ギグエコノミー

ギグエコノミー(gig economy)とは、企業に属さずにインターネットを通じて個人で単発の仕事を請け負う働き方、あるいはそのワークスタイルを基盤とした経済のこと。インターネット上のプラットフォームサービスを介して、そのサービス利用者(発注者)と提供者(ギグワーカー)がマッチングされる仕組みで成立する。2010年代半ばに登場した。

配車サービスのUberやフードデリバリーのUber Eats、宿泊施設仲介のAirbnbや家事代行サービス、クイックコマースなどが例として挙げられる。データ入力やコンテンツ制作、Webサイト制作やプログラミングといったより専門性の高い業務を依頼できるクラウドソーシングも含む。

ギグワーカーは企業に雇用されることなく、自分のスキルや時間を切り売りして多様な働き方や生活を送れるようになる。専門性の高い人材が特定組織に属さずに仕事を請け負え、発注者も利用コストを下げられるといったメリットがある。一方で、ギグワーカーは仕事の獲得が不安定であったり、単価の下落や競合の増加、トラブル時の責任負担が大きいといった問題を抱える。

音楽領域の英語で、ライブハウスでの短い演奏セッションやクラブでの一度限りの演奏を意味するスラング「ギグ(gig)」に由来する。

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NRR(売上継続率)

NRRとは、Net Revenue Retention (Rate)、もしくはNet Retention Rateの略で、既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標のこと。「売上継続率」「ネットレベニューリテンションレート」。「NDR (Net Dollar Retention)」と同義。

既存顧客の売上(MRR, 月間経常収益)が前年度からどの程度増減しているかから、翌年度の売上を推測するものである。NRRの数値が100%を上回っていれば、契約のエクスパンションやアップグレードが良好であり、安定した経営ということになる。NRRと売上の成長率は長期にわたり相関関係を維持し、NRRが1%改善すれば売上成長率も1%改善する。

目安として、アメリカの上場SaaS企業のNRRの中央値は117%といわれる。

SaaSなど契約ベースのサブスクリプションのビジネスでよく用いられる。「チャーンレート(解約率)」や「顧客維持率 (CRR)」とともに、顧客の継続性を計る指標である。

NRRの計算式

NRRは以下の計算式で算出される。

NRR (%) = 前年度の顧客の今月のMRR / 前年度の顧客の同月のMRR

アマゾンエフェクト

アマゾンエフェクト(Amazon Effect)とは、インターネット通販(EC)のアマゾン・ドット・コムが成長、進出する業界や市場で、既存の小売業をはじめとした様々な企業が影響を受けている事象のこと。「アマゾン効果」。

百貨店やスーパー、書籍をはじめとしたコンテンツ産業、生鮮食品や衣料品といった業種で、業績への影響や業態変化が起きている現象を指す。企業の業績面へのネガティブな影響が取り上げられることが多いが、ウェブルーミングショールーミングBOPISなどの消費形態やショッピング形式、O2Oへの変化も含まれる。またアマゾンが得意とする領域で影響が見られているものであり、必ずしもすべての小売業が大きな影響を受けているわけではない。

当初はアメリカ市場におけるトピックスだったが、日本を始め世界経済や政治へも影響を及ぼしている。

フルフィルメント

フルフィルメント(e-commerce fulfillment)とは、一般的にはECや通販の領域で発生する、商品が注文されてから顧客に届けるまでの一連の業務の総称のこと。もともとは実行や実現を意味する英語である。

商品の発注から仕入れ、発送や出荷、注文に関するコールセンター業務や決済業務といったプロセスを含むが、商品の企画開発やマーケティング活動は含まれない。

これらフルフィルメント業務のすべてあるいは多くを代行するサービスは「フルフィルメントサービス」と呼ばれ、アマゾンや楽天などが自社のサービス網を開放してサービス提供している。委託することで在庫管理や物流管理、顧客対応などの負担を軽減できる一方で、顧客との直接の接点が減るなどの課題もある。

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分報

分報とは、いま困っていることや思っていることをリアルタイムにSlackなどの社内チャットツールに投稿すること。Slackなどに設けられた各個人のパブリックチャンネルに、いま取り組んでいることや困っていること、単に思っていることや雑談を投稿し共有することで、チーム内でゆるやかな解決やカジュアルなコミュニケーションを図ろうとするもの。読みは「ふんほう」。「times」「timeline」と呼ぶところもある。

分報はその日の業務の報告である「日報」をより細かいレベルにしたものだが、報告という規定の堅い形式ではなく、Twitterのつぶやきに近い。制約なく自由に発言することで、小さな困っていることや些細な感情、情報を共有でき、早い解決やメンバー間での共有が期待できる。

2015年にクラフトマンソフトウェアの野澤秀仁氏がブログで取り組みを紹介したのが初出とされる。

Slackで簡単に「日報」ならぬ「分報」をチームで実現する3ステップ〜Problemが10分で解決するチャットを作ろう | Craftsman Software Inc.

CAGR(年平均成長率)

CAGRとは、Compound Annual Growth Rateの略で、複数年にわたる成長率から1年あたりの成長率を複利で計算したもの。「年平均成長率」。読みは「シーエージーアール」。

企業の収益面の成長を年次で見る場合、対前年比では単年度の推移にバラツキを生みやすい。福利を考慮したCAGRを用いることで推移を平滑化でき、他社との比較もしやすくなる。

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CMGR(月平均成長率)

CMGRとは、Compound Monthly Growth Rateの略で、1か月の成長率を複利で計算した月平均の成長率のこと。「月平均成長率」「月間複利平均成長率」。読みは「シーエムジーアール」。

スタートアップ企業の月次の成長を収益面で見る場合、単純な対前月比の「月次成長率(MoM growth)」はシンプルに扱える一方で、推移によってはバラツキを生みやすい。複数の月にわたる成長率を把握する場合は、複利を考慮したCMGRを用いた方が良い。数値が安定し、他社との比較もしやすくなる。

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MoM (month-over-month, 前月比)

「MoM」とは、「month-over-month」あるいは「month-on-month」の略で、「前月比」を表す英語である。前月の数字に対してその翌月の数字がどれだけの成長かを表す数字のこと。「%」で表現することが多い。読みは「エムオーエム」。

表記として他にも「MOM」「mom」「M-O-M」「m-o-m」、「M/M」「m/m」などが用いられる。

関連する表現として、前年比の「YoY」、前四半期比の「QoQ」がある。

チート

チート(cheat)とは、もともとは「だますこと」や「いかさま、いんちき、不正」を表す英語だが、日本ではゲームにおいて一般に知られていない機能を使って自らを優位にさせる行為や、その機能のことを指すことが多い。

チートには、ゲーム制作者が本来意図していない動作や仕様、不具合を利用して行われるものがまず挙げられる。想定外目的での機能利用やバグ、外部デバイスにより結果として利用可能になってしまうものなどがこれにあたる。多くはいわば「裏技」に該当する。これとは別に、制作者が開発用やお楽しみ機能として準備した「隠し機能」も含むことがある。

これらに加え、ゲームを改造、改ざんすることで不正に優位にするものもチートに該当する。

このようなチートは本来のルールから外れており、正規な結果としては評価されるものではない。また意図的にゲームのプログラムやデータを改ざんすることは法律に抵触する。

この意味から転じて、インターネットスラングとして「まるで裏技や不正をしているようにすごい」という意味で用いられることがある。

ドルフィンアタック

ドルフィンアタック(DolphinAttack)とは、音声アシスタントやそれが組み込まれたスマートスピーカーを、人間には聞こえない周波数の超音波で自由に操作する技術のこと。

本来、音声アシスタントは人間の声だけに反応するはずだが、人工的な音に変換した音声コマンドでも反応することになり、悪用やハッキングをはじめとした潜在的な攻撃性や危険性を持つことになる。

2017年に中国の浙江大学の研究チームが論文でこの技術を発表した。イルカが超音波で互いにコミュニケーションを取ることに由来する。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは、ビジネスの最小単位1個あたりの収益性のこと、あるいはそれを表す指標のこと。事業によってユニットの単位は異なるが、SaaSサブスクリプションサービスで扱われることが多く、一般的には1顧客単位で見る(1人、1アカウント、1企業)。

1顧客あたりの収益性は、LTV(顧客生涯価値)CAC(顧客獲得単価)を上回っているかどうかで計る。ビジネスを成長し黒字化させるには、LTVがCACを上回っている必要がある。

ユニットエコノミクスの計算式

ユニットエコノミクスを指標として扱う場合は、以下の計算式で求める。

ユニットエコノミクス = LTV(顧客生涯価値) / CAC(顧客獲得単価)

LTV / CAC > 3x

健全なユニットエコノミクスは、この「LTV / CAC」が3以上、つまりLTVがCACの3倍以上、かつCACの回収期間(CAC Payback Period)が12か月間以内の状態であるとされる。ただしビジネス初期のLTVは計りにくくかつ不安定で、CACも長期的には高くなりやすいことから、常に健全なユニットエコノミクスの維持に注意を払い続ける必要がある。

ワーディング

ワーディング(wording)とは、文章を書くときに表現や言葉遣い、言い回しを統一すること。その分章が読まれたときに最もふさわしいと感じられたり、あるいは誤解を与えたりしないように、どのような言葉や用語や表現を用いるかを決めたり、設けたルールに統一すること。

具体的には、わかりやすい平易な言葉を用いたり曖昧な表現を避けたり、あるいは品位や立場に相応な表現を用いたりすることである。

ACV(年間契約金額)

ACVとは、Annual Contract Valueの略で、顧客が1年間(12か月間)に支払う合計の金額のこと。年間契約金額。

契約の年間の価値や規模を計る指標であり、他の顧客との比較をしたり推移による成長を見たりする。定期的に決まって発生する金額に加えて、初期費用や一度だけのサービスの料金なども含む。

年間契約のリカーリングサブスクリプションSaaSビジネスで用いられることがある。

ACVに対して、契約期間中の合計契約金額のことを「TCV (Total Contract Value)」という。

TCV(合計契約金額)

TCVとは、Total Contract Valueの略で、顧客が契約の期間中に支払う合計の金額のこと。合計契約金額。その顧客との契約の全体的な価値や規模を計る指標である。定期的に決まって発生する金額に加えて、初期費用や一度だけのサービスの料金なども含む。契約期間の長短は問わない。

年間契約のリカーリングサブスクリプションSaaSビジネスで用いられることがある。

TCVを12か月間の期間で算出したものが、「ACV (Annual Contract Value, 年間契約金額)」である。

POV視点(一人称視点)

POVとは、「point of view(ポイント・オブ・ビュー)」の略で、視点や観点、見方といった意味の英語だが、映像や撮影の領域では「一人称視点」で撮影する「主観ショット」「視点撮影」のことを指すことが多い。カメラの視線と登場人物の視線が一致した撮影手法のこと。「POV視点」「POV撮影」「POVショット(point-of-view shot)」ともいう。読みは「ピーオーブイ」。

第三者視点ではなく、登場人物が見る世界を視聴者が疑似体験でき、まるで現場にいるような臨場感あふれる演出効果を持つ。映画やドキュメンタリーなどで用いられるほか、小型のアクションカメラの普及でYouTuberによる動画やVlog(ブイログ)などでも用いられる。

類似の表現として、ゲームの領域では、プレイヤーが主人公の視点でゲーム内の世界を自由に移動できるアクションシューティングゲームのことを「ファーストパーソン・シューティングゲーム(first-person shooter, FPS)」と呼ぶ。

巣ごもり消費(家ナカ消費)

巣ごもり消費とは、外出を控えて家の中で生活を完結しようとしたり趣味を楽しんだりしようとする消費傾向のこと。在宅型消費の一つ。インターネット通販(EC)、ケータリングやデリバリー、宅配購入などを積極的に利用したり、スーパーマーケットで大量の商品を買い込んだりする傾向がある。「家ナカ消費(イエナカ消費)」ともいう。またこのような消費の需要を「巣ごもり需要」という。

インスタント食品やレトルト食品、冷凍食品、缶詰やパスタや酒類といった日持ちのする食料、トイレットペーパーをはじめとした日用消費財、ゲームやマンガ、音楽や動画の配信サービスといった家で楽しむエンターテイメントのカテゴリーが多く消費される。外食や旅行、屋外で楽しむレジャーなど、多くの産業がマイナスの影響を受ける。

2008年のリーマンショック以降の不景気の際に用いられるようになり、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大時など、災害時や病気感染が広まった際に注目を集める。節約志向や病気の感染予防の意識が、巣ごもり消費につながりやすい。

アフォーダンス

デザイン領域におけるアフォーダンス(affordance)とは、物や環境の物理的特徴がその機能に影響を与えるという属性、概念のこと。説明なしであっても、その物をどのように扱えばよいのかのヒントや手掛かりを与えてくれる要素になる。実態のある物や環境に対して用いられる。

デザインに内包され、アフォーダンスとその意図された機能が一致するとき、そのデザインは優れている状態になり、使いやすくなる。

例えば、ドアに何もノブや取っ手がない場合、そのドアを横にスライドさせて開けるのか、押せばよいのか引けばよいのかがわからない。ノブが付いていればそれを回し、平らな板が張ってあればそれを押し、取っ手が付いていればそれを引くか押すかをして、ドアを開ける判断ができるようになる。それらのノブや平らな板、取っ手が、ドアを開けるためのアフォーダンスを持つ。

バナー・ブラインドネス

バナー・ブラインドネス(banner blindness)とは、ユーザーがWebサイトに掲示されている「バナー広告」もしくは「バナー広告に類似した画像情報」を無意識のうちに無視する現象のこと。広告であることを理由に無視しているのではなく、画像に広告的なデザイン要素が含まれるとその傾向が現れる。

本来、テキスト情報よりも画像情報の方が、またよりカラフルで動きのあるものの方がユーザーの視点を集めやすいとされる。インターネットが普及し始めた頃、インターネット広告やWebサイトでもカラフルで動きのあるバナー画像がリンク要素として多用されるようになった。しかし、ユーザーがそれによってネガティブな経験を重ねた結果、「この表現は自分の求める情報にはたどり着かない」と無意識に判断し、この現象が起きるようになった。

コア&モア戦略

コア&モア(Core & More)あるいはコア&モア戦略とは、企業やブランドの核となる「コア」を定めてそれを強化しつつ、コアを逸脱しない範囲の「モア」で汎用性を広げるというコンセプトにてビジネスを展開すること。企業やブランドの軸をぶらさずに成長を進められる。

コアコンピタンスあるいはそのターゲット層の顧客を定義し、まずはその領域を安定させ、定番を作りかつ追求し、支持を確立させる。その一方でその確立したコアを生かして、隣接する領域や顧客層に向けてカジュアルな接点を設けたり別の視点でアプローチを行い、ビジネスを拡大していくというものである。

ピークアウト

ピークアウト(peak out)とは、頂点に達してこれ以上は上昇や成長をしないこと、あるいはそのような状況や段階のこと。最高地点に達していて、そこから減少に転じ下り坂になる状況のことである。

経済の側面で用いられることが多く、景気の拡大が頂点に達してそこから景気後退が始まるとみられる局面を指す。経済の領域以外では、流行や病気などの波及状況で用いられる。