大や追加を図るというものである。時間の経過とともに効率的な販売機会を探ることができたり、取引拡大の際に顧客側に経験豊富なユーザーが存在するといったメリットがある。

アルムナイ (alumni)

アルムナイ(alumni, アラムナイ)とは、英語の「男性の卒業生、同窓生、OB」を表す「alumnus」の複数形で、学校などの卒業生や同窓生、企業の離職者、退職者、OB、OGのこと。「alumni」は男女両方の卒業生たちを表すが、女性の卒業生「alumna」の複数形「alumnae(アラムニー)」を用いた「alumni and alumnae (alumnae and alumni)」の表現が使用されることもある。

近年、企業から一度離職、退職した人たちを貴重な人材として捉え、組織化して企業との接点を維持し、「アルムナイ制度」「出戻り制度」として再雇用につなげる動きが見られる。自社の文化を知り、低い教育コストで高いパフォーマンスが期待できるといったメリットがある。

ボトムオブファネル (BoFu)

ボトムオブファネルあるいはボトムファネルとは、消費者の購買プロセスである「ファネル」の購買に非常に近い段階を表し、消費者が課題を特定もしくは理解を固めて商品を比較評価している段階である。

見込み顧客として商品を積極的に選択しようとしているため、企業としては営業担当者からの電話やメール、デモやサンプルの提供といったクロージングのアプローチをしていく必要がある。

インバウンドマーケティングの領域では、3つに分けられたファネルの購買に一番近い地点として「BoFu (Bottom of the Funnel, ボトムオブファネル)」と呼ばれる。


▲マーケティングファネルとToFu、MoFu、BoFu

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トップオブファネル (ToFu)

トップオブファネルあるいはトップファネルとは、消費者の購買プロセスである「ファネル」の最も初期の段階のこと。興味関心が始まったばかりで「とりあえず知った」という初期の認知の段階である。

潜在顧客としてまだ知識も少なく興味の度合いも低いため、企業にとっては認知してもらうための仕組みや興味を引くコンテンツを提供し、関係性を築いていく必要がある。

インバウンドマーケティングの領域では、3つに分けられたファネルの一番上にあることから「ToFu (Top of the Funnel, トップオブファネル)」と呼ばれる。


▲マーケティングファネルとToFu、MoFu、BoFu

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経験財

経験財(experience goods)とは、購入して実際に消費することでその品質や価格を把握、評価できる商品やサービスのこと。商品やサービスの仕様だけでは期待しているものと同じかどうかを評価しにくく、実際に消費し経験することで評価できるようになる財のことである。

食品やレストラン、ホテル、レジャー施設などが該当する。企業側による商品やサービスの情報は広く流通しているが、消費者はそれだけでは判断しにくく、口コミなどでの感想や評価が一定の判断材料になることがある。

商品やサービスの品質を消費者が知るタイミングで分類したものの一つであり、以下の3つに分類される。

  • 探索財:購入前に調べることでその品質を把握、評価できる商品やサービスのこと
  • 経験財:購入して消費することで初めてその品質を評価できる商品やサービスのこと
  • 信頼財:購入後もその品質の評価が難しい商品やサービスのこと

探索財

探索材(search goods)とは、購入前に調べることでその品質や価格を容易に把握、評価できる商品やサービスのこと。商品の仕様が明確なため、事前の調査や検索を通じて商品の特徴を把握でき、購入や使用の判断ができる財である。

多くは商品の情報が豊富で広く流通しており、評価基準がある程度明確である。日用品や生活雑貨、電化製品をはじめとした耐久消費財、衣料品、鉄道乗車券や航空券などが該当する。

商品やサービスの品質を消費者が知るタイミングで分類したものの一つであり、以下の3つに分類される。

  • 探索財:購入前に調べることでその品質を把握、評価できる商品やサービスのこと
  • 経験財:購入して消費することで初めてその品質を評価できる商品やサービスのこと
  • 信頼財:購入後もその品質の評価が難しい商品やサービスのこと

傍観者効果

傍観者効果(bystander effect, bystander apathy)とは、目の前で起きた他者を救助すべき状況において、周囲に自分以外の多くの人がいることによって対処する行動が抑制される集団心理現象のこと。傍観者が多いほどその心理現象は強くなる。

傍観者効果が生じる要因として、以下の3つが挙げられる。

  • 責任の分散:人は重大な場面で責任を負うことを回避して、他者が行動するのを当てにするというもの
  • 多元的無知:他者が皆、援助行動を起こしていないことから、緊急性を要しないと誤って判断するというもの
  • 評価懸念:行動を起こして失敗したときの他者からのネガティブな評価を恐れて、援助行動が抑制されるというもの

1964年にニューヨークで発生した殺人事件「キティ・ジェノヴィーズ事件」をきっかけに、心理学的な研究が進んだ。