複合カフェ

複合カフェとは、漫画喫茶やインターネットカフェをはじめ、多様なゲームやアミューズメント、レクリエーションを提供するカフェのこと。

喫茶店が書店並みに漫画本や雑誌を取りそろえることから発展した漫画喫茶を由来とするものや、インターネットに接続できるパソコンを利用できるカフェ、カラオケをしながら食事を楽しめるところなどが、時代とともに興隆し始めた。

その後、各社による差別化や、家庭や個人へのインターネット回線の普及もあり、ダーツやビリヤード、カラオケ、ゲーム機器などを利用できるスペースを併設するもの、シャワーや仮眠施設を完備するカフェ、コワーキングスペースでのビジネス利用を想定したものなど、サービスの複合化が進んでいる。

大手チェーン店の多くは24時間営業しており、充実したフードメニューやドリンクバーの提供などもあって長時間滞在する利用者も見られる。

ゼロレーティング

ゼロレーティング(zero rating)とは、従量課金制のモバイル通信サービスにおいて、特定のアプリやサービスでのデータ通信量をカウントから除外し、その利用分の料金を無料とするサービスのこと。動画サービスやSNSなど、人気のあるサービスやコンテンツの通信料金を無料にすることで、 携帯電話事業者やコンテンツプロバイダーはそれを差別化要因として契約者を多く集めることができる。提供者によって「カウントフリー」「データフリー」とも呼ばれる。

ゼロレーティングサービスには、ユーザーの支払う通信料金を安くできるメリットがある一方で、以下の「通信の秘密」「ネットワーク中立性」の侵害の可能性という課題がある。国によっては規制を設けたり、法整備に向けた議論を進めてたりしている。

  • 事業者やプロバイダーはユーザーのデータ通信内容を把握する必要があり、憲法や法律で守られている「通信の秘密」を侵害する可能性
  • 対象のサービスのみが優遇され、カウント除外の対象から外れたサービスが非合理に不公平となり、「ネットワーク中立性」を阻害する可能性

ナッジ

ナッジ(nudge)とは、選択肢を制限したり強制や金銭的インセンティブを与えたりすることなく、自発的な動機によって特定の行動を促す手法や仕掛けのこと、あるいはその理論のこと。

行動科学の知見に基づき、人々が社会的に、環境的に、あるいは自身の健康や人生にとってより良い行動を自発的に選択するよう促すことができる。合理的で正しい行動を取れずに困っている人を助けるために用いるべきものである。

ナッジ(nudge)は、もともとは「軽くつつく、背中を押す」といった意味の英語である。

ナッジにはさまざまなものがあるが、以下のような例が挙げられる。

  • 男性小便器にハエの絵を描くことで床の汚れが減り、清掃費用を削減できる
  • 臓器移植への同意について選択肢を標準で「同意する」とすることで、同意を得やすい
  • 整列してもらうために、床に線や足跡があれば人は立ち止まりやすい
  • 複数の選択肢から選んでもらうのではなく、あらかじめ標準で一つ選択しておくことで、行動しやすい

アメリカの行動経済学者リチャード・セイラー(Richard H. Thaler)と行動経済学者で法学者でもあるキャス・サンスティーン(Cass R. Sunstein)が2003年に論文で提唱し、行動経済学の領域で注目を集めた。後にリチャード・セイラーはナッジの活用に関する業績で2017年にノーベル経済学賞を受賞している。

国の公共政策やNPOの取り組みをはじめ、幅広い分野での社会課題への解決策として応用が進められている。

ナッジに対して、ナッジを悪用して選択を妨害したり望ましくない選択に誘導したりすることを「スラッジ」という。

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現状維持バイアス

現状維持バイアス(status quo bias)とは、変化や未知のものを避けて現状維持を望む心理作用のこと。現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまうというものである。

提示された変化にメリットとデメリットがある際、現状得られている利益よりも変化による損失から得る苦痛の方が大きいと判断し、非合理的な選択をする傾向がある。これは、行動経済学のプロスペクト理論の損失回避性が働きかけているからとされる。

自分の所有するものに高い価値を感じ、それを手放すことに強い抵抗を感じる「保有効果(授かり効果)」と類似している。

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ミニアプリ

ミニアプリ(Mini App)とは、プラットフォームの位置づけのスマートフォンアプリの中で起動する、特定の機能に特化したアプリのこと。

通常のアプリのようにアプリストアからダウンロードする必要がなく、ユーザーが既に日常的に利用しているプラットフォーム的なアプリの中で各種機能を利用できる。ユーザーはミニアプリ向けに別途個人情報を登録する必要なく、ミニアプリで申込や支払いができるといったメリットもある。

ミニアプリは、LINEやFacebookなどのメッセンジャーアプリ、PayPayやd払いといったスマホ決済アプリの中で提供されるケースが多い。ミニアプリの機能にメッセージによる会話やチャットボットを組み込んだり、ミニアプリでの決済をプラットフォーム側のアプリで行うなど、ユーザーにとって利便性が高い。

プラットフォーム側のアプリは、複数のミニアプリを擁すれば、各種機能をシームレスに利用できる統合アプリ「スーパーアプリ」として立ち回れる可能性を持つことになる。一方で、プラットフォーム側のアプリが複雑化していくといった課題もある。

フライトシェイム(飛び恥)

フライトシェイム(Flight Shame, Flight Shaming, Flying Shame)とは、CO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスの排出量の大きい飛行機の利用を避けて、鉄道など他の移動手段を選んだり勧めたりすること、あるいはそのような反フライト運動のこと。

温室効果ガスの排出量増加による地球環境への負荷が注目を集める中、地球環境破壊に加担する飛行機に乗ることは恥であり、環境問題への無関心さの表明であると捉えたものである。

2018年、スウェーデンで熱波と森林火災をきっかけに気候変動への関心が高まり、「Flygskam(飛ぶのは恥)」「Tågskryt(鉄道自慢)」という新語が生まれた。注目を集めていたスウェーデンの環境保護活動家、グレタ・トゥーンベリ氏(Greta Ernman Thunberg)も交通手段として飛行機を回避していることもあり、2019年頃よりヨーロッパから世界中に広まった。日本語で「飛び恥」と表現するメディアもある。

飛行機によるCO2排出量は全世界のCO2排出量の3%を占め、乗客の増加とともに増え続けるとされる。

差別価格

差別価格とは、売り手である企業が同じ商品に対して複数設定した価格のこと。特別な顧客には有利な価格で販売したり、時間や季節で価格を変えて販売したりすることで、市場を細分化したり、変化する環境に適応できる。

差別価格には、以下のような種類や例がある。

  • 顧客による差別価格(会員価格、お得意様価格、紹介割引、法人価格)
  • 購入数量による差別価格(2個買えば3個目を無料 [Buy 2 Get 1])
  • 地域による差別価格(○○県限定価格、工場直売価格)
  • 時間や季節による差別価格(深夜価格、タイムセール、ハッピーアワー、季節料金)
  • 用途による差別価格(贈答用価格、食事の人のセットドリンク価格)

差別価格のうち、需要と供給に合わせて価格を動的に変動させるものをダイナミックプライシング(価格変動制)という。

リカーリング

リカーリング(recurring)とは、取引を一度で終えるのではなく、繰り返し継続して取引を行う循環性のビジネスモデルのこと。

プリンターやカミソリ、ウォーターサーバーのように、本体を安く販売して消耗品や附属品の追加販売で安定した収益を上げる仕組みや(キャプティブ価格戦略)、プラットフォームとしてゲーム機を販売し、ゲームソフトやコンテンツを販売、配信する仕組みなどがある。「リカーリングビジネス」とも呼ぶ。

利用者がいる限り継続的に収益を上げやすく、景気の変動も受けにくいといったメリットがある。

電気や水道、ガス、電話やインターネットといったインフラサービスも、毎月の利用料金を継続して支払うリカーリングの一つである。

一定期間のサービス利用権を定額で支払う「サブスクリプション」も、コストの変動しないリカーリングといえる。

オーバーストア

オーバーストアとは、小売店などの商業施設がその商圏の需要よりも過剰に出店している状態のこと。オーバーストアが続くと供給過多になり、競争の激化や売上の減少、中小小売店の廃業につながる。和製英語である。

大手企業による急激な店舗展開により、地方都市への大型のスーパーマーケットやショッピングセンターの出店、ドミナント戦略によるコンビニエンスストアの集中出店などが起き、地元の中小小売店の経営に大きな影響を与えて注目されるようになった。

人口の減少や大型店の競争激化もあり、人手不足や大型店撤退による建物の廃墟化といった課題も出てくるようになった。

新近効果(リーセンシー効果、終末効果)

新近効果(recency effect, リーセンシー効果)とは、最後に与えられた情報や直前に与えられた情報が印象に残り、評価に影響を及ぼす現象のこと。「新近性効果」「終末効果」とも呼ばれる。より直近の新しい記憶の方が短期記憶に残りやすく、再生率が良い状態である。

アメリカの心理学者ノーマン・H・アンダーソン(Norman Henry Anderson)が1976年に提唱した。

新近効果の対として、最初に与えられた情報が印象に残り、後の評価に影響を及ぼす現象のことを「初頭効果」という。また、一連の情報における項目の位置によって記憶の想起に差が出るという「系列位置効果」とも関連する。

「親近効果」は誤表記。