ベキ分布

ベキ分布(power-law distribution)とは、発生する確率がその値のベキ乗(累乗)に比例する「ベキ乗則(power law, 冪乗則)」に従う統計分布のこと。

分布が左右対称となる正規分布とは異なり、ベキ分布は中央値や最頻値が分布の左端に位置し、極端な値が多いため曲線は右の大きな値の方向に長くなだらかに裾野を伸ばしていく。そのため平均値や分散の概念が事実上意味をなさない。

ベキ分布の例
▲ベキ分布の例

株価の変動、所得の分布、地震の大きさと発生頻度の関係など、多くの自然現象や経済現象、社会現象で見られる。

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Frederico Damaso Pareto)が、1890年代に所得分布の研究中に発見した。パレートはその所得分布の結果から「80:20の法則(パレートの法則)」を見いだしている。

ロングテールもベキ分布に該当する。

ゼブラ企業

ゼブラ企業(zebra startup, zebra company)とは、利益を出しながら社会貢献を目指す企業のこと。企業として持続的な繁栄を維持しつつ社会との共存共栄を図り、すべてのステークホルダーが利益を享受できるような組織を目指す企業のことである。スタートアップ企業が中心となる。

新たな市場や価値を創造し、短期的な急成長と独占的な地位による高い時価総額の獲得を目指すスタートアップ「ユニコーン企業」へのアンチテーゼとして生まれた概念で、ゼブラ企業では中長期的な視点でのサステナビリティが重視される。

2017年に、アメリカの4人の女性起業家、マラ・ゼペダ(Mara Zepeda)、ジェニファー・ブランデル(Jennifer Brandel)、アストリッド・ショルツ(Astrid Scholz)、アニヤ・ウィリアムズ(Aniyia Williams)が提唱し、組織したコミュニティ「Zebras Unite」が発端である。シマウマは群れで生活し、また企業利益と社会貢献という相反する要素の両立を白黒の「シマウマ模様」になぞらえ、「ゼブラ企業」と呼んだ。

Zebras Unite Co-Op

アクショナブルメトリクス

アクショナブルメトリクス(actionable metrics)とは、次にどのように行動すべきか、改善すべきかを判断できる指標のこと。その指標そのものは成果ではないが、計測し改善することで成果やパフォーマンスの向上に直結する指標のことである。

ビジネスにおける目標やKGI(重要目標達成指標)といった成果を表す指標の先行指標として機能し、KPIとして設定されることが多い。アクショナブルメトリクスであるかどうはか成果や目的、状況によって異なり、特定の指標が常にアクショナブルメトリクスというわけではない。

アクショナブルメトリクスに対して、一見ポジティブで見栄えよく見えるが、実際の成果やパフォーマンスに関する有益な情報を得られない指標を「バニティメトリクス(虚栄の指標)」という。

同じ指標であっても、アクショナブルメトリクスやバニティメトリクスになり得る。ある状況ではアクショナブルメトリクスであっても、異なる状況ではバニティメトリクスになることがある。

アクティビスト

アクティビスト(activist)とは、特定の思想に基づき、あるいは特定の目的のために、立場を明確にして意図的な行動を取る活動家のこと。社会的、政治的、経済的、環境的な領域、企業活動の領域などにおいて、より良いと考える方向への変化や改革を促進、提言したり、望まない変化を阻止したり介入したりする。アクティビズム(積極行動主義)を実践する人である。

また、企業の株式を一定以上保有して、株主としての利益を最大化するために企業の経営に影響力を及ぼそうとする投資家「物言う株主」のことを「アクティビスト」と呼ぶことも多い。

ジニ係数

ジニ係数(Gini coefficient, Gini index)とは、国の経済における所得格差といった社会の不平等さを測る指標のこと。値は0から1で表し、0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを示す。1936年にイタリアの統計学者コッラド・ジニ(Corrado Gini)によって考案された。

所得の場合、低所得者(低所得世帯)から高所得者(高所得世帯)へと順に並べて累積比(横軸)と所得の累積比(縦軸)の分布を表した「ローレンツ曲線」を用いて算出する。一般的に値が0.4を超えると所得格差は大きい状態であり、社会の不安定化が警戒される。

ジニ係数は異なるローレンツ曲線の分布から同じ値を得られる可能性があり、人口構成を考慮する必要がある。

G.O.A.T. (GOAT, Greatest of All Time, 史上最高)

「G.O.A.T.」もしくは「GOAT」とは、「Greatest of All Time」の頭文字を取った略で、「史上最高」を意味する英語のスラングである。スポーツ選手やミュージシャンをはじめとした人に対して使われることが多いが、企業による製品などさまざまな領域でも用いられる。

突出して素晴らしく、また人気があり、究極のものでこれ以上ないという最上級の表現の一つとして用いられる。読みは「ゴート」。

ソーシャルメディア(SNS)をはじめとしたカジュアルなテキストコミュニケーションではヤギの絵文字「🐐」を用いて表すこともある。

Webビーコン

Webビーコン(web beacon)とは、WebページやHTMLメールに埋め込んで設置する小さな画像もしくはそのHTMLタグやスクリプトのこと。その画像の表示の際にリクエストされたサーバーにてプログラムが解釈し、端末やユーザーの識別などが行われる。

Cookieと組み合わせてアクセス解析や広告の効果測定、メール配信状況のデータとして用いたり、アドネットワークを通じたターゲティング広告配信などで利用される。

「ビーコン (beacon)」は英語で「かがり火、のろし」「灯台、信号灯」「標識」などを意味する言葉で、Webビーコンはインターネットを介して情報を伝えたり接続したりする機能や機器の意味として用いられる。Webビーコンのことを単に「ビーコン」と呼ぶこともある。

ハッシュタグ・アクティビズム

ハッシュタグ・アクティビズム(hashtag activism)とは、Twitterのハッシュタグを利用し、特定の思想に基づいて特定の目的のために投稿をすること。Twitterハッシュタグを利用したインターネット上のアクティビズムのことである。

自分たちがより良いと考える方向への変化や改革を促進したり、望まない変化を阻止したり介入したりすることを目的とする。社会的、政治的な問題を扱うことが多く、それについて議論もしくは主張をし、フォロワーをはじめ多くの人々に問題を認識させ、さらなる議論の拡大を呼びかけるために行われる。主要なメディアではあまり取り扱われないトピックスであっても、Twitterをきっかけに周知の機会を増やすことができる。インターネット上の社会運動、デモ活動とも言える。

一方で、ハッシュタグ・アクティビズムは手軽な手段で関心を自己満足的に表明しているにすぎず、具体的な行動を起こすには至っていないことがあり、望んでいる変化にはつながっていないという批判もある(スラックティビズム)。

シミュラクラ現象(類像現象)

シミュラクラ現象とは、人は3つの点が逆三角形に配置されていると「人間の顔」に見えてしまうという錯覚や本能のこと。模様やデザインとして点や線が逆三角形に配置されていたとき、本来は人間の顔を意図しないものにもかかわらず、人間の顔に見えたりそこに感情を抱いたりするというものである。「類像現象」。

外敵を判別するために脳が人間や動物の顔かどうかを識別しようとする人間の防衛本能といわれる。

視覚や聴覚で得た対象を実際とは異なる別の既知のものとして認知してしまう「パレイドリア現象」の一種である。

ファスト映画(あらすじ紹介動画)

ファスト映画(fast movie)とは、諸権利を有する者に対して無断で作成された映画の違法ダイジェスト動画のこと。映画の映像や画像を無断で使用し、字幕やナレーションを付けてストーリーを把握できるようにまとめた10分程度の動画で、YouTubeをはじめとした動画共有サイトに投稿される。

宣伝を目的として映画配給会社が準備する予告編の映像とは異なり、映画全体のあらすじや結末のネタバレを含む。「あらすじ紹介動画」。効率よく消費できるが違法性のあるコンテンツ「ファストコンテンツ」の一つ。

タイムパフォーマンスを重視する世代に需要があり、日本では2020年頃からYouTubeなどに投稿され始めた。2021年には神奈川県にて著作権法違反で摘発されている。

財布内シェア(ウォレットシェア, share of wallet)

財布内シェア(share of wallet, SOW)とは、顧客の特定カテゴリー商品への支出金額における特定企業やブランドの商品の割合のこと。自社商品が競合商品と比べてどの程度の支持を獲得しているかというものである。市場における顧客獲得シェアの側面というよりも、顧客におけるロイヤルティの獲得を測る指標である。

「ウォレットシェア」「シェアオブウォレット (share of wallet, SOW)」「顧客内シェア」ともいう。

市場シェアの獲得には新規顧客の獲得と既存顧客による購入金額増加の両側面があり、後者の視点によるものである。

mm

「mm」とは、「ありがとうございます」「よろしくお願いいたします」などと感謝を意味する日本固有の表現、インターネットスラングである。特に何かの略語というわけではなく、手をついて頭を下げている表現の顔文字「m(_ _)m」に由来し、アルファベットの「mm」だけが残って省略された表現である。読み方は特にないと思われる。

ソーシャルメディアやチャット、メールやショットメッセージといったデジタルコミュニケーションにて、カジュアルな表現として用いられる。

顔文字「m(_ _)m」の方は、古くからメールやチャット、電子掲示板(BBS)などで利用されていた。そのため、若い世代よりもインターネット黎明期からデジタルコミュニケーションに触れてきた世代に利用が多く見られる。

メラビアンの法則(7-38-55のルール)

メラビアンの法則とは、「感情や態度を伝える際に矛盾したメッセージを発したとき、他人が受け止める影響の度合いは、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%である」という実験結果が通俗的に拡大解釈されたものである。

もともとは、アメリカのカリフォルニア大学の心理学者アルバート・メラビアン(Albert Mehrabian)が1971年の著書『Silent messages(非言語コミュニケーション)』で発表した調査結果によるものである。好意や反感といった態度を伝達する際に、「好きです」と怒った表情で言うなど言葉に対してコミュニケーション情報が矛盾していた場合、人はどう受け止めるのかという調査であった。

その結果、会話内容そのものである「言語情報 (Verbal)」が与える影響度は7%、声の表現や早さなどの「聴覚情報 (Vocal)」は38%、見た目や表情などの「視覚情報 (Visual)」は55%となり、「7-38-55のルール (the 7-38-55 Rule, the 7%-38%-55% Rule, 3Vの法則)」を導き出した。効果的なコミュニケーションには、この3つの要素を適切に組み合わせて正しい意味が伝わるようにする必要がある、というものである。

メラビアンは「感情や態度の伝達」における法則として導き出したが、通俗的には拡大解釈され、「人は見た目が重要」などの根拠として誤用されている。メラビアンも、好意や反感などの態度を伝達するコミュニケーション以外ではこの法則は当てはまらないと指摘している。

アクティビズム(積極行動主義)

アクティビズム(activism)とは、特定の思想に基づき、あるいは特定の目的のために、立場を明確にして意図的な行動を取ること。社会的、政治的、経済的、環境的な領域、企業活動の領域などにおいて、より良いと考える方向への変化や改革を促進したり、望まない変化を阻止したり介入したりすることである。「積極行動主義」。

アクティビズムを実践する人をアクティビストという。

アクティビズムの形態はさまざまで、政局への出馬や後援などの政治的キャンペーン、企業への提言や後援もしくは抗議やボイコット、ハッシュタグを通じたソーシャルメディアへの投稿(ハッシュタグ・アクティビズム)、テレビや新聞などマスメディアへの電話や投書、集会やデモ行進、座り込み、ストライキなどがある。個人による活動もあるが、組織化され一定期間継続される集団行動も多い。

セルカ(自撮り)

セルカ(selca, 셀카)とは、撮影者が自分自身にカメラを向けて撮影する「自撮り」のこと、あるいはそのように撮影された自撮り写真のこと。「selfie (セルフィー)」と同義。英語の「self (自分自身)」と「camera, cam (カメラ)」を組み合わせた造語、略語で、韓国で用いられはじめたコングリッシュ(Konglish, 韓国語式英語)である。

セルカから派生した言葉に、スマートフォンを取り付ける自撮り用の棒「自撮り棒」「セルフィースティック (selfie stick)」を意味する「セルカ棒(셀카봉)」がある。

FYA (for your action, 要対応)

FYAとは、「for your action」の略で、「要対応」「要返答」を意味する英語の略語である。「FYI (for your information)」と類似するが、返答や対応を必要とする情報共有に付けるのが「FYA」である。冒頭で「FYA:」とコロン付きでも用いられる。

メールやショットメッセージ、ソーシャルメディア(SNS)などのデジタルコミュニケーションにて、情報や要件の伝達の際などに用いられる。ビジネス領域でもよく用いられるインターネットスラング。

イングリッシュネーム

イングリッシュネーム(English name)とは、英語圏ではない国の人が、欧米の英語話者にとって発音しやすく覚えやすいように付けた海外向けの英語の名前(ファーストネーム)、ニックネームのこと。中国や韓国、台湾、シンガポールなど、アジア圏の人を中心に広まっている習慣である。

アジア圏の人の名前は、英語圏のネイティブにとって発音が難しくまた覚えにくいものが多い。そのため、留学やビジネスなどにおいて自分を覚えてもらうために、海外向けの英語の名前を名乗るというものである。

イングリッシュネームの付け方には特にルールはなく、自分の本名の発音に近いもの、本名の意味から連想されるもの、好きな俳優やミュージシャンの名前などさまざまで、また自分を含めて誰が名付けても良い。通常は英語圏でも一般的な名前を付ける。

SPA(シングルページアプリケーション)

SPA(single page application, シングルページアプリケーション)とは、単一のWebページのみで構成されたアプリケーションのアーキテクチャ(設計構造)、もしくはそれによって制作されたWebアプリケーションやWebサイトのこと。Webブラウザー上でページ遷移が発生せず、単一Webページ上のスクリプトによって画面の切り替えや通信が行われる。

ページ遷移のたびにブラウザーがWebページを読み込む通常のWebサイトとは異なり、ブラウザーの処理が非常に小さくなる。ページ上のスクリプトが直接サーバーと通信を行うため、ブラウザーによるページ遷移がなくなり、従来では実現が難しかった表現や機能、高速表示などを実現できる。ユーザーはアプリケーション(ネイティブアプリ)に近いユーザー体験を享受できる。

URLが単一のものになるため、特定画面の状態を指定して表示することができず、SEOやアクセス解析の領域では課題が多い。またブラウザーが最初にスクリプトを読み込む必要があり、ローディング時間が長くなりやすい。

PER(株価収益率)

PERとは、Price Earnings Ratioの略で、株価が1株当たりの当期純利益の何倍の値段が付いているかを示す指標、投資尺度のこと。現在の株価が企業の収益力に対して割高か割安か(投資価値があるか)を判断する際に利用される。日本語では株価収益率。読みは「ピーイーアール」。単位は「倍」。

一般的にPERが高いと利益に対して株価は割高、低ければ割安となる。

PERは、株価を1株当たりの当期純利益(EPS)で割ったもの、あるいは時価総額を純利益で割ったもので算出される

PER(株価収益率) = 株価 / 1株当たりの当期純利益(EPS)

Quad(クアッド, 日米豪印戦略対話)

Quad(クアッド)とは、「Quadrilateral Security Dialogue」の通称で、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国間における安全保障や経済を協議する枠組み、会談のこと。「4つの」を意味する英語の「quad」とかけている。2006年に当時の日本の安倍首相が「アジアの民主主義の弧」構想の一環として4カ国の戦略対話を訴えたのがきっかけとなり、2007年に設立された。「日米豪印戦略対話」「日米豪印首脳会合」。

4カ国はインド洋と太平洋を囲むように位置している。実質的に中国を包囲する体制となっており、対中国を意識した戦略対話が中心となる。2008年にオーストラリアが離脱したが、安倍首相の再就任後の2017年に局長級の4カ国会合が開かれ、2019年には外相会談が設けられて定例化するなど、再び枠組みとして再浮上している。