リテールメディア

リテールメディア(retail media)とは、リテール企業(流通業者や小売業者)が提供する広告媒体やメディア、広告配信の仕組みのことで、自社が保有する消費者の購買データなどと連携して広告配信を行うことができる。小売店のECサイトやアプリ、店舗内に設置されたデジタルサイネージなどが該当する。

流通業者や小売業者は、消費者の購買データやアプリの行動ログ、Webサイトのアクセス解析データといったファーストパーティデータを所有する。これらを活用してターゲティングを行い、広告やクーポンといった効果的な販促を行える。オフラインとオンラインの両方のデータを持つこと、より購買に近い接点(タッチポイント)であるといった特徴を持つ。

2020年前後よりサードパーティCookieへの利用規制、新型コロナウイルス拡大に伴うEC利用の増加などもあり、大きく注目されるようになった。

流通業者や小売業者にとっても、商品の販売以外の新たな収益機会として、広告プラットフォームの提供や企業との共同販促の機会増加といったインパクトが期待されている。

ジュグラー循環(ジュグラーの波, 中期波動)

ジュグラー循環(Juglar cycle)とは、経済が好景気と不景気の間を交互に繰り返す変動「景気循環」の一つで、約10年周期(7年から11年)の景気循環である。物価や金利、生産量や雇用などで見られ、設備投資の変動に起因するとされることから「設備投資循環」とも呼ばれる。「ジュグラーの波」「中期波動」ともいう。

フランスの経済学者クレマン・ジュグラー(Joseph Clément Juglar)が1860年の著書にて主張したことに由来する。

景気循環の種類は他に、約40カ月の短い周期の循環「キチン循環(短期波動)」、約20年周期の「クズネッツ循環(建築循環)」、約50年周期の「コンドラチェフ循環(長期波動)」がある。

ローボール・テクニック

ローボール・テクニック(low-ball technique)とは、最初に受け入れられやすい要求を承諾させた後に、相手に都合の悪い条件を加えたり当初の条件の一部を取り除いたりする交渉テクニックのこと。「特典除去法」「承諾先取り法」とも呼ばれる。「自分の発言や行動、態度、立場を一貫したものとしたい」という人間の心理「一貫性の原理」を交渉に応用したものである。

「相手が受け取りやすい低いボールを投げること」に由来する。例えば、大特価セールの触れ込みに惹かれて来店したがセール対象の商品は一部であり、気になった商品はセール対象外だったが結局購入に至ってしまうケースが挙げられる。

承諾の後から条件を変更したり勘違いさせる交渉テクニックのため、詐欺などに悪用されることがある。

ドア・イン・ザ・フェイス(譲歩的依頼法)

ドア・イン・ザ・フェイス(door-in-the-face technique)とは、あえて最初に大きな要求をして相手に断らせることで、譲歩案として本来の要求を承諾させやすくする交渉テクニックのこと。「譲歩的依頼法」とも呼ばれ、「一度断った」ことへの罪悪感からお返しをしなければ申し訳ないと考える「返報性の原理」を応用したものである。

慣用句の「shut the door in the face (門前払いを食わせる)」を由来とする。例えば最初にあえて高額な金額の提示をして断られた上で、大幅な値引きに応じたと見せかけて本来の金額を提示して承諾してもらおうというものである。

「ドア・イン・ザ・フェイス」に対して、相手に目的の要求を承諾してもらうために最初に小さな要求を承諾させて徐々に要求を大きくしていく交渉テクニックを「フット・イン・ザ・ドア (foot in the door)」という。

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バリュープロポジション

バリュープロポジション(value proposition)とは、顧客が製品を選んだ際に企業が顧客に対して提供を約束する顧客価値のこと。顧客が求める価値のうち、自社が提供できて競合他社にはない独自の価値の領域を指す。多くは簡潔な内容で定義される。

顧客に製品を選ばれるには顧客の立場に立って自社の製品やサービスを捉える必要がある。顧客は自社が想定しているものとは別の価値を求めていることがあり、顧客が望む価値と自社が提供する価値を合致させなければならない。その中でも、競合他社にはない自社独自の価値の提供が求められる。

バリュープロポジション

1988年にマッキンゼー・アンド・カンパニーのMichael LanningとEdward Michaelsが「a business is a value delivery system」というドキュメントで使用したのが最初とされる。

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バニラ

バニラ(vanilla)とは、ソフトウェアやゲーム、IT領域などにおいてカスタマイズや改変などを施していないオリジナルの状態のこと。拡張機能の追加や標準設定の変更、任意なローカライズなどをしていない、提供された標準の状態のことである。英語の「vanilla」の意味の一つ「普通の、ありきたりな、プレーンの」に由来する。

ソフトウェアだけでなく、サーバーやコンピューターなどのハードウェア、アルゴリズムやプログラミング言語といった技術仕様などさまざまな領域においても、「オリジナルな」「標準の」「プレーンの」状態を表すものとして「バニラ○○」などと用いられることがある。

フット・イン・ザ・ドア(段階的要請法)

フット・イン・ザ・ドア(foot-in-the-door technique)とは、相手に目的の要求を承諾してもらうために、最初に小さな要求を承諾させて徐々に要求を大きくしていく交渉テクニックのこと。「段階的要請法」とも呼ばれ、「自分の発言や行動、態度、立場を一貫したものとしたい」という人間の心理「一貫性の原理」を交渉に応用したものである。

営業担当者が話を聞いてもらうにあたり、ドアを閉められないように足を入口の中へ突っ込む様子に由来する。「まずはご挨拶から」に始まり、小さな許諾をきっかけとしてその延長線にある価値観に沿った目的の要求を承諾してもらおうというものである。

「フット・イン・ザ・ドア」に対して、あえて最初に大きな要求をして相手に断らせることで、譲歩案として提示する本来の要求を承諾させやすくする交渉テクニックを「ドア・イン・ザ・フェイス (door-in-the-face technique)」という。

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ガラスの崖

ガラスの崖(glass cliff)とは、企業や組織の業績が低迷したりプロジェクトが困難な状況になるほど、女性がリーダーや要職に起用されやすい現象のこと。

危機的な状況におけるマネジメントの立て直しにはさまざまな困難が伴い、失敗のリスクも高い。一見、女性が要職に就くことで進歩的でポジティブな印象を残し、当事者の女性もキャリアアップの貴重な機会と受け止めるが、失敗に至った場合に「女性は要職に適していない」という評価と偏見につながる可能性を内包する。

2004年にイギリスのエクセター大学の社会心理学教授ミシェル・ライアン(Michelle K. Ryan)とアレックス・ハスラム(Alexander Haslam)が命名した。組織内で要職に値する人材が性別や人種などを理由に低い役職に制限されることを表す「ガラスの天井 (glass ceiling)」にちなんで名付けられた。

テンション・リダクション効果

テンション・リダクションとは、緊張状態から解放されたときに反動で注意力が散漫になり、寛大な気分になったり判断力が低下すること。マーケティングの領域で応用され、その効果を「テンション・リダクション効果」と呼ぶことがある。

例えば高額な商品の購入を検討しているとき、事前に入念な調査や比較、購入するかどうかの迷いなどを経て購入の決断に至る。一方で購入すると決めた直後は、調査や比較検討もしていなかったオプションや関連商品の購入には寛大になり、熟考することなくショップや店員の薦められるがまま追加購入を決めてしまいやすい。このような購入を決めた直後の効果的なクロスセルの様子をテンション・リダクション効果と呼ぶ。オプションや関連商品は比較的安価である必要がある。

パーソナルスペース(対人距離)

パーソナルスペース(personal space)とは、その人が心理的に自分のものだと捉えるその人を取り巻く空間領域のこと。

多くの人は自分のパーソナルスペースを大切にし、他人に侵害されると不快、不安、怒りを感じる。その範囲は性別や年齢、性格、対人関係や集団状況、文化などにより異なる。「対人距離」とも呼ばれる。

抱きしめたり触れたりといった距離感の「密接距離 (intimate distance)」と、親しい友人や家族とコミュニケーションをとる距離「個体距離 (personal distance)」の間にある空間がパーソナルスペースに該当する。他人がパーソナルスペースに入ることを許可したり他人のパーソナルスペースに入ることは、それらの人々の関係性のレベルを示す指針となる。

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