ピボット

ビジネス領域におけるピボット(pivot)とは、企業経営や事業戦略の方向転換のこと。特にスタートアップやベンチャー企業による主要事業の方向転換を指すことが多い。アメリカのシリコンバレーのスタートアップ界隈で用いられて広まったビジネス用語である。

スタートアップは新しいアイデアや技術、ビジネスモデルなどを基盤として短期間での事業の成長を図るが、必ずしも想定する成長にはならない。その際、元のアイデアの一部を軸にして方向転換や路線変更をしたり、これまでとは異なるアイデアに軸足を移すことがある。この方向転換をピボットという。成長が期待に対して芳しくない際に、どれだけ素早くピボットを図れるかが成功の鍵を握るともいえる。

もともとは「旋回軸、回転軸」「旋回運動」「中心点、中心となるもの」を意味する英語である。

KYC (know your customer, 本人確認)

KYCとは、「know your customer」の略で、本人確認手続きのこと。銀行やクレジットカード会社をはじめとした金融機関などで犯罪防止の目的で取り組まれている。近年ではインターネットとスマートフォンの普及に伴いオンラインでの取引が増加し、フリマアプリやマッチングサービス、チケット販売サービスなど一般の事業者も与信管理や反社チェック、トラブル防止の一環として取り組まれている。

KYCは、個人を特定する属性情報の確認である「身元確認」と、該当の手続きが本人によるものかを確認する「当人認証」の2つに分かれる。身元確認では、身分証明書などの本人確認書類の確認と反社チェックなどの審査が行われる。当人認証では、IDとパスワードによる認証の他、複数の認証情報要素を組み合わせた多要素認証などで利用者本人であることを確認する。いずれも人(自然人)だけでなく法人などの事業者に対しても同様に行われる。

この本人確認をオンラインで完結する仕組みや技術を「eKYC(オンライン本人確認)」という。

スーパーバイザー (SV)

スーパーバイザー(supervisor)とは、業界や企業によって意味は異なるが、概ね「監督者」「管理者」などの役職を表す。もともとは「管理者」「監督者」「主任、上司」などを意味する英語である。日本では「SV」と略されることがある。

飲食店や小売業などのサービス業では、担当地域の複数店舗を管理、監督し、店長などの現場責任者とその従業員を本部の意向に沿って指導を行う管理職のことである。エリアマネージャーと呼ぶ場合もあるが、スーパーバイザーとエリアマネージャーの役割を分けるケースもある。

コールセンターにおいては、電話を担当するオペレーターを統括的に管理する現場責任者を指す。オペレーターの指導と管理、クレーム対応などが主な役割となる。

TIL (today I learned, 今日学んだこと)

TILとは、「today I learned」の略で、「今日学んだこと」「私は今日(それを)知りました」「知らなかった」を意味する英語の略語。ビジネス領域でも用いられるインターネットスラング。ソーシャルメディア(SNS)やチャット、ショットメッセージといったデジタルコミュニケーションにてカジュアルな表現として用いられる。

2010年代半ば頃からエンジニアの界隈で、GitHubに「til」の三文字のリポジトリを作成してその日学んだことをMarkdown文書で蓄積していく文化が始まり、広まったとされる。

オブザーバー

ビジネス領域におけるオブザーバー(observer)とは、会議などにおける傍聴者のこと。その会議を充実したものにするために第三者の立場で会議の進行や内容を見守る役割を担う。もともとは「観察者」「監視員、立会人、陪席者」などを意味する英語である。

会議の傾聴と観察が主な役割であり、基本的には発言権や決定権はない。会議に第三者としてのオブザーバーが出席することで、会議のスムーズな進捗が期待できる。意見を求められた場合は客観的な立場での公平な発言に留めるか、専門家としての参加であれば専門的領域からの補足やチェックに留めるのが望ましい。

的確な助言を行うアドバイザーとは異なる。アドバイザーは専門的な知識や経験を元にした助言を行う役割を担い、積極的に会議に参加して適切な方向への進行を促すことが求められる。その点で、発言権や決定権を持たないオブザーバーとは異なる。

M&A (合併と買収)

M&Aとは、「mergers and acquisitions」の略で、企業の合併買収のこと。企業や事業の経営権の移転を伴う取引である。英語でそれぞれ「合併 (mergers)」と「買収 (acquisitions)」を意味する。読みは「エムアンドエー」。

合併には新設合併と吸収合併が、買収には株式取得と事業譲渡などがあり、一般的にはそれらをM&Aと呼ぶ。

  • 合併
    • 新設合併
    • 吸収合併
  • 買収
    • 株式取得
      • 株式譲渡
      • 第三者割当増資
      • 株式交換
      • 株式移転
    • 事業譲渡
      • 一部譲渡
      • 全部譲渡

広義の意味として、合弁会社設立や資本参加といった資本提携による経営面の協力関係もM&Aに含める場合もある。

買い手である譲受企業にとっては短期間で新規事業参入や既存事業の強化、シナジー効果獲得を図れ、事業の多角化や人材獲得といったメリットもある。売り手である譲渡企業にとっては事業継承、経営基盤の確保や強化を図れ、両者ともに経営課題解決の手段として機能する。

アクセプタンスマーク

アクセプタンスマーク(acceptance mark)とは、店舗での決済手段として利用可能なクレジットカードや電子マネーを示すために小売店やWebサイトなどに表示するロゴマークのこと。店舗であれば店頭の入口付近やレジ前のPOPとして設置されることが多い。アクセプタンスマークのロゴの一覧があることで、利用者は自分が所持する決済手段がその店舗で利用できるかどうかを事前に確認できる。

アクセプタンスマークの掲示によってその店舗での購入意向や購入単価が向上するという調査結果もあり、販促ツールとしても機能する。

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サイバーハイジーン(IT環境の衛生管理)

サイバーハイジーン(cyber hygiene)とは、手洗いやうがいといった普段の人間の衛生管理と同じように、企業が社内のIT環境をセキュリティの高い状態に維持しサイバー攻撃を未然に防ぐ取り組みのこと。「IT hygiene(ITハイジーン)」「セキュリティハイジーン」「IT環境の衛生管理」などとも呼ばれる。「hygiene」は「衛生状態」「ウイルス予防策」を意味する英語である。

サイバーハイジーンを実現するには、PCをはじめとした様々な端末のエンドポイントの定常的な把握、脆弱性への早期の修正パッチ適用を網羅的に行うなど、基礎的なセキュリティ対策を徹底する必要がある。

TCP/IPを開発し「インターネットの父」の一人であるヴィントン・サーフ(Vinton Gray Cerf)が2000年に用いたのが最初とされる。

woke (ウォーク, 意識が高い)

woke(ウォーク)とは、差別問題や人権問題をはじめとした社会で起きている様々な問題に対して「意識的である」「意識が高い」ことを意味する英語のスラング。「目が覚める」「気付く」を意味する「wake」の過去形でもあり、「stay woke (高い意識を持ち続けよう)」などのように用いる。

アメリカの黒人文化の中で古くからある表現だが、2010年代半ばの黒人への人種差別撤廃を訴える国際的な運動「ブラック・ライヴズ・マター (Black Lives Matter, BLM)」の際にソーシャルメディア(SNS)などで改めて利用が広まったとされる。

「woke」の表現の利用が広まる中、一方で「過度に意識が高い人々」「過剰すぎる意識の高さ」に対して否定的に揶揄したり批判したりする際にも用いられるようになった(反woke)。自分にとって誰かの意識の高さが目に余ったり煩わしいときに「彼らはwokeすぎる」のようにネガティブな意味で用いる。

もともとはポジティブな意味だったが言葉の流通と共にネガティブなニュアンスを含み始めた経緯を含めて、日本語の表現「意識が高い」と類似する表現といえる。

ドッペルゲンガー・ドメイン

ドッペルゲンガー・ドメイン(doppelganger domain)とは、正規のWebサイトのFQDN(完全修飾ドメイン名:ホスト名ドメイン名をつなげた表記形式)と誤認識しやすいFQDNのこと。正規のWebサイトと類似するFQDNを取得することでユーザーを偽のWebサイトに誘導する「タイポスクワッティング」など、主に悪意ある目的で使用されていると疑われるものを指す。

本来はホスト名とドメイン名の間の「.(ドット)」を除去して誤認識を誘発するFQDNを指すが、入力間違いや綴り間違いを想定したものも含めた総称として用いられるケースが多い。

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グリーントランスフォーメーション (GX)

グリーントランスフォーメーション(green transformation)とは、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を削減するために、従来の化石燃料を中心とした産業構造、社会構造をクリーンエネルギーを中心としたものへと転換すること。略称は「GX」。

地球の気候変動問題の解決として、世界的に温室効果ガス排出量を実質的にゼロ(脱炭素化)にする「2050年カーボンニュートラル」の実現が求められている。それに向けて、石炭や石油をはじめとした化石燃料に依存した発電から太陽光発電や水力発電、風力発電といったクリーンエネルギーへのエネルギー政策の転換が進められている。温室効果ガスの排出量削減だけでなく、経済成長の両立を目指す取り組みであることが特徴である。

日本でも2050年カーボンニュートラル宣言がなされ、脱炭素社会の実現に向けたGXがあらゆる業界において重要な経営課題となり、ESG投資の市場の拡大も見込まれる。

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クラスタ

クラスタ(cluster, クラスター)とは、英語で「(果実や花などの)房、塊」「集団、群れ、集まり」を意味する単語だが、インターネット全般やソーシャルメディア(SNS)においては「同じ趣味や属性、ファンの人たちの集まり」を意味することが多い。「○○クラスタ(○○好きのクラスタ)」のように用いる。「クラ」と略されることもある。「○○勢」として表される「勢」とほぼ同義。

ITやコンピュータの領域においては、複数のコンピュータを組み合わせて連携して使用する際のコンピュータの集合「クラスタ(コンピュータクラスタ)」、もしくはデータを読み書きするディスクなどの記録媒体の最少単位のことを指す。

カンプ(デザインカンプ)

カンプとは、デザインの印刷物や制作物の完成見本のこと。広告やカタログなど商業印刷の領域にて、発注通りのレイアウトやデザインであるかを制作過程の終盤の確認の際に準備される。Webデザインの領域でも用いられ、その場合は紙での出力ではなくデジタルデータで準備されることが多い。英語の「comprehensive layout(コンプリヘンシブ・レイアウト)」に由来する。「カラーカンプ」「デザインカンプ」などとも呼ぶ。

カンプを準備し共有することで、依頼主と制作側の認識の違いが発生していないか、依頼内容の意図が反映されているかなどを確認できる。

二次交通

二次交通とは、目的地まで複数の交通機関を使用する場合の2つ目の交通機関のこと。特に観光や旅行の領域においては、交通拠点(ハブ)となる空港や駅から観光地までの移動手段のことを指す。地元の鉄道や路線バス、タクシーやレンタカーなどが該当する。

観光の領域における二次交通は、地域住民の生活に密着した公共交通機関であることが多い。しかし、過疎化の進んだ地方では地域住民の減少に伴って公共交通機関の種類や運行本数が減少し、旅行者にとっても観光地までの移動が不便になりがちである。地域観光の振興のために、二次交通の確保や整備による利便性の向上が求められている。従来の公共交通機関の拡充だけでなく、シャトルバスや乗り合いタクシーの運行、レンタル自転車の整備、より広域での対応などが取り組まれている。

個人視聴率

個人視聴率とは、世帯の中で誰が何人でテレビ番組を視聴しているかを示す推定値のこと。2020年からの新視聴率調査によって個人視聴率の取得が本格化し、それまで利用されていた世帯視聴率に替わる指標として扱われている。

世帯視聴率と異なり、個人視聴率は視聴者の年齢や性別、職業などを判別できる。そのため、全体の個人視聴率だけでなく特定の年齢性別区分別に見ることもでき、より精度の高い視聴状況を把握できる。

マーケティングにおいて商品購買意欲が高いとされる「T層 (Teenage):男女13歳~19歳」「F1層:女性20歳~34歳」「F2層:女性35歳~49歳」「M1層:男性20歳~34歳」「M2層:男性35歳~49歳」が重要なターゲットとして扱われる中、それらを「コア層」としてくくりその視聴率を「コア視聴率」と呼ぶ。

ゼロリスク・バイアス

ゼロリスク・バイアス(zero-risk bias)とは、特定の小さなリスクを完全に無くすことに対して高い意識を持っているが、それよりも重要な全体のリスクには注意を払わない傾向のこと。部分的なリスクを過度に評価して完全な排除を望み、それを全体のリスク低減よりも優先させようとする心理的作用である。健康や環境などの安全に関する事象で起こりやすい。

特定の小さなリスクを排除することで心理的安全性を得てしまい、それ以外のリスクへの意識が弱まって結果としてより大きなリスクを負うことにつながる。「もし何かあったらどうするのか?」をはじめとした「ゼロリスク志向(思考)」はこのバイアスによるものとも言える。

あらゆる事象において、基本的にはリスクをゼロにすることはできない。一方で、大きな事象のリスクの低減よりも特定の小さなリスクの排除の方が容易であることもある。また人は確率などの仮説に対して感覚的な判断を下しやすい。

そのような中で、自身に直接関係するようなリスクを完全にゼロにすることの方が、一見自分には縁遠いと感じる大きな危険性を低減することよりも安全であると誤認してしまう。また身近なリスクをゼロにすることで犠牲になる他の事象にも無関心になりやすい。その結果、大きなリスクは低減せず依然として残ってしまう。

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レスバ(レスバトル, リプバ)

レスバとは、「レスバトル」「レスポンスバトル」の略で、ソーシャルメディア(SNS)やメッセージのやりとりで相手と口論することを意味するインターネットスラング。反応や返答を表す英語「レスポンス (response)」と戦いや論争を表す英語「バトル (battle)」を組み合わせた表現である。

もともとは電子掲示板(BBS)で登場した言葉だが、Twitterなどのソーシャルメディアでも用いられる。「レスバになっている」「レスバするつもりはない」などのように用いる。

返信の「リプライ (reply)」と組み合わせて「リプバ(リプバトル)」と呼ぶこともある。

ブレミッシュ効果

ブレミッシュ効果(blemishing effect, blemish effect, ブレミッシング効果)とは、製品やサービスに少しネガティブな要素があった方が、すべてポジティブで完璧な状態よりも支持を得る効果があるという心理的作用のこと。

製品に少しの欠点や弱みがありそれを提供者自身が認めている場合、人はその率直さや正直さにかえって信頼感を感じるというものである。また利用者はその欠点を嘆きつつも、長所の素晴らしさをより好んだり成長の余地を楽しんだりという個性への魅力や愛着心を感じる。一方で、製品の完璧さや長所だけをアピールされるとかえって懐疑心を感じたり、欠点や不満のないことで逆に面白味のないものとして受け止められてしまう。

ネガティブな要素は、製品の本質的な領域ではなく補助的な領域にある必要がある。

完璧な状態ではなく少量の欠点を有することでかえって好感度や魅力が高まる例といえる。

ダニット・アイン・ガー(Danit Ein-Gar)、ババ・シヴ(Baba Shiv)、ザカリー・トルマラ(Zakary Tormala)らが2011年の調査を経て名付けた。

ジョブ型雇用システム

「ジョブ型雇用」もしくは「ジョブ型雇用システム」とは、企業が人材を採用する際に事前に定義した職務内容に基づいて雇用契約を結ぶ雇用方法のこと。従業員はその契約に基づいた職務にて働き、評価される。他部署への異動転勤やジョブローテーションによる職種変更などもない。欧米では一般的な雇用システムとされる。

従来の日本に多く見られる「職種を特定せずに採用し、入社後に適性などを判断して職務を決定する」雇用システムを「メンバーシップ型雇用システム」と呼び、その対比として取り上げられることが多い。「ジョブ型雇用」「メンバーシップ型雇用」のどちらも、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏が名付けた雇用システムである。

メンバーシップ型雇用では人を基準にして評価されやすいが、ジョブ型雇用では従業員のスキルや能力ではなく業務成果で評価される。また専門性を有し、転職と共にキャリアを形成することが多い。

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1%の法則 (90:9:1の法則)

1%の法則(the 1% rule)もしくは90:9:1の法則(90–9–1 rule)とは、インターネットコミュニティのユーザー行動を分類した法則で、ほとんどのコンテンツは1%のユーザーによって生成され大半のユーザーは閲覧するだけのROMユーザーであるとするものである。

「1%の法則」は2006年にBen McConnell氏とJackie Huba氏がWikipediaなどの行動データから提唱したものだが、類似する提唱や調査は過去にも見られる。「90:9:1の法則」は、インターネットコミュニティのユーザーの1%がコンテンツを作成し(クリエイター)、9%がその情報を元にコミュニケーションを取り(エディター、コミュニケーター)、残り90%は閲覧するだけ(オーディエンス、ROMユーザー)というものである。

他のテーマに転移されるケースも見られるが、あくまでインターネットコミュニティにおける法則である。一方で、調査によっては異なるデータのケースもある。インターネットとコミュニティの発展やソーシャルメディアの台頭もあり、ユーザーの利用シーンも大きく変化した。そのため、実態としては経験則や一般論、または通説として扱うべき内容とも言える。