ペネトレーション・プライシング(市場浸透価格戦略)

ペネトレーション・プライシング(penetration pricing)とは、新製品を市場に投入した初期に低価格を設定し、早期に市場シェアの獲得を目指す価格戦略のことである。低価格で競合他社から顧客を奪い、販売量の最大化を図るというものである。「市場浸透価格戦略」ともいう。

価格弾力性が大きく需要が価格に左右しやすい製品で用いられる。販売量を増加することで規模の経済性に伴ってコストを低下させるのが狙いであり、大手企業が取りやすい戦略となる。

早期に市場シェアを獲得できる可能性を持つが、投資面でリスクも大きい。

ペネトレーション・プライシングに対して、新製品を市場に投入した初期に高価格を設定し、収益を確保する価格戦略を「スキミング・プライシング」という。

スキミング・プライシング(上澄み吸収価格戦略)

スキミング・プライシング(skimming pricing)とは、新製品を市場に投入した初期に高価格を設定し、収益を確保する価格戦略のことである。早期の投資回収を目的の一つとして、プロダクトライフサイクルの導入期に高価格を設定するというものである。「上澄み吸収価格戦略」「上澄み価格戦略」ともいう。

巨額な投資が必要な製品や、価格弾力性が小さく需要が価格に左右されない製品などで用いられる。市場の成長に合わせて徐々に低価格にしていくことが多い。高価格でも購入する顧客層を獲得できるといったメリットがある。

スキミング・プライシングに対して、新製品を市場に投入した初期に低価格を設定し、早期に市場シェアの獲得を目指す価格戦略を「ペネトレーション・プライシング」という。

カンスト(カウンターストップ)

カンストとは、「カウンターストップ」もしくは「カウントストップ」の略で、数値が上限に達してそれ以上カウントできないことを表す。「あらかじめ設定されていた上限値や最大値に達した状態」である。カウンターストップやカウントストップは和製英語であり、元々はゲーム領域でよく用いられる表現である。

「上限に達したため終了する」意味の「打ち止め」とは異なり、「カンスト」は引き続きゲームを続行できる。

上限に達している状態から転じて、「これ以上努力をしてもレベルは上がらない」「仕様としての最大に達したため、どうしようもない」というような無力感や諦め、目的を失った状態を表す比喩としても用いられることがある。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント (PPM)

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(product portfolio matrix [PPM], Boston matrix, growth share matrix)とは、企業戦略において、どの事業領域に自社の経営資源を最適に分配すれば良いのかを判断するための考え方、フレームワークのこと。市場成長率と相対的市場シェアを軸に、製品や事業、戦略事業単位(SBU)の位置づけを判断し、経営に反映していくというものである。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が1970年代に開発した。「Boston matrix(ボストンマトリックス)」「BCG matrix(BCGマトリックス)」とも呼ばれる。

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WTP (willingness to pay, 支払意思額)

WTPとは、「willingness to pay」の略で、製品やサービスに対して消費者が自ら喜んで支払う価格のことを表す。消費者が「これくらいなら支払ってもいい」と思える金額のことで、製品やサービスの需要を予測する上で重要な要素の一つである。「支払意思額」ともいう。アンケート調査で得られることが多い。

同じ製品であっても、WTPは文脈や希少性、緊急性などによって左右し、また個人差もある。顧客層やシチュエーションに合わせて、複数のWTPに合わせた価格設定をすることで顧客満足と利益を確保できる。

一方、「それぐらいの金額であれば売ってもよい」という所有物を手放す際の最小の代償金額を「WTA (willingness to accept, 受け取り意思額)」という。標準的な経済理論であればWTAとWTPの差は小さなものになるはずだが、実際にはWTAはWTPの数倍になるなど大きく乖離する。このようなWTAとWTPの乖離を「保有効果(授かり効果)」という。

ステイケーション

ステイケーション(staycation)とは、自宅にいながら、もしくは近場に宿泊しながら休暇を取ることを意味する英語である。通常の旅行のように遠出した先で宿泊するのではなく、自宅もしくは近郊の宿泊施設に滞在して休暇を取るというものである。「stay(滞在する)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた造語である。

もともとは、宿泊施設に宿泊しない日帰り旅行もステイケーションに含まれる。日本では自宅近郊の宿泊施設に宿泊する文脈で用いられることがやや多い。イギリスでは、海外旅行の対比としてイギリス国内を旅行することを意味するようになってきている。

#FBF (Flashback Friday)

「FBF」とは、「Flashback Friday(フラッシュバックフライデー)」の略で、英語で「振り返る金曜日」という意味の言葉である。InstagramやTwitterなどソーシャルメディア(SNS)のハッシュタグ「#FBF」として、金曜日に自分の昔の写真や思い出の写真を投稿する際に用いられる。欧米のセレブリティのアカウントがよく用いるが、一般人にも広く利用されている。

ハッシュタグとしては「#FBF」「#fbf」「#FlashbackFriday」の他、省略した「#ff」も用いられる。

もともとは、木曜日にハッシュタグ「#TBT (#ThrowbackThursday)」を付けて自分の昔の写真や思い出の写真を投稿する文化が生まれ、木曜日に投稿し忘れた際に「#FBF (#FlashbackFriday)」でも同様の投稿をするようになったとされる。現在は木曜日と金曜日のいずれも昔の写真を投稿する曜日になっている。

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SBU(戦略事業単位)

SBUとは、Strategic Business Unitの略で、企業戦略を実現する上で、独自の競合と顧客が存在するために各事業部門の戦略面の調整を図る目的で設けられる事業の集合体、もしくはそのような組織のこと。経営資源の配分や事業部門間の連携調整を行い、効果的な企業戦略の推進、実行を図る。「戦略事業単位」「戦略的事業単位」「戦略ビジネス・ユニット」ともいう。

SBUの形態は企業によってさまざまで、横断的なものや大きな特定カテゴリーのみで設けられたりするが、通常の組織階層にとらわれない部分組織である。「生産/営業/経理/人事」のような機能的な編成や「国内/アジア/欧米」といった市場別の編成ではなく、例えば「消費者向け機器/事業者向け機器/(両者にまたがる)ロボットAI事業」のように戦略を軸にして区分した単位である。

アメリカのGE社(ゼネラルエレクトリック社)がそれまでの多角化戦略によって引き起こされた事業の乱立と収益性低下から脱却するために、1970年に取り組んだ組織改革でSBUは初めて導入された。

競争地位別戦略(リーダー/チャレンジャー/フォロワー/ニッチャー)

競争地位別戦略(Kotler’s Competitive Positions)とは、1980年にフィリップ・コトラー(Philip Kotler)が提唱した競争戦略の理論で、業界や市場における立場ごとの戦略目標を提示したもの。マーケットシェアの観点、量的経営資源と質的経営資源の大小から、企業をリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つに類型化し、それぞれの競争地位に応じた戦略目標を提示している。

コトラーの競争地位別戦略

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70:20:10の法則

70:20:10の法則(70:20:10 Model for Learning and Development)とは、人材育成の領域で言及される法則で、社員が成長する際に効果的な要素は「70%が経験、20%が薫陶、10%が研修」である、というもの。70%が課題への挑戦経験から、20%が上司や周囲によるアドバイスやフィードバックから、10%が研修や講義から、というものである。

  • 70%:経験(On-the-job Experience)。課題への挑戦経験から
  • 20%:薫陶(Near-the-job Experience, Informal Learning)。上司や周囲によるアドバイスやフィードバックから
  • 10%:研修(Off-the-job Experience, Formal Learning)。研修や講義から

Michael LombardoとRobert Eichingerが1996年に「The Career Architect Development Planner」で発表した。その後アメリカの調査会社によっても同様の結果が出たとの報告もある。

しかし、数字の根拠が疑わしいという指摘も多い。70:20:10の法則を実証できないという調査結果もあり、根拠が適切ではなく実際の学習経験の割合ではない概念的なモデルであるともいわれる。