App Tracking Transparency (ATT, アプリトラッキングの透明性)

App Tracking Transparencyとは、Apple社によるプライバシー保護強化を目的としたフレームワークで、アプリによるユーザー行動追跡をユーザーがコントロールできるようにしたもの。2021年4月リリースのiOS 14.5、iPadOS 14.5、tvOS 14.5以降に搭載された。Apple社による表記は「AppTrackingTransparency framework」、略称は「ATT」。「アプリトラッキングの透明性」と訳されることもある。

アプリが、iOS端末などを識別するApple社の「IDFA」を使用して異なるアプリやWebをまたいでユーザーのトラッキングや広告ターゲティングをできるようにするには、事前にユーザーの許可が必要になるというものである。クロスサイトトラッキングデバイスフィンガープリンティングを制御する。

ユーザーがトラッキングを許可しなければ、アプリはIDFAを使ったユーザーの行動分析ができなくなる。また広告のターゲティング、リエンゲージメント配信なども困難になる。

ユーザーには「(アプリ)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?」という通知が表示され、「Appにトラッキングしないように要求」「許可」のいずれかの選択を求められる(Appからのトラッキング要求を許可を参照)。

キャプティブ価格戦略

キャプティブ価格戦略(captive product pricing)とは、主製品の価格を安く設定した上で、付随製品の販売で利益を確保する価格設定のこと。リカーリングビジネスで用いられる価格戦略の一つ。

通常、主製品(コア製品)は1回限りの購入で済むが、主製品を継続して利用するには付属製品(アクセサリー製品)の繰り返しの購入や買い換えが必要となる。そのため、主製品を購入しやすい低価格に抑えても、長期的に安定した収益が期待できる。このような主製品に必要な付属製品を「キャプティブ製品(captive product)」と呼ぶ。

プリンターとインクカートリッジ、カミソリと替え刃、ウォーターサーバーと水、カプセル式コーヒーメーカーとコーヒーカートリッジなどが例に挙げられる。ラスベガスのホテルとカジノの関係もキャプティブ価格戦略に該当する。

ポストプロダクション

ポストプロダクション(post-production)とは、映像コンテンツの制作工程のうち撮影後の作業の総称のこと。映像や音声の編集、ナレーションやアテレコの録音、テロップの挿入、CGなどの特殊効果処理、納品規格への変換、パッケージ制作など、様々な作業を含む。

放送や映画、CMをはじめ、さまざまな映像コンテンツの仕上げの工程にあたる。音楽制作であれば録音後の作業の総称である。略称は「ポスプロ」。

ポストプロダクションに対して、映像コンテンツの制作工程のうち撮影前の作業の総称を「プリプロダクション (pre-production, プリプロ)」という。企画、脚本、絵コンテ、スタッフィングやキャスティング、ロケハンなど、映像制作の撮影準備段階に該当する。

ブランド・ロイヤルティ

ブランド・ロイヤルティ(brand loyalty)とは、他の代替ブランドがある中で消費者が特定のブランドの商品を繰り返し購入する状態、「ブランドへの忠誠心」のこと。習慣や惰性のリピート購入を含む。ブランドが持つ無形の資産価値「ブランド・エクイティ」を構成する重要な要素の一つ。通常は購入者(利用者)かつリピーターに限られる。

消費者のブランドに対する忠誠心が高いほど、消費行動に影響を与え、企業の利益を向上し成長を支えるものとなる。またブランド・ロイヤルティの高い顧客(ロイヤルカスタマー)が増加するほど、顧客基盤は安定する。

インシデント

インシデント(incident)とは、重大な事故には至らなかったが、望ましくない事件や出来事のこと。重大な事故、損失、危機になり得た状況のことである。もともとは「出来事」「事件」を意味する英語である。

どの程度の事象をインシデントとするかは目的や現場によって異なり、分野によっては定義されている。類似する表現「アクシデント」と区別する分野もあるが、インシデントに内部や外部による人為的な事象、意図的なもの偶発的なものいずれもを含むこともある。また必ずしも被害や障害が発生するわけではない。

例えば情報セキュリティにおいて、情報セキュリティインシデントは「望まない、または予期しない単独もしくは一連の情報セキュリティ事象であって、事業運営や情報セキュリティを危うくする確率が高いもの」と定義されている(JIS Q 27000)。

TBH (to be honest, 正直に言うと)

TBHとは、よく用いられるフレーズ「to be honest (with you)」の略で、「正直に言うと、正直なところ」「ぶっちゃけ」という意味の英語の略語である。インターネットスラング。隠さずに正直に思っている意見を述べる際に用いる。

ソーシャルメディアやチャット、メールやショットメッセージといったデジタルコミュニケーションにて、カジュアルな表現として用いられる。

類似のインターネットスラングの表現に「IMAO (in my arrogant opinion, ぶっちゃけ)」「NGL (not gonna lie, ぶっちゃけ、正直言って)」がある。

IIRC (if I remember correctly, 私の記憶が確かなら)

IIRCとは、「if I remember correctly」もしくは「if I recall correctly」の略で、「もし私の記憶が確かなら、~だったと思う」を意味する英語の略語である。インターネットスラング。

文章の冒頭、もしくは末尾で用いられる。ソーシャルメディアやチャット、メールやショットメッセージといったデジタルコミュニケーションにて、カジュアルな表現として用いられる。

AFAIK (as far as I know, 私の知る限りでは)

AFAIKとは、「as far as I know」の略で、「私の知る限りでは」「知っている範囲で」を意味する英語の略語、インターネットスラングである。

文章の冒頭、もしくは末尾で用いられる。ソーシャルメディアやチャット、メールやショットメッセージといったデジタルコミュニケーションにて、カジュアルな表現として用いられる。類似の表現に「TMK (to my knowledge)」がある。

IDK (I don’t know, 知らない)

IDKとは、「I don’t know」の略で、「知らない」「わからない」という意味の英語の略語である。読みはアルファベットのままで「アイディーケイ」。

チャットやショットメッセージといったデジタルコミュニケーションにてカジュアルな表現として用いられるほか、口語の会話でも用いられる。

デリミタ(区切り文字)

デリミタ(delimiter)とは、データをテキストファイルに記録する際に項目を区切る記号として用いる文字のこと。「区切り文字」。CSV形式であればカンマ「,」が用いられるなど、カンマやタブ、スペースなどが一般的である。

また、「(…)」「<…>」のようにテキストの範囲の開始と末尾を示す「範囲指定区切り文字」もデリミタ(bracket delimiters, block delimiters)と呼ばれる。

データ形式やプログラミング言語によって使用するデリミタは定義され、デリミタを使用することで各項目の境界を特定することができる。

リスクヘッジ(危険回避)

リスクヘッジ(risk hedge)とは、予測される危険や損失、失敗を回避する策を講じること、もしくはそのような策のこと。英語の「risk(危険、損失、リスク)」と「hedge(垣根、防御、境界、回避する)」に由来するが、英語では「risk hedge」という表現はあまり用いない。

もともとは金融取引において相場変動などによる損失を防ぐために体制を備えることを意味し、単に「ヘッジ」とも呼ばれる。そこから転じて、経営や一般的な危険回避としても用いられるようになった。

テイクオーバー

テイクオーバー(takeover, take over)とは、「獲得、奪取」「引き取り」「乗っ取り」「買収」などを意味する英語である。ビジネス領域においては、稼働中の仕組みの代替や引き継ぎ処理を行うもの、あるいは企業買収などを意味する。

マーケティングの領域においては、他ブランドやインフルエンサーが企業のソーシャルメディアアカウント(SNSアカウント)を使って期間限定で投稿を行うこともテイクオーバーと呼ばれる。タイアップやスポンサード投稿とは異なり、他ブランドやインフルエンサーがInstagramなどの企業アカウントを期間限定で乗っ取り、投稿をするキャンペーンである(Instagramテイクオーバー)。

ディドロ効果

ディドロ効果(Diderot effect)とは、これまでの生活環境になかった「理想的な価値」を持つ新たなものを手に入れた際、その新たな価値に合うような関連するもので統一しようとする心理的傾向のこと。

人は自分のアイデンティティに沿って商品を購入し、見た目や雰囲気を統一し、また自分の社会的役割を演出する表現を行うことで安心感を覚える。その結果、一貫性を損なうような既存の所有物に不満を感じ、経済的、心理的、社会的に悪影響を及ぼすような消費のスパイラルに陥りやすい。

1988年にカナダの文化人類学者グラント・マクラッケン(Grant David McCracken)が、フランスの『百科全書』を編纂した18世紀のフランスの哲学者ドゥニ・ディドロ(Denis Diderot)のエッセイにちなんで命名した。

ドゥニ・ディドロはエッセイ『私の古いガウンを手放したことについての後悔』の中で、ある日プレゼントされたガウンがあまりにも美しく、自分の家具や部屋に合わないため、あらゆるものをガウンに見合うような美しいものに買い換え始め、最終的に借金を背負うことになってしまったと語っている。

マーケティング領域への応用として引用されることもあるが、「持続可能な経済活動」や「エシカル消費(倫理的消費)」の文脈の中で否定的な意味合いで用いられることも多い。

アジリティ(敏捷性)

アジリティ(agility)とは、ビジネス領域においては著しい経営環境の変化に対して機敏に対応することを意味する。もともとは「素早さ」「機敏性」や「犬の障害物競技」を意味する英語である。

変動や不確実性が高く複雑なVUCAな状況の中で、柔軟かつ即時に経営の意思決定を行える適応能力を表すビジネス用語である。「機敏な」「素早い」「頭の回転の早い」を意味する形容詞「アジャイル (agile)」の名詞に該当する。

単に素早く判断し行動するというものではなく、自らのミッションと経営環境の変化に対して的確な判断を伴った行動の速さ、敏捷性がアジリティである。市場やビジネス環境のあらゆる場面で不安定で不確実、複雑で混沌とした状況が見られるようになり、企業に求められる新たな能力として注目を集めるようになった。

OEM (original equipment manufacturing)

OEMとは、original equipment manufacturingの略で、委託者のブランドで製品の製造を行うこと、あるいはそのような受託企業(original equipment manufacturer)のこと。製品の企画開発から詳細設計は委託者が行い、製造を担当する受託者に支給される。委託者のブランドで委託者が製品の販売を担う。家電や食品、アパレル、自動車など、様々な業界で利用されている。

小売業で流通する製品の場合、委託者のブランドを「プライベートブランド(PB)」と呼ぶこともある。

技術レベルは同水準もしくは委託側の方が高水準で、委託側が受託側に技術指導を行うこともある。委託側は工場や設備など投資コストの削減、生産量のコントロールによる在庫リスクの軽減、販売や新製品開発への専念といったメリットがある。受託側も、技術力の向上や生産余力の活用、売り上げ確保などのメリットがある。

続きを見る »

ODM (original design manufacturing)

ODMとは、original design manufacturingの略で、委託者のブランドで製品の開発から設計、製造までを行うこと、あるいはそのような受託企業(original design manufacturer)のこと。製品の企画開発から詳細設計、製造までを受託者が行い、委託者が自社ブランドとして製品を販売するという生産方式である。スマートフォンやパソコン、アパレルなど、様々な業界で利用されている。

類似する生産方式であるOEMと比べて、受託側は企画から包括的に携わることができるため利益を確保しやすいというメリットがある。委託側も、ノウハウや技術力がなくても新規参入しやすく、また販売に専念できる。

ODMの受託者の中には、委託者ブランドの製品を製造しながら自社ブランドでも製品を販売することもある。

続きを見る »

レバレッジ

レバレッジ(leverage)とは、もともとは「てこの作用」「影響力」を意味する英語だが、小さな力で大きな物事を動かす仕組みのことを表す。

特に金融の領域においては、小さな自己資金を元手に大きな金額の取引を可能にする仕組みのことを指す。例えば借り入れや資金調達を行って他人資本を増やしたり、信用取引を利用したりすることで、自己資金を増やすことなく大規模な取引を行うことができる。

このような仕組みを利用することを「レバレッジをかける」「レバレッジを効かせる」と表現したり、またこの仕組みが生む効果を「レバレッジ効果」と呼んだりする。

レバレッジを活用することで投資効率を上げることができる一方で、利益だけでなく損失も増大する可能性を持つため、リスク管理が求められる。

ビジネス領域においても、パートナー企業と協業することで、自社単独では不可能だった大規模で複雑なプロジェクトを請け負ったりする際などに、「レバレッジを効かせる」などと用いる。

続きを見る »

スリーパー効果

スリーパー効果(sleeper effect)とは、情報の信憑性や信頼性が当初は低かったものの、時間の経過とともにその信頼性が高まる現象のこと。また当初は信頼性の高かった情報が、時間の経過とともに信頼性が低下する現象も該当する。

時間の経過に伴い発信者への信頼性と情報の信頼性が切り離され、相手の意見を変えたり相手に受け入れられたりする情報の「説得効果」が変化することによって生じる。信頼性の低かった情報は当初は説得効果が小さかったが徐々に増大し、一方で信頼性の高かった情報は当初は説得効果が高かったが徐々に減少する、というものである。

第二次世界大戦中に、アメリカの心理学者カール・ホブランド(Carl Iver Hovland)が最初にこの効果を報告した。再現性が限定的で効果は認められないという議論もあるが、説得力のある情報に対して情報元などに信頼性の低い要素が伴うときにスリーパー効果が起こるとされる。

KBF (key buying factor, 購買決定要因)

KBFとは、ビジネス領域においては「key buying factor」の略で、顧客が商品やサービスを購入する際に重視する要素、要因のこと、もしくは実際に顧客が購入した際に大きく影響した要素のこと。「購買決定要因」。前者は顧客の中にあるニーズで、後者はそれ以外の外的要因を含み、文脈や使用する人によって意味はやや異なる。

scrollytelling(スクローリーテリング)

scrollytelling(スクローリーテリング)とは、Webページのスクロールと連動して画像や動画、アニメーションなどのグラフィック要素がインタラクティブかつ効果的に表示され、ユーザーが画面をスクロールするだけでコンテンツを深く理解できるようなストーリーテリングの表現手法のこと。日本語では「スクロールテリング」「スクロールアニメーション」などとも呼ばれる。

所定の箇所にスクロールすると、それがトリガーとなってコンテンツに連動したグラフィック要素が表示される。テキストはスクロールされるがグラフィック要素はしばらく固定表示されるなど、コンテンツのストーリーに沿ったインタラクティブな表示が特徴的な手法である。スクロールに連動したインタラクティブなグラフィック要素により、長文もしくは複雑な内容であってもユーザーはストレスなく楽しみ、文章を読み進め、理解することができる。

インフォグラフィックスやデータビジュアライゼーションの領域においても、効果的な表現手法の一つとして用いられる。

このスタイルの手法は2010年代前半から用いられ始め、ピューリッツァー賞やピーボディ賞を受賞した2012年のニューヨーク・タイムズのコンテンツ「Snow Fall: The Avalanche at Tunnel Creek」によって広く知られるようになった。
Snow Fall: The Avalanche at Tunnel Creek – Multimedia Feature – NYTimes.com