デ・マーケティング(ディマーケティング)

デ・マーケティング(demarketing)もしくはディマーケティングとは、「需要を喚起する活動」である通常のマーケティングとは逆の、「需要を抑制するマーケティング」のこと。企業の供給能力を超える需要があった場合などに、販売を制限したり価格を上げたり、販売促進活動を減らしたりして需要を抑えるというものである。

フィリップ・コトラー(Philip Kotler)とシドニー・レヴィ(Sidney Levy)が、1971年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』の「デ・マーケティング戦略」にて提唱した。彼らはデ・マーケティングを以下の3つに分類している。

  • 一般的デ・マーケティング:企業が需要の全体の水準を下げたい場合
  • 選択的デ・マーケティング:ある市場セグメントの需要を抑制する場合
  • 表面的デ・マーケティング:需要を抑制しようと見せかけつつ、結果として需要増加を図る場合

マーケティングが売上や利益を拡大するための需要喚起の活動が中心である中、中長期的な視点で需要と供給の適正なバランスをとるのがデ・マーケティングであるといえる。

続きを見る »

ハイプ・サイクル(ハイプ曲線)

ハイプ・サイクル(hype cycle)とは、登場した新興技術に対する関心や普及の度合いを、段階過程の曲線上に表した図のこと。IT分野のマーケティングリサーチ会社ガートナー社が1995年に提唱、定義し、先進技術のハイプ・サイクルを毎年発表している。「ハイプ曲線」ともいう。

縦軸を期待度、横軸を時間軸とし、新興の技術がどのように期待され普及していくかを曲線上の以下の5つの段階に分類するというもの。

  1. 黎明期(Innovation Trigger)
  2. 「過度な期待」のピーク期(Peak of Inflated Expectations)
  3. 幻滅期(Trough of Disillusionment)
  4. 啓発期(Slope of Enlightenment)
  5. 生産性の安定期(Plateau of Productivity)

ハイプ・サイクル
ガートナー社のハイプ・サイクルより

該当の技術が普及して成熟するまでのどの段階にあるのかを把握でき、採用や評価の一助となる。

IDFA (Identifier for Advertisers)

IDFAとは、「Identifier for Advertisers」の略で、iPhoneをはじめとしたiOS端末やiPadOS端末を識別するアップル社独自のID(識別子)のこと。IDFAはユーザーの識別と計測のためにHTTP Cookieの代替として機能し、広告主はアプリで端末ごとに一意に付与されたIDFAを計測することで、それに基づくターゲティング広告を配信したり効果測定をすることができる。

2021年のiOS14.5以降、App Tracking Transparency (ATT) のリリースにより、広告主はIDFAを取得するのにユーザーの同意が必要となった。

Xジェンダー(ノンバイナリー)

Xジェンダー(X-gender)とは、「男性もしくは女性のどちらか一方」という男女二元論の二分法(バイナリー)に当てはまらない立場の人々のこと。男性女性のいずれでもない、あるいはどちらでもある、あるいは男女のグラデーションの間にあるといった多様性や流動性がある。読みは「エックスジェンダー」。

「Xジェンダー」は日本独自の表現である。出生時の性別に対する性同一性がXジェンダーであるとして、「MtX (Male to X)」「FtX (Female to X)」という表現もある。英語では「nonbinary gender, non-binary gender(ノンバイナリー・ジェンダー)」「nonbinary(ノンバイナリー)」の表現が近い。「genderqueer(ジェンダークィア)」「the third gender(第三の性)」の表現も過去に使われている。

性同一性として、「中性」「両性」「無性」「不定性」などがある。

英語の敬称は「Ms.」「Mr.」ではなく「Mx.(ミクス)」が用いられる。国によっては、出生証明書やパスポートなどの公的な書類で「nonbinary(ノンバイナリー)」を選ぶことができる。

交流人口

交流人口とは、地域外からその地域に訪れる旅行者や短期滞在者の人たちのこと。その地域に住む人々である「定住人口(居住人口)」に対する概念である。旅行に限らず、通勤通学や買い物、レジャーといった日常の移動によるものも含まれる。

日本では少子高齢化が進み、地方都市を中心に定住人口の増加が見込めない都市が増えてきた。その中で都市の集客力を高めて「交流人口」を増加することが、地域経済を活性化する手段として広く理解され、地方の政策に取り入れられている。

2010年代半ばからは、「『定住人口』でもなく観光で来た『交流人口』でもない、地域に何らかの形で関わりを持つ人々」として「関係人口」という概念も生まれている。

NDR(売上継続率)

NDRとは、Net Dollar Retentionの略で、既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標のこと。「売上継続率」。「NRR (Net Revenue Retention)」と同義。

既存顧客の売上(MRR, 月間経常収益)が前年度からどの程度増減しているかから、翌年度の売上を推測するものである。

SaaSなど契約ベースのサブスクリプションのビジネスでよく用いられる。「チャーンレート(解約率)」や「顧客維持率 (CRR)」とともに、顧客の継続性を計る指標である。

計算式など、詳しくは「NRR(売上継続率)」を参照のこと。

メタバース

メタバース(Metaverse)とは、アメリカのSF作家ニール・スティーヴンスン(Neal Stephenson)による1992年の小説『スノウ・クラッシュ (Snow Crash)』 で登場する、インターネット上の仮想世界のこと。そこから「インターネットの次の世界、インフラ」「オンラインとオフラインが統合した仮想空間」の概念を指す言葉として用いられる。

明確に定義されたものではないが、以下のような特徴をもつ前提で語られることが多い。

  • オンラインとオフラインが途切れることなく同期して存在する日常の延長である
  • 誰でも利用できる
  • 経済活動が行われている

バーチャルリアリティ(VR)拡張現実(AR)、アバターを用いたオンラインスペースなどがメタバースの概念の一部に含まれるが、それら個別の事象がメタバースというわけではない。また、バーチャルなスペース、ゲーム、デジタルな通貨や経済も、それ単体ではメタバースではない。

「meta(越えた、超越した、高次の)」と「universe(宇宙)」を合わせた造語である。

続きを見る »

LGTM(私は良いと思います)

LGTMは、「looks good to me」の略で、「私は良いと思います」「自分的にはOKだと思う」と問題がないことを表す英語の略語、インターネットスラングである。相手が作成した資料などの内容確認を求められたりした際に、特に問題が見当たらない場合に用いる。エンジニア界隈では、プログラミングやシステム開発のコードの確認の際などでも用いられる。

類似のスラングの表現で、相手から何か誘われたりした際に「それはいいですね」「OK」と同意を表す「SGTM (sounds good to me)」がある。

SGTM(いいですね)

SGTMとは、「sounds good to me」の略で、「それはいいですね」「OK」と同意を表す英語の略語、インターネットスラングである。相手から何か誘われたり同意を求められたりした際に、「うん、いいね」「オーケー」の意味でカジュアルに返答して用いる。

類似のスラングの表現で、相手が作成した資料の内容確認を求められたりした際に「私は良いと思います」「自分的にはOKだと思う」と問題がないことを表す「LGTM (looks good to me)」がある。

ミドルファネル (MoFu)

ミドルファネルとは、消費者の購買プロセスである「ファネル」の中間地点を表し、消費者が興味関心や課題を特定した状態で、やや熱心に情報収集をしている段階である。

企業にとっては、ユーザーが「見込み顧客」「リード」になった段階であり、より積極的にアプローチをして自社との関係性を作っていく必要がある。

インバウンドマーケティングの領域では、3つに分けられたファネルの中間として「MoFu (Middle of the Funnel, ミドルオブファネル)」と呼ばれる。


▲マーケティングファネルとToFu、MoFu、BoFu

続きを見る »